<商い益々繁盛店>(株)烏骨鶏(金沢市)

石川県産業創出支援機構(ISICO)では、石川県内で頑張っている繁盛店を取材し、商い益々繁盛店としてご紹介いたします。


石川県の繁盛店をご紹介!<商い益々繁盛店>
<商い益々繁盛店>(株)烏骨鶏(金沢市)


(株)烏骨鶏 生涯を賭けて育んだ天来烏骨鶏を世界に

朝食の食卓に欠かせない卵料理。その材料となる卵は1個18円ほどが相場である。多少こだわった卵でも1個50円がせいぜいという世界にあって、1個500円の卵を世に送り出し、世間をあっと言わせたのが、(株)烏骨鶏の河内隆徳社長である。人生を天来烏骨鶏に賭け、並々ならぬ努力と苦労の末に今日の成功を勝ち取った河内氏に、烏骨鶏に賭ける熱き思いを伺った。

●人生を決めた烏骨鶏との出会い
烏骨鶏のひな河内氏が烏骨鶏と出会ったのは1969年。食鳥の飼育、品質管理などの技術指導員として日本から15名の技術者が選抜され、中国へ派遣されることになった。その中の一人が河内氏だった。瀋陽で日本から持ち込んだ鳥の解体機械を試運転するにあたり、解体するために運びこまれた500羽の鳥が烏骨鶏であった。「真っ白な羽根を取ると皮も肉も骨までも真っ黒で、それまで見たことも聞いたこともなく、正直気持ち悪かった。こんな鳥を食べるのかと不信に思って眺めていると、解体した烏骨鶏を部位ごとに分け、その肉片をむしろに並べて乾燥させ、漢方薬にするという。当時の大卒の共産党員の月給が日本円で3500円ぐらいの時に、烏骨鶏は1羽2000円とかなり高価で、しかも鳥が漢方薬になるとは夢にも思わなかっただけに、いたく感銘を受け、これだ!これを日本で何とかものにしたいと思った」と振り返る。

●烏骨鶏を徹底的に研究
中国での1年半の技術指導を経て帰国した河内氏は、早速、伝手を頼って烏骨鶏に詳しいであろう薬学部の教授を探し求めて各地の大学を訪ね歩く。なかなか専門家が見つからず右往左往し、最終的に辿り着いたのが富山医科薬科大学の難波教授だった。当初は薬として商品開発する考えだったことから、以来、マウスを使って烏骨鶏が人間に本当にいいものかどうかを見極めるべく様々な動物実験を繰り返す日々が始まる。烏骨鶏の粉末を餌に混ぜた物とそうでないものとで、五世代先まで追って徹底的に実証実験を行い、データを集めた。そんな河内氏の没頭する姿に同情した難波教授から「薬を作るということは本当に大変なことで、ひとつの新薬を開発するのに100億円ぐらいはかかる。これは私財を投げ売っても対応しきれない。それよりもこれからの時代は、病気になってから薬を飲むのではなく、病気にならないための食の時代になってくるから、そっちへ方向転換しなさい」とのアドバイスを得て、漢方で言う『医食同源』の考えに基づき現在の事業を興したのが今から23年前。河内氏は、まず金沢市三小牛町に広大な農場を建設し、烏骨鶏のことを知るには四六時中一緒に生活することと、蚊帳を吊って1年半あまり農場で烏骨鶏と共に寝泊まりする徹底ぶり。「烏骨鶏の気持ちが分からずしてこの事業は成しえなかった」と語る河内氏の執念のなせる業としか言いようがない。

