第57回(2002.3.28)「金沢むかしばなし『才田のキツネ』」
提供:ホリカワ 花野美貴雄さん

ホリカワオリジナル 郷土絵本からの昔話。
第4弾は金沢市才田町の昔話です。
「才田のキツネ」
キツネちゅうのは、人さだまして悪さするちゅうけどな、なかには義理の固いキツネもおったげな。
そうそう、才田の御亭山にも昔はキツネが住んどったが、人真似が上手での なかなか愛嬌のあるキツネやったと。
このキツネにな、ある年可愛い赤ん坊が生まれたと。ところが、その年は山火事などがあっての、山には極端にエサが少なかった。腹さ賺せた親子は、仕方のう山さ下りて田圃のあぜ道をうろうろしとったら、権兵衛じっさまが声をかけてきたと。
「才田のキツネでねえか。しばらく顔を見んと思うたら、子供さできたのけ。ほおう、可愛いの。でも、今年はエサが少のうて大変じゃろう。しばらくわしが預かってやろう。」
このままでは親子とも飢え死にかと思っておったんで、キツネは大喜びで子キツネをじっさまに預けたと。そして毎晩そっとのぞいては、子キツネが権兵衛じっさまに抱かれて眠っとるのを見て安心して帰っていったと。

それから何年かたって、権兵衛じっさまの家で法事をするコトになったと。が、お客様に来てもろうても、貧しいじっさまにはお膳がねえ。かといって村の人たちに借りようにも、二十人からのお膳をそろえられるもんはだあれもおらん。法事さやめるべ… じっさまがそう思った晩のこと、トントンと表の戸を叩くもんがある。見ると、才田のキツネが、今は成長した子ギツネと一緒におり、その前には立派なお膳が置いてあったと。
*金沢市才田町・・・金沢市北部、河北潟にほど近い町。




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