第117回「仏との邂逅」【週刊ウンチク】

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第117回(2003.5.29)「仏との邂逅」
提供:明光自動車サービス 三納嘉一さん


奈良と言えば、東大寺の大仏

今週は、鶴来町の明光自動車サービス 詩人社長三納嘉一さんの俳句集から、昨年夏奈良県を訪れ、創作された句をご紹介します。

※『大仏開眼一二五〇年-東大寺』は昨年夏開催でした。

仏との邂逅          三納鶴仙

東大寺の大仏様画像

 奈良国立博物館では、七月七日まで『大仏開眼一二五〇年-東大寺』の特別公開展が行われている。
(※2002年に開催)
 六月一日と二日。その仏たちに逢いに行ってきた。
 かの東大寺三月堂の日光菩薩、月光菩薩像は、文字通り門外不出で、今回はじめて奈良国立博物館に展示されたという。大勢の人込みに揉まれながら、展示品の数々を見て回ったが、さすがに古い時代のものは良かった。一番先に足を運んだ奈良国立博物館も、もし翌日に回すと月曜休館で、何とラッキーなこと。

 また、十年前、唐招提寺へ詣ったときは、金堂にも入れず、鑑真像にも見えずに帰ったのだが、
 今回は、芭蕉の-

 青葉して御目の雫拭はばや

の鑑真和上像に親しく相見えることが出来た。帰ったら、もう一度井上靖の「天平の甍」を読み直そうか。
 薬師寺では今年二回(三月二十八日から六月十日。九月五日から十一月二十五日)一般公開される平山郁夫の大作「大唐声域壁画」を鑑賞する幸運に恵まれた。
 そんな訳で、二日間とも昼飯ぬきで、奈良の寺院を見て歩いた。帰りの特急サンダーバードでは、かすかな満足と程よい疲れでとうとう眠って了った。

噴水のまへ        三納鶴仙

東大寺鏡池
若葉の色に染まる鏡池

噴水のまへに佇ちゐて托鉢僧

 曼陀羅の青の彩色涼しかり

 羅の腰をひねりて女身仏(にょしんぶつ)

 剥落の帝釈天へ緑さす

 二月堂の燈に拾ひし花石榴(※1)

 駆け上がる修二会(しゅにえ)の階の燕の巣(※2)


 葉うらまで光のとほり若楓

 鏡池若葉の色に染まりたる

 たれ絹を吹き上げたるは青嵐(※3)

 まなうらに新緑見ゆる思惟の像

 西日濃く金色の鴟尾(しび)暮れなづむ(※4)


■解説
(※1)磴(とう)は石段のこと。二月堂の石段に紅い柘榴(ざくろ)の花が珍しく散っ
ていた。バラバラでなく、椿みたいな花の散り方でした。

(※2)修ニ会はお水取の儀式のとき、大きな松明を振りかざして駆け上がるーあれです。
低い廊下の屋根裏に燕の巣があり、成長した子燕が出入りしていたっけ・・・。階は階段。

(※3)エー。あおあらし。知らない。晴嵐(せいらん)ではない。
青葉のころの清爽な風である。雅語。4メートル*6メートルもある大きな垂れ絹の幕を青嵐が吹いてまくり上がったと云うわけ。(垂れ絹には小紋が沢山散らしてあった)

(※4)鴟尾(しび)は寺院の屋根の上端に上を向いた飾りがある。あれである。金色に耀いているから、夕方、薄暗くなっても、まだ暮れないでいた。


<ミニリンク集>
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