「石川発!お店探訪記」 (有)スローライフ【ビストロ とどろき亭】(金沢市東山)スローライフを核とした事業を着々と

(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」金沢・加賀・能登 頑張るお店 は、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 (有)スローライフ 

スローライフを核とした事業を着々と (有)スローライフ 

金沢市内・橋場町交差点から東山方面に向かって車を走らせると、浅野川大橋を渡ってすぐの信号交差点角に大正ロマンを彷彿とさせる趣ある建物がある。東山のランドマーク的存在として、知る人ぞ知る『ビストロとどろき亭』がそれである。社名にもなっているスローライフをテーマに、独自の食ビジネスを展開する木村功一社長の商いとは。

● アルバイトがきっかけでこの世界へ
オーナーソムリエ 木村功一 氏
京都の立命館大学に通っていた木村青年が、暑い夏に友人がアルバイトしているホテルへ遊びに行ったところ、冷房が効いてとても快適だった。自分もこんな涼しいところでアルバイトしようと最初に入ったのが京都河原町三条にある京都ロイヤルホテル。この業界が肌に合ったのか、気が付くとホテルに就職し、ソムリエの道を目指していたという。

その後28歳で独立し、福井でルート・デュ・ヴァンという店を持ち、30歳でソムリエの資格を取得する。その後、福井に開業したワシントンホテル他、ソムリエとして福井を訪れるVIPの接待を一手に引き受けるまでになる。
ソムリエの上にシニアソムリエという資格があるが、当時は、誰でも受験できず、協会がこの人物ならと認めると初めて受験資格が与えられる難関だった。そのシニアソムリエの資格を32歳で取得し、その後8年あまり、北陸でシニアソムリエの有資格者は木村氏ただ一人。そんな経歴もあって、ソムリエや利き酒師の協会の北陸支部長に就任する。

● 東山の建物に惹きつけられる
ビストロ金沢 とどろき亭
福井から金沢に来て、市内のホテルに寄り、金沢東インターから高速に乗って富山のホテルに通うのが、支部長時代の決まりのコースだった。「その時、東山のこの建物の前を通るたびにおもしろい建物があるなと気になり、今思うと吸い寄せられるように惹きつけられた」と述懐する。

ある日、今は亡き国本化粧品店の先代に「となりの建物を借りたいが・・・」と話すと、何をしたいか問われ、「レストランをやりたい」と答えると、「それはいい。ひがし茶屋街をこれから整備していく時だけに、レストランをやるのなら助成金を引っ張ってきてあげる」とまで後押しされる。
幸いにして大家さんも快諾してくれ、平成8年にビストロとどろき亭をオープンすることができた。

葡萄酒街道(わいんかいどう)
その際、出資してもらったソムリエの先輩でもある右田圭司氏に「甘えついでに東京のソムリエスクールで勉強させてもらいたいとお願いしたところ、ソムリエスクールの事務長とワインの協会の事務長の仕事もやるように言われ、3足の草鞋を履いて勉強させてもらったことが、今の自分にとって大きな肥やしになっている」と振り返る。

とどろき亭が軌道に乗ったとはいえ、自分の給料までは出ない状況だったことから、東京から戻った平成10年に片町に葡萄酒(ワイン)街道をオープンし、自らの給料を稼ぐべく邁進する。

● 不況が直撃し、売上減とどろき亭 店内
「とどろき亭は私の店ではなく、東山のとどろき亭すなわち東山のランドマークとの認識をもっており、極端なことを言えば経営者は誰でもいいと思っています。
年中無休で深夜まで明かりをつけていることがこの店の使命だと捉えています」と界隈の活性化に供している。

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しかしながら、この不況で観光客が減っている上にお金を落とさなくなったため、ランチタイムの売上が数年前の3分の1程度に激減しているという。コンビニで簡単に済ませたり、近江町市場の飲食街に流れていると分析する。「夜のディナーで挽回しようにも、お酒を飲まないで水を飲みながら食事するお客さんがほとんどなのです」と嘆く。「道元禅師さんは、お茶を飲んで食事しなさいと言われています。水を飲んで食事するのは犬猫です。そんな思いもあって、当店ではランチタイムに水ではなくお茶をサービスしています。
お水を飲みながら食事されている姿を見ると、日本人の食文化が廃れてきていることを痛感し、情けなくなりますよ」と落胆の色を隠せない。

● 地産地消でからだにいい料理を提供
料理とワイン
とどろき亭の林料理長の実家が専業農家であることから、野菜の地産地消を実践している。「先日もお客様から『きゅうりとトマトの味が違うねぇ』と言われ、分かっていただけるととても嬉しいです」と顔を綻ばす。

野菜は仕込みに手間がかかる上に、傷みやすい食材のため、なかなか使いにくいようだが、とどろき亭では新鮮な野菜を可能な限り使うよう心掛けている。一見、そうしたこととソムリエは関係ないように思うが、「ソムリエというのは、この方にはこの料理がいい、この病気の方にこの食事はよくないといったワインの知識だけでなく、食医としての知識も不可欠なのです。つまり、韓国ドラマの『チャングム』にならないといけないわけで、私自身も食でお客さんの健康を管理できるチャングムを目標にしています」と力を込める。

● アラウンド50をターゲットにした店
犀楽
「若いときはステーキや焼肉、フランス料理などを毎日でも食べられますが、年齢と共に好みが変わり、あっさりとした和食指向になっていきます。それでも、懐石コースにある天ぷらや焼き魚の代わりに、美味しいステーキを3切だけ食べたいと思うようになるのです」と開店の動機を語る。そんな世代のニーズに応え、なおかつ和食(加賀料理)に合うワインを提供する店として、犀川べりに『犀楽』を平成19年にオープンする。ここは食材とメニューにこだわった店ゆえ予約をおすすめします。

● 気のゆるみは禁物
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サービス業にとって接客(挨拶)、掃除、服装に少しでも乱れが出た時はあっと言う間にお客さんが離れてしまう。とどろき亭では、当初女性スタッフが着物で接客していたが、着付けのできるスタッフが辞めた途端に、だらしない着方になり、観光地にある店の宿命でもあるが、観光客からのクレームがブログに書き込まれた。慌てた木村氏は、着物のユニフォームをやめ、自らがとどろき亭に毎日出て、サービスの質を今一度リセットすべく、スタッフのモチベーションとホスピタリティーの向上に日々汗している。

● 目指すはスローライフな生き方
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富山湾と立山連峰が見える七尾市内の農地を探し当て、この農園を仲間と一緒にやることが目下の楽しみ。それも趣味ではなく、適正な利潤を上げられる農業経営の確立をめざしている。金沢からバスを仕立てて観光農園ツァーができたり、そこで二次加工した商品を販売したり、通販したり、いろんな広がりが期待できるオンリーワンのビジネスモデルを構築すべく、文字通りスローライフを人生のテーマに掲げる木村氏の新たな挑戦が始まろうとしている。

インタビューを終えて・・・
社名であると同時に、自らのポリシーとして掲げてきたスローライフを文字通り実践できる環境が整ったことを何よりも喜んでいる木村氏。七尾の農園を核としてどんなビジネスが花開くのか、これからが楽しみである。

とどろき亭 外観
商 号 (有)スローライフ
住 所 金沢市東山1-2-1
電話番号 (076)252-5755
設 立 平成8年
店 舗 ビストロとどろき亭(東山)
葡萄酒街道(片町)
犀楽(片町)


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