「石川発!お店探訪記」 山下ミツ商店 (白山市白峰) 安全で美味しい豆腐づくり...それが全て

(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」金沢・加賀・能登 頑張るお店 では、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

-金沢・加賀・能登 頑張るお店- 山下ミツ商店

安全で美味しい豆腐づくり...それが全て 山下ミツ商店

遡ること16年前、世間をアッと言わせた1丁1,000円の「記まじめ!豆腐」を平成4年に発売した白山市(旧白峰村)の山下ミツ商店。以来、国産大豆にこだわった美味しい豆腐づくりに邁進し、平成13年、国道沿いに工場兼店舗を移転新築した。最新設備を備えた工場に山下浩希社長を尋ね、祖母のミツさんから受け継いだ豆腐づくりへの熱い想いを披瀝願った。


● 美味しい豆腐づくりに目覚める
山下ミツ商店 店内
かつては田舎に行けばどこにでもあったなんでも屋さん、そんな1軒を山下社長の祖母・ミツさんが営んでいた。味噌、醤油、お菓子、酒類、雑貨、洗剤等々日常生活に必要なモノが所狭しと並べられた店内、そんな一角でミツさんが自家製豆腐を作って販売していた。昭和59年に山下社長がその後を継いで豆腐づくりに取り組み始める。


「白峰という環境の中にある豆腐屋として自分はどう生きていかなければならないのかを考えた時、その当時の山下ミツの豆腐は国産大豆も使っていなければ、天然にがりも使っていない豆腐で、堅いという物珍しさを除いてしまえば、豆腐としては何の魅力も、美味しさもないことに気づいた。そこで、同じ作るのなら、いい材料を使って本当に美味しい豆腐を作ってみたいと思うようになり、国産大豆、天然にがりを使い、消泡剤を使わないといった原点に徹底してこだわり、高価な材料を揃え、できあがった豆腐の原価計算をしたところ1丁1,000円という価格になったのです。」と述懐する。

● 国産大豆にこだわる
豆腐
国産大豆にこだわった豆腐づくりを志す全国の豆腐屋6人が集まり、日本地豆腐倶楽部を結成して活動している。そのメンバーの一人で大分県で豆腐づくりを営む『豆の力屋』の社長から大分県の大豆がいいことを教えられ、大分県産の大豆「むらゆたか」と出会う。

ところが、平成14年、国産大豆の不作に見舞われる。10年に1度ぐらい不作の年があると言われていることから、たまたまその年に当たったと軽く考えていたところ、その翌年も不作になり、さすがに考え方を改めないといけなくなったという。
「当時は、大分と地元と北海道の大豆を使っていて、豆腐のパッケージにも『大分県のむらゆたか使用』と明記していましたが、不作が続いたことでそれが書けなくなった。そんな緊急事態で、仲間の中にも国産大豆から一部輸入大豆に切り替えるところも出てきた。その時、自分たちはどうするか、当社は企業理念で、国産大豆を使用し消泡剤を使わず天然にがりだけで固めることを宣言しており、この企業理念に忠実であることをスタッフと共に再確認し腹をくくりました。」と振り返る。

おから茶
従来までの一つの産地、特定の農家とだけの取引は、自然が相手だけにリスクが大きいことから、大豆の仕入れ先を分散させる方向に切り替え、大豆問屋から全国の様々な産地の情報を収集し、選別して仕入れている。
これによってリスクを分散し、コンスタントに上質な大豆を仕入れる体制が整ったのである。「いい原料を使ってこそ美味しい豆腐ができる。原料の質を落として技術で美味しくするなどあり得ません。」と断言する。

● ホームページは一つの店舗
山下ミツ商店 ホームページ
同社のホームページを見ると、丁寧に作り込まれており、これは売れているだろうなぁとの印象を受ける。その点について尋ねると、「いやぁ全然売れてませんよ」と意外な答えが返ってきた。「もちろんこれから売れていくだろうと信じてやっていますし、今の時代には絶対必要だと思っています。ただ、売上にどれだけ結びついているかとなるとほとんど結果が出ていません。豆腐という商品はネットで注文していただけない商品なのかなぁ・・と疑心暗鬼になっていますよ。」と歯痒い胸の内を吐露する。

