「石川発!お店探訪記」 やまだ農場 (白山市広瀬町) 鳥越産米を生産・直販し、新農業モデルを確立

(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」金沢・加賀・能登 頑張るお店 では、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 やまだ農場

鳥越産米を生産・直販し、新農業モデルを確立 やまだ農場


霊峰白山の麓にあって長閑な田園風景が広がる白山市旧鳥越村。ここに、既存の農業の常識を打ち破り、家族経営で34ヘクタールもの水田で稲作を行い、収穫した米を生活者に100%直販し、自立経営を成し遂げているやまだ農場がある。農業の世界における風雲児的存在とも言える山田稔代表に農協を介しない新たな米作農業の取り組みを伺った。

● 米直販へのあゆみ
貯蔵庫
白山市広瀬町にあるやまだ農場を訪れてまず驚くのは、スタッフの少なさである。代表の山田氏夫妻とご子息夫妻、それに甥の僅か5人で、契約農家分を含め34ヘクタールの田圃を運営している。
父の代からの農家を会社勤めとの兼業で引き継いだ山田氏は、43歳の時に退職し、専業農家の道へ踏み出す。当時から『白山麓の米は美味しい』と言われていたが、実際に買いに行っても販売している所がどこにもないのが現状だった。

平成7年に食料管理制度が廃止され、自由に米が作れるようになったことを受け、それなら自分の作った米を自ら販売しようと、自宅の車庫を改造して直売所を設けたのがそもそもの始まりである。生産した米を全て農協に納める既存の枠組みから脱却し、自家生産・直販へと大きく舵を切った。

やまだ農場 店内
とはいえ、その当時はまだインターネットが普及する前。一度食べて美味しいと思った人の紹介による口コミだけが頼りで、時間をかけて一軒ずつ得意先を開拓していった。当初は農協へ出荷する分、業者へ卸す分、直販する分と3本柱でスタートし、徐々に直販のウエイトが高まり、平成14年頃から直販100%という他に類を見ない業容となり、独立独歩の経営を確立するに至っている。


● 米作りへのこだわり
出荷を待つやまだ農場のおいしいお米
「やまだ農場は、何にこだわるというよりも、まずはスタッフの人柄・人間性が一番の売りです。何よりも米を作っている我々をお客さんに見ていただければ、全てが分かってもらえると思います。」と胸を張る。

米作りが大好きな一家が、白山の伏流水に恵まれた美味しい水を使い、肥えた土地に田植えをし、情熱を傾け、日々専門性を高めるべく研究を重ね、米作りのプロとして美味しい米を育てている。旧鳥越村は美味しい米を作るための重要な要素である昼夜の気温差が大きいことも奏功している。そのうえで、『安全』『安心』『おいしさ』をモットーに、有機肥料を使い、農薬の使用を通常の半分以下に抑え、からだにやさしく美味しい米作りに邁進している。

田圃
市町村合併で鳥越の地名が消えてしまったことから、あえて『鳥越こしひかり』で商標登録を取得し、その喧伝に並々ならぬ意気込みで取り組んでいる。

● 高稼働・高効率農業に汗
やまだ農場 ホームページ
「経営診断等で専門家の方たちが調査に来られますが、皆さんが異口同音に驚かれるのは、『わずかこれだけの設備で、これだけの量をこなすというのは考えられない、不思議だ』と必ず言われます。」と語るとおり、トラクターは僅かに1台、その稼働率は2以上。通常は0.5~1ぐらいで、やまだ農場はその2倍以上の稼働率を維持している。「機械には負担がかかり修繕費は嵩むが、機械設備は必要最小限に抑えています。そのため初代トラクターの総稼働時間は5,500時間を越えており、こんなトラクターは恐らく日本中探してもないでしょう。」と自慢げに語る。つまり、1台しかない機械を早朝から暗くなるまでフル稼働させ、スタッフも休み無く働くことで、わずかな人員で効率よく収量を上げる努力を日々繰り返している。しかも、行政からの補助金は一切受けることなく自立経営での米作りを実践している特筆すべき農家なのだ。

● 付加価値の高い加工品を強化
かきもち
販売単価を上げる一つの手段として、お餅と、かきもちの加工に取り組み始めた。
3年目の平成20年は約9万枚を販売した。ただ、県内には年間60万枚売るところがあることから、そこを抜くことを当面の目標に掲げる。
「原料となる米は自前の米を使用しているので風味が全く違います。」と太鼓判を押す。「これら加工品の売上は、今は全体の5%にも満たないが、将来的には限りなく上げていきたい。」と意欲的だ。

古代米
後継者であるご子息は食糧管理制度を知らない世代で、物心付いた時から父親が自分で米を作って自分で販売する姿を見て育ってきただけに、売ることを最重要に考え、お客さんに嘘を付かない米作りにシビアに取り組んでいる。

従来の農業は米作りができればそれで食べて行けたのかも知れないが、今の農業は経営能力とマーケティング能力を兼ね備えていないと成り立っていかないことを痛感させられる。

● こめいちくらぶ通信を毎月発行
こめいちくらぶ通信
お得意先には、必ずホームページを見ていただくようにと、ことあるごとに伝えているという。
日々の仕事をリアルタイムで紹介するとともに、毎月カラーコピーで『こめいちくらぶ』という会報も発行している。「誤字もあれば脱字もあって文章も下手だが、それも愛嬌とありのままのやまだ農場を発信しています。それで我々の人と成りを少しでも伝えることができれば・・・。」と、既に152号を数える。

● 夢は広がる
山田稔社長(中央)と山田豊さん(左)と木戸口大志さん(右)
将来的には氷温貯蔵ができる倉庫を持つことを視野に入れている。食物は凍る寸前になると、自らのからだを守るためにアミノ酸などの糖分を分泌し食味が増す。その状態で貯蔵したものをお客さんに提供することで、さらなる差別化を図りたい考えだ。

やまだ農場の米は、田植えをする前に1年分の注文が入って完売に近い状態で、売れ残る心配のない堅実な商いを確立している。「米離れ、米が売れない、減反といった言葉は、我々からすれば全く理解できない世界の話に思えてならない」と首をかしげる。
「鳥越の美味しいお米を少しでも多くの方に知ってもらい、食べてもらうこと。餅やかきもちといった加工品も売り方次第ではまだまだ可能性があるだけに、他が真似のできないやり方を考えながら、安心・安全なお米をお客さんに提供することに自信と誇りを持ってこれからも取り組み、最終的には鳥越ブランドを確立させたい。」と決意を新たにする山田氏である。

インタビューを終えて・・・
米の直販100%でこんなに元気な農家が県内にあることにまず驚かされた。商いはやり方次第ということを率先垂範しているやまだ農場。米作に限らず野菜や果物などを生産する農家がこうした方向へシフトしていけば、日本の農業も大きく様変わりし、食糧自給率を引き上げていくことも決して難しいことではないように思えた。

やまだ農場
商 号 やまだ農場
住 所 白山市広瀬町二198
電話番号 (076)272-4110
創 業 平成2年
URL http://www.yamadanojo.jp/


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