「石川発!お店探訪記」 (有)マルガー(鳳珠郡能登町) 能登産にこだわった心意気が伝わるジェラート

(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」金沢・加賀・能登 頑張るお店 では、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 マルガージェラート
能登産にこだわった心意気が伝わるジェラート マルガージェラート

能登町に新鮮な生乳を原料に美味しいジェラートを製造販売しているお店があると聞き、早速伺ってみることにした。梅雨入りしたとはいえ、今年は真夏日続きとあって、冷たくて美味しいジェラートはこの季節一番人気の高い商品でもある。穴水からボラ待ちやぐらの見える海岸線を走り、能登町に入りしばらく行くと目指すマルガージェラートの看板が見えてきた。(有)マルガーの柴野大盾監査役にマルガージェラートの魅力を伺った。


● マルガーの歩み
柴野大盾監査役
能登町一帯の里山で昭和42年に始まった国営パイロット事業で、農地が造成された際、広大な土地を活かした北海道型の酪農に自らの人生を賭けるべく入植した柴野氏だったが、牛乳を生産して10年あまりすると、牛乳がだぶつき、生産しても買い取ってもらえない状況に直面する。

そんなことが約10年おきにあり、そのたびに資金繰りに追われていた。

マルガージェラート 店舗
「こんなことを続けていても・・と思い始めていた平成10年に息子が就農したのを機に、親子で酪農の将来をじっくり話し合い、自分たちの手で、飼料からこだわって育てた乳牛のミルクを原料にジェラートを作って販売することを思い立った」と創業の経緯を語る。
とはいえ、その世界は全くの素人だけに、国内で牧場のアイスクリームを看板にしている店を食べ歩き、子息は遠くイタリアまでジェラートの研修にも参加した。

1年あまり様々な試行錯誤を経て、搾りたて生乳100%で、後味がさっぱりとしながらコクのある、低脂肪・無添加のマルガージェラートの味を確立するに至り、平成11年、(有)マルガーを設立し、本格的にジェラート販売を開始する。

● ジェラート専業に方向転換
バリー恵ション豊富なジェラート
2年後の平成13年、NHKの大河ドラマ「利家とまつ」放映に合わせ、金沢城の中で開催されたイベントに出店したところ、予想以上の反響があり利益も出た。それに自信を深め、30年あまり続けてきた酪農をやめ、15年からは原料乳を購入する形に切り替え、ジェラート製造に専念する。ただ、店頭販売だけでは季節の売上のバランスが極端で、夏は1日何百人と来店客があっても冬場はゼロの日もあったりした。そんなことから、冬場の売上を増やす方策として、全国のホテルやレストラン、居酒屋などにジェラートを卸す業務用のウエイトを伸ばすことに力を注いできた結果、今では売上全体の6割強を業務用卸しが占めるまでに。「卸し業務が順調に伸びたことで、店頭販売のジェラートが落ち込む冬場にもコンスタントに注文が入り、年間を通して安定した商いができ、経営的にも非常に楽になりました」と満足げに語る。
平成14年には、イベントで好評を得たことから野々市町に2号店を出店し、金沢近郊の顧客を着実に獲得してきている。

● バリエーション豊富なジェラート
左から抹茶・珠洲天然塩・赤崎いちご・大納言小豆
量的には少ないものの、能登には季節の野菜や果物が数多くある。野菜にしても果物にしても、長い間農業に携わっていため人的なネットワークがあり、苦労することなく様々な食材が入手できる。そのおかげでバリエーションに富んだジェラートのメニューが実現しているのだ。定番メニューは、珠洲の塩、宇出津(うしつ)のいしり、能登町のいちご・かぼちゃ、五郎島のさつまいも、抹茶、黒ごま、ブルーベリー、つぶつぶバニラ、チョコラータ、ローストアーモンド、クリームチーズ、ラムレーズン、金時草、加賀梅酒、日本酒等々、名前を聞いただけでも甘党には垂涎もののラインアップだ。その他、季節のフレーバーとして、さくら、よもぎ、牡蠣貝、ゆず、すもも、栗、バラ、加賀棒茶、マンゴー、イチジク、白桃、スイカ、梨、枝豆等々、こちらもバリエーションに富んでいる。このように県内の様々な食材とコラボレーションできるのがジェラートの魅力でもあり、これからもいろんな広がりが期待できそうだ。

● ジェラートは栄養食品
マルガージェラートセット
ジェラートの原料は牛乳であり、カルシウム、ビタミン、カロテンを豊富に含んだ栄養食品でもある。「日本では手術後の最初の食事はおもゆですが、外国ではジェラートを食べるそうです。熱を冷ます作用もあるのかもしれませんが、口当たりが良く栄養価が高いことに着目されています。健康ブーム、癒しブームの時代だけに、そうした観点からもジェラートの魅力をアピールしていきたい」と意欲的。

● 乳製品の総合メーカーをめざし、チーズも発売
マルガージェラート チーズ
ジェラートから一歩踏み込みチーズの製造も手がけている。既にフレッシュタイプのマルガーモッツァレラ(100グラム)640円、熟成タイプのマルガーゴーダ(100グラム)850円を発売している。モッツァレラはフレッシュタイプのためクセがなく、後味がさっぱりとしていて、調理しやすいのが特徴で、石川県商工会連合会が主催する特産品コンクールで優秀賞を受賞している。ゴーダは、4カ月間熟成して、まろやかな味に仕上がった。スライスしてそのままワインのお供に、あるいはスライスしたものにブルーベリージャムをぬり、薄く切ったリンゴを載せて食べるのがお薦めとか。「チーズはジェラート以上に奥が深く、醗酵させる時の温度・湿度・水分・時間などの環境に大きく左右され、どの要素が異なってもできあがった味が異なる難しさがあり、これからも日々研究を重ねていきたい」と、納得できる商品づくりを追求し続ける姿勢を強調する。

● 次代に託す商い
下はマルガージェラート野々市店
平成20年、金沢市香林坊の109裏に子息が支店をオープンした。「私は場所的に反対だったが、息子がどうしてもやりたいと言うのでやらせたが、1年もたずに撤退しました。勉強代として、この苦い経験を踏まえ、背伸びをせずに着実な商いに徹してもらいたい」と父親の眼差しに。新鮮な生乳と地元の食材にこだわったジェラートづくりがマルガーの真髄であり、ジェラートからスタートした同社は、乳製品の総合メーカーになることが最終目標でもある。

「先般、輪島で農業をやっている知人から、輪島の『ばば瓜』というお化け瓜を紹介されました。これは、そのまま食べてもあまり美味しくない瓜ですが、それをシャーベットに仕上げてみたところ、香りも良く清々しい味になり、意外なできあがりに驚かされ、新たな一品が誕生しました。このようにまだまだ隠れた郷土の食材がたくさんあり、もっともっと掘り起こしていきたいと思っています」と現状に満足することなく、常に次を模索しつづける柴野親子の本当の挑戦はこれからなのかもしれない。

インタビューを終えて・・・
大手メーカーのジェラートに比べると、1個1個手づくりの上に、原料乳も値上がりしているため、価格的に地元のレストラン等の卸し先を開拓する際のネックになっているという。今の時代、安心・安全・無添加をアピールすることで、消費者も納得し、価格の問題は乗り越えられるのでは・・・。金沢の飲食店を開拓することは、次なるステップにつながるのではないだろうか。


(有)マルガー野々市店 外観
商 号 (有)マルガー
住 所 鳳珠郡能登町字瑞穂163-1
電話番号 (0768)67-1003
設 立 平成11年
URL http://www.malgagelato.jp/