「石川発!お店探訪記」 エス・カーブスタジオ(加賀市) 我風を吹かせて30年余り 加賀に我あり

(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」-金沢・加賀・能登 頑張るお店-では、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 エス・カーブスタジオ
我風を吹かせて30年余り 加賀に我あり エス・カーブスタジオ

JR加賀温泉駅裏手にあたる作見町の一角にあるS字カーブを曲がると、個性を主張するエス・カーブスタジオの白い建物が忽然と現れる。大きな木の扉を開けると、その向こうはまさに異空間。他店にない独特の空気と個性を主張する商品の数々に圧倒される。

遡ること30年前、自らが着たい服を欧州に求めてスタートした小さなセレクトショップが、今では地方都市にありながら、国内屈指の販売力を有するショップとしてその名を馳せている。
地方のハンデを物ともせず、強烈な個性で邁進する塩浦正浩社長にお話を伺った。

●東京でもニューヨークでもなく、加賀
S字カーブになった道路に面する店舗加賀市の農村で衣料品店を営む家の長男に生まれた塩浦氏は、大学卒業後、東京の大手呉服メーカーに勤務した後、27歳の時に実家に戻って家業を手伝う。
洋服好きの塩浦氏にとって、近隣に自分が着たいと思う服を売っている店がなかったことから、それを自ら探し自ら販売しようと、両親の営む衣料品店の片隅に2畳分ほどのコーナーを設け、店舗がS字カーブになった道路に面していたことから「エス・カーブスタジオ」と名付けて商いを始めたのが今日の原点である。

●自らの感性に適(かな)う洋服を求めて海外へ
エスカーブスタジオ3階開店に向け、ロンドン、パリ、ミラノといった世界のファッションをリードする最先端の地へ貯金を叩いて買い付けに行く。買い付ける商品は、そのデザイナーが100の商品を作っていた場合、日本の商社はそのうちの30ぐらいしか仕入れていない。逆に言えば、残りの70の中に自分の感性に適うものがあるのではないか、そんなマーケティングリサーチを徹底して行ったという。
「この服なら儲かるという発想ではなく、あくまでも自分にとってプラスになるか、地域社会にどう貢献できるかがポイント。商売には、利潤の追求、社会性、永続性の3要素があると思うが、私は社会性を一番重要視している。

お客様が来店した時に、いかにサプライズさせるか、感動させるか、また行きたいと思っていただける店づくりが本当にできているかどうか。それが私の商売の根底にある。」と断言する。
金沢はもちろんのこと、富山や福井、遠くは東京や大阪からわざわざ同店まで買い求めに来る客足が絶えないことが、その言葉を裏付ける証左でもある。

●人脈こそが最大の財産
エスカーブスタジオ店内ここ10年あまり前から、欧州のマネービジネスに嫌気がさし、年4回程度、毎年アメリカへ買い付けに行っている。今はアメリカンにぞっこんだ。
この10年間で、アメリカのファッション業界のカリスマたちとの太い人脈ネットワークが構築されたことは言うまでもない。
「私はメジャーよりもマイナーが好きだ。自分が創業した当時は、ファッションは情報だみたいな感じがあったが、今はファッションは人脈ネットワークであり、人が人を紹介してくれる。」と明言する。と同時に、スタッフ一人ひとりが、社長の熱い想いを理解し、自らも社長と同じ気持ちで接客にあたっているからこそ、今日があるということでもある。
エス・カーブスピリットを叩き込むある意味での人間修練の学校的な役割も果たしているようだ。自身の子供がいない分、社員は全て分身のような気持ちであり、自ら教える部分と自らの背中を見て成長してくれることに期待を込める。

●ネット販売・セールはしない
MCストア 1階 全景「あちこちの店がネット販売をしているが、うちは絶対しない。Face to Face、Heart to Heartのビジネスをファッションの中でやっていきたい。
ネット販売はお客様に楽しみを売っていない。社会性ではなく単なる物欲を満たしているだけで、心を満たしていない。我々がやらなければいけないのは正にその部分で、芸術的なブランドを作っている人たちの、いわば"子供"が店頭に並ぶ商品であり、それをうちの店の売り場に並べ、いかに世界観を出してあげて、どう成長させていくか、そしてどういう人のところへお嫁に行くのか、そこまで見届けるのが、我々アパレルを扱う者の喜びであり、私はそういう信念でやってきている。」とポリシーを熱く語る。
「本当にいい洋服、魂のある洋服は3年経っても4年経ってもいいからセールはしない。世界遺産ではないが、長い年月を経ていても、いいものにはオーラがある。
私は、マネービジネスをやっているのではなく、本当に洋服を好きになってもらいたいと思う。だから洋服屋として他の人には負けたくない。」と活力を漲らせる。

●数が文化を創出する
東京と同じ商品を販売するのであれば、東京と加賀の物価、家賃、人件費等々に格差があるように、東京価格が28,800円のGパンを、同店では、19,800円で販売する。
「数が文化のバロメーターであり、多くの人に履いてもらえないと意味がない。28,800円のGパンだとうちでは100本しか売れないが、適正価格の19,800円にすることで400本は売れるだろうと読み、販売したところ出来高は800本を完売した」と言うから驚かされる。ビジネスとして考えた時、どちらの利益率が高いかは明白である。

●店・商品・スタッフは顧客のためにある
MCストア ショウウィンドウ「私は利益追求型の商いはしたくない。利益は全員でシェアするもの。お客様も、社員も、自分も、デザイナーも、作り手も。自分だけ儲けようという考え方では商いは成り立たない。私は縁の下でデザイナーや作り手をサポートしていくことに生き甲斐を感じている。
自分がやりたいことをやって、それに共鳴するお客さんだけが来てくれればそれでいいと思っている。」と自らの商いに対する自信を覗かせる。
「他人が100の服を見て回るのなら自分は1000の服を見て回ろうと、フットワークで稼ぐ仕入れを貫き、いろんな時代を経験してきたが、どんな時代にもセレクトショップを変えなかった。自分の好きな洋服を並べてお客さんに販売するのが自分の仕事だと思っている。30年こうしてやってこれたことは感謝に尽きない。うちにしかないもの、それを時間をかけてメジャーに持っていく。こうした努力をこれからも日々地道に実践していくのみ。」と締めくくる。

ビートルズ、ローリングストーンズの音楽で育ち、音楽もファッションもボーダレスであることを自ら率先垂範し、海外での幅広い人脈を武器に、益々血気盛んな塩浦氏である。

■インタビューを終えて・・・
まさに体の中を流れる血が我々とは全く違うと痛感させられた。弟子入りしないと塩浦氏の世界観を真に理解することは難しいのかもしれない。ただ、商いに対する姿勢という点では、自分が自信を持って薦められる商品のみを販売するという、当たり前のことを当たり前に実践している。実はこの簡単明瞭なことを実践するのが最も難しいことなのかもしれない。

(平成19年12月取材)

エスカーブスタジオ 外観商 号  エス・カーブスタジオ
所在地  加賀市作見町ヨ17-1
設 立  昭和52年
電話番号 (0761)74-1829
支店   MC STORE (加賀)、DeTail(竪町)
営業時間  10:00~20:00
10:00~19:00(冬季)
定休日 毎週火曜日



お店ばたけプラスホームページ

お店ばたけプラスホームページへ
ISICOバーチャルモール「お店ばたけプラス」は、(公財)石川県産業創出支援機構が運営するインキュベーションモールです。

アーカイブ

ブログを購読する(RSS)

  • RSS2.0を購読する
  • RSS2.0を購読する