「石川発!お店探訪記」 (有)なべよし 高砂茶寮(白山市安田町) 酒蔵に一歩入れば、非日常へタイムスリップ

(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」金沢・加賀・能登 頑張るお店 では、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 高砂茶寮 

酒蔵に一歩入れば、非日常へタイムスリップ 高砂茶寮

白山市安田町商店街にある老舗酒蔵・金谷酒造が酒蔵の中を再生し、平成15年にオープンした予約優先、"1カ月間同一コースメニューのみ、一人2,985円"を謳った画期的システムのフランス料理レストラン高砂茶寮。6年目を迎えさらにどんな進化を遂げているか、金谷芳久会長に店内を案内していただきながらお話しを伺った。

● すべては顧客満足のための演出
通りに面した入口を入り、塀で囲われ外より暗くなった通路を3歩ほど進み、右に曲がると店内への入口ドアがある。僅かな距離ではあるが、この過程に日常から非日常への期待感を醸成させる高砂茶寮流のもてなしのプロローグが秘められている。

自社商品やおみやげの小物が並ぶコーナーを通り、左に目を向けると、真っ白な玉砂利の上に木製の踏み板が配置され、その先に黒地に朱塗りのアクセントが際だつ酒蔵が出迎えてくれる。
この玉砂利の上を一歩一歩、歩みを進めるごとにお客の期待感が高まっていくという心憎い演出だ。

蔵の中に一歩入れば、そこには大正時代にタイムスリップしたかのようなしっとりとした癒しの空間が広がっている。

● 商店街活性化の一助になれば・・と決断
低価格のフランス料理フルコースそもそも金谷氏が酒蔵を改装してレストランを始めようと思ったのは、安田町商店街に賑わいを取り戻す一助として、人を呼ぶことができる拠点を作りたいと思ったから。

それも40~60代の女性がターゲット。その世代の女性に、どんな店があったらランチを食べに行きたいと思うか、自らがヒアリング調査をしたところ、ゆっくりと時間を気にせず世間話ができ、美味しい料理がリーズナブルな価格で食べられる店との結論に至る。
そのキーワードから、ゆっくりと=1回転のみ、美味しく安い=完全予約制、1ヶ月間同一コースメニューという方程式が頭に浮かぶ。これによって同一食材を大量仕入れすることで単価が抑えられ、食材の無駄もないことから低価格のフルコースが実現できた。

● 口コミに勝る宣伝なし
店内は酒蔵を利用している「女性は美味しくて、安くて、雰囲気のいい店だと思ったら、すぐに友達や知人にメールで宣伝してくれます。その口コミだけで今日までやってきています」との言葉通り、広告宣伝予算はゼロ。「この低料金を維持するには、店の宣伝をするのはお客さんの役目ですからお願いしますね」と率直に来店客に依頼しているという。

同店にとっての常連さんは毎月1回必ず来店する人である。「中には今月でこの料理はもう食べられなくなるからもう一度食べたいと言って月末にまた来店される方もいらっしゃいます」と、熱烈なファン客の存在も。昨今の厳しい経済環境もあってか、大手企業や大学の接待、白山市を訪れる外国人の利用が増えてきているという。日本の古き良き時代の趣が随所に残る蔵の中で、リーズナブルな価格でフランス料理が食べられるとあって重宝されている。

● 時代に合わせ店も変化
最近の居酒屋の店造りの影響か、個室を希望する客が増えてきたことから、1階の椅子席部分を増築し、稼働式間仕切りで3~4部屋に仕切れる個室スペースを設けた。個室を利用する場合は、室料1,050円が別途必要となるが、時流もあってか個室から予約が埋まっていくとのこと。

また、開店当初は、予約なしの来店客は全て断っていたが、昨今のご時世もあって、食材の余裕のある日は予約なしの来店客も受け入れている。さらに、赤ちゃんや小さな子供を連れての来店も以前は遠慮願っていたが、今は室料はかかるが個室を利用してもらったり、子供連れの組を個室で相席してもらうことで室料はサービスするなどの配慮もしている。

● お客の意見を率直に聞く
金谷芳久会長金谷氏は自らレジに立ち、食事を終えたお客さんに「今日の料理はどうでしたか」と必ず質問するという。

オーナーシェフの店では客側が遠慮して本当の意見を聞かせてもらえず、もし美味しくなかった場合は2度と来てもらえなくなる。その点、高砂茶寮では開店以来シェフが3人交代しているが、味は常に一定している。

その秘訣は、例えば、お客さんから「今日の魚料理の味付けは少しくどかった」と聞けば、自ら厨房に行きシェフに味付けを少し薄めにするようにその場で指示し、お客さんに常に合格点をもらえる味を保つ努力を惜しまない。「シェフの舌でいくら美味しいと思っても、美味しいかどうかを判断するのはお客さんです」と言いきる。

毎月1回必ず来店する常連さんに先月より1パーセントでも美味しい料理を提供することを常に心がけ日々精進している。

● 自らの蔵酒を活用した新商品も開発
高砂茶寮オリジナルの『千代尼生粕キャラメル』今話題の生キャラメルに高砂大吟醸の酒粕を練り込んだ高砂茶寮オリジナルの『千代尼生粕キャラメル』(1桝8個入り850円)が大人気!手作りならではのやわらかく、とろける食感がなんとも味わい深い。
生キャラメルは好評で毎日製造に追われているとのこと。「北海道の有名な生キャラメルよりもこっちの方が美味しいと言ってくださるお客さんも多く、嬉しくなっています」と顔を綻ばす。

高砂大吟醸の酒粕コラボレーションの第2弾として『千代尼粕バウムクーヘン』(5本500円)も発売。こちらは厨房が空かないと製造できないことから、幸運な人のみが購入できる希少価値の高い商品だ。お客さんの要望が多いことから、この生キャラメルやバウムクーヘン、自家製ドレッシングなどを通販することも検討中とか。

● 商店街の活性化が課題
高砂茶寮をオープンした当初、金谷氏は「私の店のような自分にしかできないやり方で人を呼ぶ仕掛けや工夫を凝らして、商店街に人を呼び込めるポイントが少しでも増えてくれれば活性化につながる」と他店の奮起に期待をかけていた。

あれから6年の歳月が流れ、現実はどうか冷静に分析すると、後継者問題や商店主のやる気の温度差もあって、商店街の活性化はまだまだ思うようには進んでいないという。

現在、安田町商店街で残っているのは製造・直売している店がほとんどだ。その個店が自らの個性により一層磨きをかけ、自分の店にしかできない商いの手法を見いだした時、どんな時代にも生き残っていける店としての地位を確立することができるだけに、金谷氏の考えに共鳴する若手後継者が一人でも多く現れることを期待したい。

インタビューを終えて・・・
一人2,985円で美味しい料理を提供するにはどうすればいいか、型破りな発想で着実に常連客を増やしてきた高砂茶寮。6年を経て、さらに次なる進化を遂げるのではないか、そんな漠然とした予兆を感じながら店を後にした。

高砂茶寮 外観商 号 高砂茶寮
住 所 白山市安田町3-2
電話番号 (076)274-1177
営業時間 昼11時30分~14時30分
夜17時30分~21時30分
定休日 不定休
URL http://www.takasago-saryou.jp


お店ばたけホームページ

お店ばたけホームページへ
ISICOバーチャルモール「お店ばたけ」は、(公財)石川県産業創出支援機構が運営するインキュベーションモールです。

アーカイブ

ブログを購読する(RSS)

  • RSS2.0を購読する
  • RSS2.0を購読する