第77回「色いろいろ「機能性色素とは その1」」【週刊ウンチク】

第77回(2002.8.15)「色いろいろ「機能性色素とは その1」」
提供:出口織ネーム 出口勉さん


色いろいろ 「機能性色素とは その1」
 ・・・たとえば石川の伝統産業「加賀友禅」にも、その作用が活かされています。

友禅の下絵を描く。
下絵。青色で描きます。
この青がポイント!

加賀友禅の彩色の様子。
加賀友禅の彩色。

水洗いして干した加賀友禅。何度か洗います。
何度も水洗いします。
浅野川でも友禅流し
やってますね。

・・・さて、機能性色素とはいったい何でしょう。出口さんのお話です。

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 色は物の形とともに日常的に私たちの身の回りにあふれています。民族や地域や時代の違いによって、思いがけない感動や共鳴を受けたりしています。色素の定義は、「可視光を選択的に吸収しうる化合物や物体に色を与える物質」とあります。なんだか難しい言いまわしですね。

 要はものに色を染めることで、染められた色によって、受ける印象が違う事がおきる。色はそのような染色機能だけのものだろうと思っていました。ところが、科学の進歩とともに、いろんな発見があり、その機能が随分と多様であり、応用できる機能がたくさんある事がわかってきたのです。
 ふだん何気なく見ている色、ただ単に目に映っているだけと思っていた色に思いがけない効用があるようです。

 色の心にもたらす心理的効果については古い時代から盛んに研究されてきました。近頃では色彩心理学の応用をした建築物もふえています。

 レストランなどの飲食店では店舗の外装や室内の壁紙やカーテンには食欲を増進させるオレンジや黄色の配色が多く用いられるようになりましたし、病院の待合室には待ち時間を長く感じさせないために水色の壁紙を使い、書斎や、勉強部屋などには、まばたき率が減って眼精疲労に効果があるグリーンを使うのがよく、紫色は、中枢神経のバランスをとる働きがあり、心の浄化、 癒やしの効果から、クラブやスナックなどの業態に向いているといわれています。
 また紫色にはべつの効果がある事を知っていると、濃い紫色の外装のすし屋さん(金沢にありました。今もありますかね?)を見たりすると、人ごとながら、食欲の起きない色を使っているけど経営は大丈夫なのかな、なんて心配をしたりします。


 機能性色素という言葉を知っている人は、研究者か専門分野の人で、一般の人はなかなか耳にしない言葉だと思います。電子関連分野では、光、熱、電気、圧力などのエネルギーにより消色、変色、発色する色素や、物性変化をする色素を競って研究しています。情報記録、情報表示、情報記憶、エネルギー変換などの材料に利用するためです。光ディスクおよび高密度記録媒体用色素、インクジェット用色素などと言った方がわかりやすいかもしれません。いやいや、やはりわかりにくいですね。

 ではこれまで、どのような色の機能が掘り起こされてきたのでしょうか。一番身近な例として、繊維用染料として開発された分散染料の中でも、特に昇華堅牢度(135℃以上の熱が加わると、色が移染しやすくなる性質)の良くないタイプを利用したのが、熱転写型のプリントです。それはプリクラのヒットやデジタルカメラからTシャツにプリントできるというブームを起こし、大いに需要が伸びましたが、染料としての弱点はやはり、それらの商品にとっても弱点でしかなかったようです。

 もう一つ、小学生の頃に理科の時間の実験に使ったリトマス試験紙がありましたが、これはリトマスゴケという地衣類の色素を利用する事から始まったそうです。誰かが、タチションをしたところ、たまたまそこに生えていたリトマスゴケが、鮮やかに変色したのがきっかけと伝えられています。これはつけた液性が酸性かアルカリ性かによって変色するという性質を利用したものです。リトマスゴケは羊毛の染料でしたが、本来の安定性の必要な染料としてはあまり役に立たないものだったのです。

友禅染めの下絵に使う,「青花」の技法は下絵に青色の色を使いますが、これはツユクサの変種であるオオボウシバナが原料で、酸性では安定でアルカリ性になると緑色になります。水で薄めると退色する特性があり,水で洗うと簡単に消えてしまいます。これを経験的に知っていた染色職人たちが,友禅染めの下絵用染料として利用してきたのです。ツユクサの色素コンメリニンの分子構造がわかったのが1983年のことだそうですから,昔の人の知恵って,すごいですね。
 その他にも、着色剤として役には立たなかったが、持ち合わせていた機能を利用したものとしては、光伝導性、半導体レーザ感受性、帯電性、エレクトロクローミック性、非線形性などの色素が研究されていると、ものの本には書いてあります。なんだか良くわからないですが、色が持ついろんな性質を利用したものです。

 そういえば、光が通過するか、反射するかによって色を感じるという事を教わった時に、波長が長い光しか吸収しないものがあるという事も教わりました。それが、800nm以上の波長の近赤外線を吸収する色素で、その性質を利用したのが光ディスクへの半導体レーザーの書き込み技術なんだそうです。
自転車の後部カバーやランドセル、ウインドーブレーカーなどの光の反射、明るいところから暗いところに入ると光る蓄光、紫外線だけに反応して光る色素。或いは触ると色が変わる温度の変化を感知する色素、そしてプリズムなど、その性質を利用したいろんな色素が盛んに研究されているようです。どうやら宝の山みたいです。

出口織ネームの糸加工機。

ジャカード織物の世界でもこれらの機能を生かした商品作りが盛んです。「出口織ネーム」でもそれらの機能を持った色素にバインダーを介して、練りこみ、コーテングなどの技術によって糸を作っているのです。
光触媒加工(酸化チタン等の抗菌、消臭、防汚作用)、抗酸化作用(シックハウス症候群予防などに効果)電磁波シールド加工など。

 見る角度が変わると、違うデザインになってしまうなどというセーターやドレスが出来たとしたら、あなた、買いますか?いや、それより角度が変わったら中身が見えるものを作って、ですって?えー??

 ・・・・つつ"く。

「糸加工機」出口織ネームの生産設備。(上写真)
 通称、一本糊付け機(樹脂加工もできる高温処理可能機)
 これまでは、機能性素材を使おうとしても、糸の入手は難しい状況でした。
 「それなら自前で糸を作ろう」という事で用意した、おもしろい生産機です。


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