「石川発!お店探訪記」 (株)花とも(金沢市木越町)お客様の『ありがとう』『笑顔』が商いの喜び

(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」金沢・加賀・能登 頑張るお店 は、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 (株)花とも 


お客様の『ありがとう』『笑顔』が商いの喜び (株)花とも


石川県内に星の数ほどあるフラワーショップの中でも、独自の取り組みで個性を発揮している1軒が、今回ご紹介する(株)花ともである。金沢市・内灘町・津幡町・野々市町のショッピングセンター内に4店舗を展開し、平成20年にはいしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)を活用した新たな取り組みをスタートさせるなど、積極的な商いを実践する同社の記州陽子社長にお話を伺った。

● 能登榊の復活をライフワークに
能登榊
時代と共に榊の需要が減り、出荷する人の高齢化も進み、次第に造花や外国産が幅を利かせるようになり、近年では日本人の精神が宿る神棚の榊までが外国産にとってかわられるようになってきていた。

そんな状況を目の当たりにし、「能登各地に自生している榊を途絶えさせては、次の世代の人たちは自分たちの身の回りにそうした資源があることに気が付かないまま、里山が荒れ放題になってしまう」と危機感を抱いた記州氏は、自ら能登各地へ足を運び、地元のお年寄りを説得し、行政の協力を取り付けるなど、東奔西走して何とか能登産の榊が市場に出回るまでに復活させることができた。

「私は、これを自社だけのビジネスにするつもりはなく、出荷する人たちに作り方や選別方法の指導はしますが、あくまでも金沢市花き公設市場に出荷してもらい、他の花屋さんと同じ価格で今も購入しています。生涯一花屋として、能登産の榊を復活させることが私の使命だと思って頑張っています」としみじみ語る。
毎週1回の頻度で能登各地に足を運び、生産者のお年寄りたちとコミュニケーションを深めたり、相談相手になったりと、まさにライフワークになっている。そうした人たちとの出会い、縁を何よりも大切にし、喜びになっていることが記州氏の言葉の端々に感じられる。

農商工連携の採択を受けた20年9月から21年8月までの丸1年間に2万6千束の榊が能登から金沢市花き公設市場に出荷された。それまで能登の里山で放置されていた榊が、記州氏の情熱に動かされた人たちの手によって立派な商品として生まれ変わったのである。

● 春待ち桜・能登照葉セットを発売
春待ち桜・能登照葉
記州氏が生まれた森本校下には、花園地区という江戸時代から啓翁桜を育て、春に出荷してきた産地がある。

この桜が年内に出荷されていた記憶があったことから、開花時期の研究を生産者と金沢市農業センターの協力を得て実証実験を行ったところ、見事に年内に開花させることができた。そこで、『春待ち桜』と自らネーミングを考案し、自社で商標登録を行い、売り出しに向けてのチラシを作るため、19年の年末にカメラマンに開花した桜を撮影してもらうことになった。
ところが、桜は開花している時は花だけで緑の葉がなく、彩りの点で今ひとつだったことから、緑の葉を添えて撮影することを思いつく。時期的に入荷していた能登の椿の枝と啓翁桜を合わせて撮影したところ理想的な絵になったことから、この二つをセットにして販売することとし、椿は『能登照葉』(のとてりは)と命名する。
「花だけを販売しても付加価値の点で今ひとつ魅力にかけることから、知人の武内酒造さんに相談をもちかけたところ、桜の花の酵母で日本酒を造ってもらえることになり、それなら能登照葉もお酒を造れないだろうかと思っていたところ、松波酒造の金七さんと知り合い能登照葉のお酒が誕生したのです」とエピソードを披瀝。

こうして春待ち桜と能登照葉の花とお酒のセットができあがり、20年は限定200セットを完売し、21年も200セット限定で販売される。お酒を扱うことから同社も別会社の(有)花座で酒販免許を取得し、各店の店頭でお酒単品の販売も行っている。

● 椿の縁で販路開拓
春待ち桜・能登照葉
「春待ち桜と能登照葉が商品化できた時点から、社名に椿の字が入っている東京の椿山荘に使ってもらえるようになりたいと念じていたし、機会があると目標として話していました。そんなある日、東京で開かれた石川県の物産展に出品していたところへ、偶然にも椿山荘の末澤社長さんが来場され、うちの社員に名刺を置いていかれたのです。その後、注文が入り、桜フェアをホテルで開催する期間限定で春待ち桜のお酒を使っていただき、能登照葉とのセットも販売していただくことができ、思いがけず夢が叶いました。全てが順調に回転していったのも、県の活性化ファンドの採択事業になったおかげだと感謝しています。自社だけでやっていたらまだまだ日の目を見てなかったかもしれません」と述懐する。

将来的には、この商品を金沢ブランドのギフトに育てたいと考えていることから、22年からは金沢市内と能登の各1軒の花屋さんにも扱ってもらうことになっている。
そうした輪を少しずつ広げ、販売量が増えれば、生産者にもメリットがあり、相乗効果で伸びていけることから、取り扱う店舗のネットワークを広げることがこれからの課題でもある。

● 使用済みバスケットを引き取るエコバスケット
花とも 店内
事業花ともでは、捨てるに捨てられず家に溜まっているバスケットを同店に持ち込むと、小さなものは100円、大きなものは200円の金券と交換するサービスを21年夏からスタートしている。

「回収したバスケットは、お客様にエコバスケットを使用してもいいか伺った上で、それでいい場合は、同じ予算でもバスケット代分お花が増えるメリットがあります。環境のために大きなことはできませんが、ささやかでも役に立てることがないかと思案した中からこのアイデアが生まれました。他店で購入したものでも受け入れているので、そうしたバスケットと金券を交換したお客様は必ずと言っていいほど、ウチへ花を新たに買いに来てくださり、わずかな金券で大きな相乗効果が生まれています」と顔を綻ばす。

● 『ありがとう』でお客様とつながる店
記州陽子社長
「お客様は、買い物をされた後に必ずと言っていいぐらい、お金を払っているにもかかわらず『ありがとう』と言って帰られます。お客様がお金を払った後に『ありがとう』と笑顔で帰っていただくことができる店でありたいと常に思っています。経営者としては社員のリストラをすることなく、ずっと雇用し続けられる経営者でありたいです」と満面の笑みで語る。

花ともの4店舗に勤務する13名の社員の中には、フラワー装飾技能検定という国家検定の1級有資格者が2名、2級有資格者が3名いる。
本来なら、独立しても不思議ではないが、結婚退社や出産退社以外の理由で退社する従業員が過去に一人もなく、長い人は勤続20年以上になる。それだけ働く側にとって居心地の良い会社である証左であり、記州社長の人柄に惹かれて勤続年数が更新されている。

「人との出会い、ご縁を大切に、これからも花を介して幸せをお客様にお届けする一番身近な町の花屋に徹していきたい」と決意を新たにする記州氏である。

インタビューを終えて・・・
「自分たちが自信を持って勧めるものをお客様に納得して買ってもらう商いしかやりたくない」との記州氏の熱い思いが、スタッフはもちろん、店内の品揃えにも漲っている。金沢発の新しいブランドを大切に育て、後世に大きく花咲かせてもらいたい。

(株)花とも 桜田店 外観
商 号 (株)花とも
住 所 金沢市木越町ヨ71-1
電話番号 (076)251-0008
創 業 昭和52年
URL http://hanatomo.info/


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