「石川発!お店探訪記」 二三味珈琲(珠洲市) 木の浦の波風薫る二三味珈琲

(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」金沢・加賀・能登 頑張るお店 では、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 二三味珈琲
木の浦の波風薫る 二三味珈琲

眼前に広がる日本海の波頭と岩場の造形美を我が庭とする珈琲豆専門店が、珠洲市木の浦海岸に店舗を構える二三味珈琲である。珈琲業界はもとより珈琲通の間で知る人ぞ知る存在である二三味葉子さんが、平成13年に修業先の東京から地元珠洲に戻ってスタートした商いも、現在(平成19年)では月間600-800㎏の豆を販売するビジネスに成長している。
日々珈琲豆の焙煎に心血を注ぐ二三味さんに珈琲に賭ける思いを伺った。

●東京ではなく珠洲・木の浦
注文を受けて豆を挽く二三味さん今をときめくパティシエを目指し、大阪の専門学校で1年学んだ後、東京・成城「マルメゾン」で菓子職人の修業を4年間積むも、「ケーキ屋をするなら美味しいケーキに美味しい珈琲は付き物だから・・・」と、珈琲業界では知る人ぞ知る「珈琲工房ホリグチ」の門を叩き、さらに4年間珈琲豆の焙煎を学ぶ。
当初はケーキ屋を考えていたものの、東京で店を構えるとなると初期投資にかなりの資金が必要になり、実現は難しかった。一方、珈琲豆を焙煎して販売するだけであれば、ホリグチ仕様に改造した焙煎釜1台あれば自分一人でできる。立地を選ばず地元に帰って商売できることが心を大きく動かした。たまたま木の浦海岸に祖父が遺した舟小屋があったことから、そこを改造し、焙煎釜を設置して二三味珈琲を開店したのが平成13年のこと。

●二三味珈琲を求めて全国から
現在(平成19年)、売上に占める業務用卸は2割程度、残り8割は二三味珈琲の熱烈なファン客である。「自分の店を宣伝するようなことは何もしていませんが、この場所で商売をしていることが、かえって宣伝になっているのかもしれませんね。とにかくゼロからのスタートで、この場所だったら旅行雑誌が取り上げてくれるのではないかと期待していました。」と振り返る。
予想通り、様々な旅行雑誌や女性誌で紹介され、それがきっかけで注文も増えていった。と同時に、奥能登への観光誘客にも一役買っているようだ。
インターネットのブログには、二三味珈琲を訪ねて感激した観光客のコメントが相当数掲載されている。「地元の民宿やホテルの人が宿泊されたお客様に私の店を紹介してくださるのも有り難いことです。」と生まれ育った土地に感謝。
宅配便の普及で翌日には全国どこにでも届く便利な時代だけに、いい商品さえ扱えば店舗の場所がどこにあるかは関係ないことを証明している。

●経験したことのない馥郁(ふくいく)とした香りと味わい
コーヒーの生豆が入った袋二三味さんが焙煎した豆で珈琲を入れると、まず馥郁とした香りに「ほっ」と癒され、一口飲むと今までに飲んだことのない奥行きのある風味が口の中いっぱいに広がり、そして鼻に抜ける。喉を通過して胃に入っていくと、からだ全体が温まる、そんなパワーのある珈琲だ。喉越しの余韻がまた何とも言えず心地いい。
二三味珈琲を飲める喫茶店は、金沢市内では横安江町にある『コラボン』と東山にある『あうん堂』の二軒のみ。珠洲市内でも道の駅をはじめ何カ所か飲める店があるとのこと。
とりわけコラボンの大畠さんは、オープンしたばかりの二三味さんの店で珈琲の入れ方の直接指導を受けているだけに、「コラボンさんは私の珈琲の風味を忠実に味わうことが出来る一押しの店です。」と太鼓判を押す。東京では喫茶店1箇所と二三味さんが働いていたマルメゾンに納めている。
「私が独立した時は、珈琲を取ってあげるよとオーナーが約束してくれていたから、これは本当にありがたかったし、まず東京に1軒は取引先が確保できたと心強かった」と述懐する。

●定番は6種類のブレンド
焙煎された豆が並ぶ棚二三味珈琲のラインアップは、いいなぎブレンド(中煎り)200g800円、日置ブレンド(中煎り)200g900円、舟小屋ブレンド(やや深煎り)200g800円、二三味ブレンド(深煎り)200g800円、てっかまっかブレンド(深煎り)200g900円、エスプレッソブレンド200g900円の6種類。その他ストレート豆で10カ国の豆を用意している。
「珈琲豆の煎り加減を微妙に調整することで、20種類近いブレンドを作ることもできますが、6種類のブレンドで大まかな味の表現はできています。その他の好みは、ストレート豆から選んでいただいています。」とのこと。
開店から7年を経て、商い的には順調に伸びてきている。都会にいて、木の浦の風景を頭の中に思い浮かべながら、二三味さんが焙煎した珈琲を飲めるという付加価値が熱烈なファンにとってはたまらない贅沢なのかもしれない。

●新たなステップに挑戦
平成20年には、珠洲市内で珈琲とケーキを提供する喫茶店を開店することになっている。既に店舗となる物件は購入済みで、これから設計にとりかかるばかり。珈琲豆の販売については右腕となるスタッフが育ってきており、今は喫茶店のスタッフとなる女性に日々教え込んでいる。
珠洲市内でオープン予定の喫茶店について、「基本は地元のお客様にゆっくりとした時間を過ごしてもらうこと。地元のおじいちゃん、おばあちゃんや旅の人たちが集まる場所になるといいですね。まちなかには、木の浦の絶景は用意できないので、珈琲の腕の見せどころです。」と夢をふくらませる。
「珈琲の味を決めるのは焙煎の腕次第、この作業だけは人任せにできない。ここで手を抜くと味に微妙なブレが出てしまうから、自分の手ですべてやらないと気が済まないんです。喫茶店に関しては不安もありますが、初めてのことをやるのは楽しいですよ。」と、自らも新店舗オープンにワクワクドキドキを隠せない様子。

二三味さんの門を叩き、珈琲の焙煎を勉強した青年が平成19年4月に独立し、地元大分に戻り喫茶店を繁盛しているとのこと。弟子を一人前に育て上げる大仕事から開放され、今一度初心にかえり、新たなステップに挑戦する二三味珈琲の飛躍に期待したい。

■インタビューを終えて・・・
木の浦の絶景を我が庭のように佇む二三味珈琲。外浦の風雨に晒され歳月を生き抜いてきた舟小屋を活用した二三味さんの心意気が、焙煎された珈琲豆の一粒一粒にまで染み渡り、得も言われぬかぐわしい薫りと馥郁とした個性的な余韻で味わった人を虜にしてしまう珈琲だ。舟小屋ブレンドの香りと風味が時間が経っても心地よく全身を癒してくれる。「知る人ぞ知る」この枕言葉はまさに二三味珈琲のためにある。

(平成19年11月取材)

二三味珈琲 店内の様子商 号 二三味(にざみ)珈琲
所在地    珠洲市折戸町木の浦ハ-99
創 業    平成13年5月
電話番号 (0768)86-2088
営業時間 8:00~16:00
定休日 月曜日



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