通販をする上で豆腐の弱点は、生もので日持ちしない、運搬の衝撃で破損しやすい、単価が低いといった点が上げられる。豆腐の価格の他に運賃や保冷剤等で1,000円あまりプラスになると、買う側の気持ちが引いてしまうと分析する。
大手ショッピングモールに参加することを検討した時期もあったが、ポイントの倍率を上げたり、値引き販売に馴染めなかった。「モールで成功している方から最低客単価が1万円を超える商品でないと出店しても成功しないとのアドバイスを得て、この件は自分の中で断念しました。とはいえ、ホームページは山下ミツ商店にとって一つの店に変わりはなく、情報発信の場でもあることから、地道にやっていきたいと思っています。」と力を込める。

● 衛生管理を徹底した製造工場
山下ミツ商店 製造工場
当初は、旧本店の工場が手狭になったことから単純に広い工場を持ちたい、ついでだから国道沿いに出たい、そんな程度に考えていたという。
ところが、工場用地を取得するまでに2年あまりを要した間に、あの雪印事件が発生した。そんなことがあったため、福井県のあるスーパーが抜き打ちで同社の工場を検査に訪れ、予想外の悪い結果が出てしまった。衛生面には気を付けてやっていたつもりだっただけに、その結果に愕然とする。

早速、衛生管理の専門家のアドバイスを受け、既にできあがっていた設計をリセットし、衛生管理の徹底した工場にすべく設計をやり直した。他県にお手本となる工場があると聞けば、設計士と共に見学に出かけ、そこの責任者から話を聞いて勉強して回ったという。そうした試行錯誤を経て、HACCP対応を意識し、衛生管理を徹底した新工場が平成13年11月に竣工する。

ミツの朧豆腐
製造室への入口にはローラー掛け、アルコール殺菌機、手洗い洗浄場が設置され、手洗い洗浄をしないと入室できないようになっている。工場内の天井部からは空中浮遊菌を死滅させるオゾンエアーが噴霧されると同時に殺菌灯も完備することで、衛生的な環境を維持できる。また、壁・天井はパネル化され、壁と床面の接点をR状にすることで、隅々まで清掃が可能で清潔さを維持しやすい構造になっている。

製造工程で使用する機械器具類は錆びにくいステンレス製のものを用い、可能な限り隙間の少ない構造にすると共に、設置面を床から30cm上げることで、機械下部の清掃もスムーズに行えるよう工夫されている。この工場は、2階からガラス越しに見学できるコースが設けてあり、取引先企業に全て公開している。
「これだけの工場を建てられるとは夢にも思っていませんでした。一歩一歩階段を上ってきて、気が付いたら今の状況になっていたわけで、本当にいろんな人に支えられて今日があるとつくづく思います。」と感謝することしきり。


● 美味しい豆腐づくりが永遠のテーマ
豆腐を冷却
人工的な消泡剤は一切使用せず、原料は厳選した国産大豆。水は霊峰白山の伏流水。風と太陽の光だけで結晶させた高知県佐賀町の天然にがりを高温状態の豆乳に加えて数秒で均一に攪拌(かくはん)し、1回で寄せる。手間はかかるが全て手作業で泡を取り除いている。

山下浩希社長
できあがった豆腐は包装後、風味を守るため加熱殺菌せずにすぐ冷却水槽に沈めて冷やし、山下ミツ商店の豆腐ができあがる。自ら豆腐づくりにおけるストライクゾーンをどんどん狭くしていくことで、壁に直面することも多々あるようだが、それを克服することを敢えて楽しむかのように商いに邁進する山下社長。

『変化こそ成長の証し』と捉え、豆腐づくりは日進月歩で変わってきているが、美味しい豆腐づくりをコンセプトに、山下ミツ商店の挑戦に終わりはない。

インタビューを終えて・・・
国産大豆、天然にがりにこだわり、消泡剤不使用を貫く豆腐づくりの大変さ、これは並大抵ではないはず。その苦労を内に秘め、自然体で振る舞う山下社長の商人魂に感服させられた。

山下ミツ商店 外観
商 号 (株)山下ミツ商店
住 所 白山市白峰チ62-6
電話番号 (076)259-2024
創 業 明治20年
URL http://www.mitsu102.co.jp/


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