<商い益々繁盛店>(株)高澤商店(七尾市)

石川県産業創出支援機構(ISICO)では、石川県内で頑張っている繁盛店を取材し、商い益々繁盛店としてご紹介いたします。

石川県の繁盛店をご紹介!<商い益々繁盛店>
<商い益々繁盛店>(株)高澤商店(七尾市)


高澤ろうそく店 日本の伝統文化を守り、受け継ぎ、後世へ

時代の変化がめまぐるしい中にあって、明治25年の創業以来、七尾市に店舗を構え、和ろうそく一筋に商いを続けているのが高澤ろうそく店である。今も昔も仏事用途の需要が大部分を占めるものの、現代の生活様式にもマッチする和ろうそくの新商品・新用途開発、インターネット通販を手がけるなど、温故知新の精神を日々の商いを通して実践する四代目・高澤良英社長にお話を伺った。

●和ろうそくの現況
和ろうそくの炎和ろうそくの製造は、山形県・福島県・新潟県・富山県・石川県・福井県・滋賀県・京都府・名古屋市において、現在も20社あまりが商いをしている。どの地域も信仰心の厚い地域で、仏事需要が商いの大部分を占める。高澤ろうそく店は、各地にある仏事問屋に商品を卸し、そこを通して小売店やお寺に販売している。小売は一本杉町にある本店のみで行っている。和ろうそくの需要は、北陸においては時代の変化にさほど左右されることなく、コンスタントに推移しているという。同店では15名の職人がろうそく作りに携わっており、ベテランから20代の若手まで、バランスよく世代間の引き継ぎがなされている。時代が変わったとはいうものの、日々仏壇にお参りする信仰心の厚い北陸の人たちにとって和ろうそくは必需品なのだ。昔はろうそくと言えば、あえて和と付けなくても和ろうそくのことだったが、最近では洋ろうそく(キャンドル)と区別するために和ろうそくと呼ぶようになり、家庭の仏壇で使うものとお寺で使う大型の仏事用とに大別される。

●和ろうそくの歴史
高澤良英社長歴史を紐解くと、江戸時代に加賀藩において最初に蝋燭座が設けられ、七尾には1650年頃に蝋燭座ができたという。高澤ろうそく店が創業した明治時代には、県内各地にろうそくを商う店がかなりたくさんあったようだ。仏事もさることながら、部屋の中の明かりとしても使われていたことから、需要も多かった。蝋の原料となるハゼの木は九州や四国地方に生育するため、ハゼから採取された木蝋(もくろう)が北前船の海上ルートで七尾港にも陸揚げされ、かつてはお寺の門前にある商店街の中に必ず一軒はろうそくを生業とする店があったもの。和ろうそくとキャンドルでは原料も芯材も異なる。和ろうそくの原料は植物のハゼの木から採れる木蝋を使い、芯は和紙をベースにして、その上に灯芯(畳表になるいぐさの芯)を巻き付け、その巻いた灯芯が弾けないように真綿で何重にも巻いていく。このように、全て植物から作られ、芯が太いため炎が大きく安定して燃えるという特徴がある。一方、キャンドルは石油から採れるパラフィンが原料で、芯も細いため炎が細く小さいのが特徴である。

●新しい市場の開拓が鍵
「新しい市場を開拓していくのは大変なこと」と高澤氏は語る。仏事の需要は安定的にあるものの、仏事以外の場でいかに使ってもらうか、このテーマで試行錯誤を繰り返しているのが実情のようだ。基本的な部分は変えずに、表面のデザインや色に工夫をした加飾を施すことで、様々なTPOで使ってもらえる商品開発に取り組んでいる。そうした商品の一例として、地元の伝統工芸である九谷焼の若手作家とのコラボレーションによる九谷焼の燭台や、鉄のアーティストとのコラボレーションによるユニークな形の鉄の燭台などを既に展開している。こうした商品は、試作品ができると本店2階のスペースで作品展を開催し、顧客の反応を見ながら商品化されている。「作り手が楽しく作ってもらわないと、お客さんも楽しくないですからね」とモノづくりの持論を披瀝。