●烏骨鶏卵を使った烏骨鶏カステラの誕生
(株)烏骨鶏 河内隆徳社長

ただ一つの難問は、卵の販売価格が1個500円と高額になることだった。そこでまず最初に日本橋高島屋と三越本店に烏骨鶏の卵を販売してもらうべく持ち込んだ。たちまち東京で話題となり、いろんなマスコミで取り上げられたものの、現実にはほとんど売れず、傷みかけた卵を餌の中に混ぜる日々が続いた。この時「話題になるのと売れるのは別問題。いいものは必ず売れるわけではないことを痛感した」という。それから何年か経ったある日、NHKの30分番組で烏骨鶏に賭ける河内氏の姿が全国に紹介された。たまたまその番組を三越の商品本部長が見て、大雪の日にはるばる金沢の同社を訪れ、「この卵の付加価値を上げたらどうか。この卵を使って三越本店に相応しいカステラを作れないか」と提案される。早速、全国の有名カステラメーカーに烏骨鶏の卵を25個ずつ送って試作を依頼し、出来上がったものを会議で試食して決めることになった。社名が出るとそのブランド名に左右され正しい判断ができないとの理由から各社に一連の番号をつけ、地元の3社を含め全国の21社の試作品が出来上がってきた。それを試食した結果、最も三越に相応しいカステラとして選ばれたのが、なんと金沢の菓子メーカーが試作したカステラだった。「あの時は、今までの苦労が報われたという思いがこみ上げ、涙が出るほど嬉しかった」と述懐する。同年、三越の株主総会のお土産として烏骨鶏カステラが選ばれ、600セットを納品。さらに三越の社長がお得意先に贈るお歳暮の品に選ばれとトントン拍子だった。ところが、その商品を納めた直後、「すぐ来るように」と呼び出され上京すると、大事な得意先からクレームがあったという。なんとカステラの中にゴキブリが入っていたのだ。この時クレームの恐ろしさを身を以て思い知らされる。地元の菓子メーカーに不良品があったことを伝えると「ごめんね。取ればいいがいね」の返事に愕然とする。もちろん三越が自社商品に最後まで責任の持てない店と取引を続けるはずもなく、即刻取引停止。口に入るものの恐ろしさ、やっとの思いで築いた信用が一瞬にして崩れ去った。

●執念の賜物・自社製「烏骨鶏カステラ」誕生秘話
烏骨鶏 商品
それからというもの悶々とする日々が続いたが、一か八か自分でカステラを焼くことを決意する。もちろん作り方を知るはずもなく、全くの素人だが、卵を売るためのカステラではなく、カステラのための卵を産む烏骨鶏を飼育するところから手がけ、餌から変えて濃度が高く弾力性がある卵を完成させる。と同時に、カステラを焼くための機械設備を2000万円かけて導入する。カステラの基本は粉・砂糖・卵であり、愛娘と二人で2年半カステラづくりに没頭する日々が始まる。調合を微妙に変え、それをその都度メモしながら、毎日仕事の終わった夕方から深夜までひたすらカステラを焼き続けた。「娘も年頃で、結婚式が近づいていたが、まだカステラは完成しないまま、娘には悪いなと思いながらも何とか完成させたい一心だった。口に入れたらさっと解けて昔ながらの卵の香りがするカステラを作りたい。砂糖を従来の3分の1にし、腰のある卵で勝負した。さすがに2年以上やっても満足できるカステラが焼き上がらず、私も娘もほとほと疲れてきていた。結婚式まで残すところ数日となって、何とか私にカステラを完成させてやりたいという娘の気持ちがひしひしと伝わってきて、再度気持ちを立て直して取り組み、忘れもしない結婚式の二日前の明け方4時、これだ!と言えるカステラが出来上がった。あの時は本当に嬉しかった」。烏骨鶏カステラにはこのような父娘のドラマが秘められていたのだ。

●烏骨鶏カステラが成功への道を拓く
出来上がったばかりのカステラをその日の午前中に三越本店の商品本部長に持って行ったところ、「こんな美味しいカステラは食べたことがない。よく2年半でこれだけのものを完成させた」と絶賛される。まさに父娘の執念と烏骨鶏の卵が生み出した最高傑作の完成である。このカステラの爆発的ヒットは周知の通り。そのため原料となる卵が不足する状況となり、現在、津幡地区で第2農場の建設に着手している。カステラに始まり、今では烏骨鶏のスープ、日本酒、化粧品、プリン、酢、ラーメンスープ、ケーキ、パン、お粥、ソーセージ等々様々な商品が次々と生まれている。さらに認知症の研究において、烏骨鶏の卵に脳細胞を活性化させるコリンという物質が含まれていることが分かり、現在研究が進められている。「自分で商品の値段を付ける以上は人の何十倍もの努力をしないといけないし、妥協は許されない。それと同時にこの商品は物語ができる商品かどうか、物語のできないものは市場では絶対売れない」と断言する。その一方で、「今日自分があるのは、私のような烏骨鶏気狂いに付いて来てくれた女房とカステラづくりに力を貸してくれた娘のお陰であり、心から感謝している」と目頭を熱くする。石川から全国、そして世界に烏骨鶏の素晴らしい恵みを発信していくことがこれからの大きなテーマで、「烏骨鶏気狂い」を自称する河内氏の烏骨鶏を広める旅の終着点はまだまだ先のよう。

■インタビューを終えて
烏骨鶏の名前をそのまま社名にしている河内氏の烏骨鶏に賭ける情熱から生まれたビジネスは、まだまだ大きな可能性を秘めている。この烏骨鶏を石川ブランドとして次代に受け継いでいく後継者育成が真の課題かも知れない。

烏骨鶏 店舗
商 号 (株)烏骨鶏
所在地    金沢市西念4-21-18
設 立    平成16年5月

資本金 1500万円
年 商 9億円
社員数 45名
HP 金澤烏鶏庵


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