「石川発!お店探訪記」 伊藤ふとん店 (小松市) お客様とのコミュニケーションが商いの要

(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」金沢・加賀・能登 頑張るお店 では、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 伊藤ふとん店

お客様とのコミュニケーションが商いの要 伊藤ふとん店

かつては通りを往来する人で賑わった小松市サンプラザ中央通り商店街だが、今は各地の商店街がそうであるようにシャッターが降りた空き店舗が目立つ寂しい光景が時代の変化を象徴している。そんな中で、来店客を待つのではなく、自ら得意先を廻る昔ながらの御用聞き商いで、創業以来113年余り、3代目として伊藤ふとん店を守る伊藤誠一・裕江ご夫妻に商いの秘訣を伝授願った。


● 綿屋からふとん屋へ
伊藤ふとん店 木綿布団
明治43年、初代が明治43年に伊藤綿店という店名で綿屋を現在地で始めたのが前身である。現在のようなふとん店になったのは昭和43年頃のこと。昔は布団の中に入っている綿の打ち直しはもちろんのこと、各家庭でお母さんが家族の布団を作るのが当たり前の時代だったため、綿が飛ぶように売れたという。

手作りの座布団
誠一氏は学校を卒業すると京都のふとん店に4年間修業に行き、父親の後を継ぐ。店を手伝い始めた昭和40年代は、ふとん店にとって最も良い時代で、とりわけ敷布団の下に敷くマットレスが面白いように売れた。その頃は大型店もなく、商店街にはすれ違う人とぶつかるぐらいにたくさんの人が訪れ、「ほんとうにのんびりと商いができるいい時代で、営業しなくてもお客さんが来店され売上があがった。今思うと嘘のような話ですが、ほんとうにいい時代だった。」と述懐する。

● 口コミこそが商いの武器
オーダーのこたつ布団
現在のお得意先はお年寄りが多く、大型店ではなく同店へ足を運んでもらえるが、若い人は皆無になってきているのが実情だ。
「そうしたお年寄りもだんだんと家から出られなくなってきていることから、電話をいただくと商品を車に積んで訪問しています。いろんなお話をしながら商品をお見せしていると、そこへご近所の方が来られて話に花が咲き、『このこたつ布団はどこで買ったの』というような話になり、『これは別注で作ってもらったんや』『どこのお店で作ってもらったん』『伊藤ふとん店や』と当店の名前を言ってもらうと、『あら、それじゃ私もお願いするわ』と口コミで商いの輪が広がっていくのです。

座布団
こうした人との出会い、つながりが商いの面でとてもプラスになっています。」と裕江さんは顔を綻ばす。

● 布団を長く使ってもらうために
ふとん作り直しセールのDM
春から夏にかけて、冬の布団を片づける時期をめがけて、仕立て直し、打ち直しセールのDMを発送している。その期間に電話いただいたお客さんのお宅を訪問し、打ち直しする布団を引き取ってきてリフォームする。「綿は手入れ次第ですごく長く持つことを年配の方は分かっているが、若い人は布団は古くなったら捨てるものだと思っている。外側の生地を取り替え、綿も打ち直せば新品同様になること、背が伸びればロングサイズにもなるといったことを教えてあげたい。」と裕江さんは力を込める。

敷き布団の体験コーナー
敷布団はからだを乗せる一番大事な布団で、最近は健康ふとんがいろいろと出ていることから、実際に寝てみてもらえるよう体験コーナーを店頭に設置してある。布団同様に枕一つにしても肩こりがひどいとか、病院に行っても直らないといった人には、いろんな枕を実際に試してもらい、その人に合った枕を勧めることにも力を入れている。
お年寄りになると、体力が無くなり重い布団を干すのは大変な重労働になることから、敷布団を薄手のもの二枚に分けることを提案したり、痒いところに手が届くではないが、その人その人に相応しい布団ライフを親身になって提案している。まさに専門店ならではである。

● オーダーとリフォームを柱に
こたつ布団 生地
近年、椅子に座って入るコタツが流行り始めており、特大サイズのコタツ布団の注文がかなり入ってくるという。加工するのも大変だが、こうした量販店にできない小回りの利く対応こそが、専門店の強みに他ならない。「そうしたこだわりのお客さんが増えてきています。」と嬉しそうに誠一氏は話す。特にコタツ布団は寝具と異なり人目に付く場所で使うものだけに、ある意味同店にとっての宣伝効果もあるわけだ。そのためオーダー用生地の品揃えを豊富にし、他にはない商品を提供できることをアピールする。

様々な模様の生地
店頭販売が売上の4割、残りの6割が布団の打ち直しと布団の仕立て、いわゆるリフォームとオーダーである。世の中は羽毛布団が主流ではあるが、木綿の布団じゃないと眠れないという根強いファンが意外と多いのだという。ある程度の重みが布団にないと眠れないというこだわりのお客さんからの注文が多く、仕立て部門は混雑している状況だ。ご主人が綿入れを担当し、縫製と仕上げを奥さんが担当するという二人三脚の商いで、加工も仕立ても自分たちの手で真心込めてやっていることをお客さんに強くアピールしている。

それは布団だけに留まらず、例えばお見舞いにパジャマをプレゼントしたいが、小柄でサイズがない場合などはズボンの長け直しなどにも対応している。奥さんの洋裁の腕が見込まれ、洋服のサイズ直しやリフォームも引き受けており、これも口コミで依頼が増えている。

● 健康にいい寝具を提供する
伊藤裕江さん
最近はアトピーに代表されるアレルギーの人が増えてきている。若い人たちはほとんどが羽毛布団を使っているが、羽毛布団は動物性のものが中に入っていることから臭いがしてあまり勧めたくないという。しかも使用しているうちに中の羽根が外へ出ようとすることから、埃の出にくいアレルギーの人向けの布団として、コンフォレル綿というアメリカ製のつぶ状の綿が中に入っている特注布団を販売している。これは、木綿だけど使い心地は羽毛布団のように軽く、しかも埃が出にくいよう加工されている。これなら子供でも大人でもアレルギーのある人にも問題なく使ってもらえる。「こんないい布団があることを若い人たちに教えてあげたい。睡眠は人間の健康にとってとても大切なことで、寝不足すると食欲が減退し、病気にもなるし、勉強もできないし、いい仕事もできないです。」と裕江さんは力説する。

● 若い人に正しい知識を伝えたい
伊藤ふとん店 暖簾
2年ほど前から、近くの中学校の生徒たちが商店に来て勉強する体験学習が始まり、同店も毎年女子生徒を2人受け入れている。「彼女たちが布団についていろんなことを質問してくるので、学校では学べないことを教えてあげると、活き活きとした顔になるんですよ。学校へ行って子供たちの前で布団について講義したいぐらいの気持ちです。」と顔を綻ばす。

「いい眠りをお客様にいかに提供するか、人生の3分の1は寝ているだけに、もっと眠りに気を配り、いい寝具を使ってもらいたい。お客様との出会いを大切にし、自分の存在をアピールすることが、何よりの宣伝効果かなぁ・・」と益々意欲的なご夫妻である。

インタビューを終えて・・・
お客様を大事にする。この一語に尽きるのではないか。小さな店だからできることを最大限に行い、お客様の話し相手になることも大切な仕事と認識し、御用聞き精神で顧客の心を掴んでいる。

伊藤ふとん店 外観
商 号 伊藤ふとん店
住 所 小松市竜助町141
電話・FAX番号 (0761)22-4634
創 業 明治43年
定休日 毎週水曜日
営業時間 9時~20時



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