●一本杉の魅力は個店のパワーが源
2Fの多目的スペース平成に入った頃、イベント的な一過性の売り出しを行っていても商店街の活性化にはつながらないとの考えから、アートを街づくりに採り入れるべく、外暖簾を各店に掲げることを試みたのが、一連の一本杉通り商店街の街づくり活動の出発点である。各店の暖簾のデザインを県内の10人あまりのデザイナーに依頼したものの、「暖簾を掲げるには自らの商いに対するポリシーがしっかりしていないと暖簾も掲げられないことから、毎晩のようにデザイナーたちと議論を重ね、自らの商いを原点から見つめ直す好機になりました」と述懐する。それに続いて国際石彫シンポジウムを3年間開催し、一本杉に国内だけでなく海外からも作家が集い、一本杉を活動の拠点に石の彫刻作りに取り組み、商店街の各店の前にその作品が並べられている。そうした作家たちと交流しながら街づくりについて語り合った日々が商店街にとって大きな財産となっている。一過性のものではなく、時間をかけて街づくりに取り組んできた成果が今日の一本杉通り商店街の元気の源になっているのだ。一本杉通り商店街を暖簾とアートの街にしていこうとの方向性を打ち出し、その活動を通して外部のデザイナーや雑誌編集者、カメラマンといった人たちとの人脈の輪が広がり、商店街の各店の二階に集まって、近所の奥さん方の手料理を肴に懇親を深めながら街づくりを語り合う日々が多くなり、そうした中から花嫁暖簾を各店に掲げることや、商店街にある5軒の歴史ある建物を登録有形文化財にすることなども、これまでの人脈のおかげで実現したという。そのような時間をかけた歩みを経て、一本杉通りは元気な商店街として全国に名を馳せるまでになったのである。

●これからの商い
華やかな模様のろうそく新しい時代に向けた販路開拓の一環として、昨年と今年、パリで開催された国際見本市『メゾン・エ・オブジェ』に和ろうそくを出展し、現地での評価を探った。「バイヤーから色や形がおもしろいとの反応があり、すぐに商談にはならないものの、海外でも和の伝統に対する関心を持ってもらえることは実感できた」と手応えを感じている。他にない稀少な伝統商品である和ろうそくは、ネット通販で魅力を発信できる商品価値が高いものであることから、インターネットを活用した販路拡大なども今後の商いにおいて重要な課題の一つとなるのではないか。既に、同店もホームページを開設してろうそくの通販をスタートしているが、さらに工夫を加えることで新たな展開が開けるものと思われる。伝統産業において、事業を後継する人材を育てることが経営者にとって一番重要な仕事である。その意味では、幸いにして高澤社長のご子息が五代目として後継すべく修業中の身であることは喜ばしい限りである。「時代がどう変化してもろうそくを中心にこれからも商いを続けていくことに変わりはありません」とこの道一筋を強調する。

■インタビューを終えて

和ろうそくの太くて大きな揺らぎを静かに眺めていると心安らかな思いになる。そんな癒しの効能もある和ろうそくを、ストレスの多い現代の日常生活に採り入れてみるのも新たな用途のように感じられた。 高沢ろうそく店 外観

商 号 (株)高澤商店
所在地    七尾市一本杉町11
創 業    明治25年

資本金 1000万円
年 商 3億円
社員数 23名
Webショップ ろうそく屋 浅次郎


 


お店ばたけプラスホームページ

お店ばたけプラスホームページへ
ISICOバーチャルモール「お店ばたけプラス」は、(公財)石川県産業創出支援機構が運営するインキュベーションモールです。

アーカイブ

ブログを購読する(RSS)

  • RSS2.0を購読する
  • RSS2.0を購読する