2011年12月アーカイブ

お店ばたけを運営する (財)石川県産業創出支援機構では、お店ばたけ「お店探訪記」取材店舗の紹介動画を作成、公開しています。

<これまで作成した店舗紹介動画>


担当職員が、取材時に撮らせていただいた動画や静止画を使い、動画作成ソフトで作っています。Youtubeを使っているのでホームページ等で共有しやすくなっています。
作成した動画は、「共有ボタン」で生成されるスクリプトで1本づつ紹介するほか、上記のように再生リストで紹介することもできます。facebookやtwitterなどで共有もできます。

Youtubeチャンネル(ISICO)はこちら
http://www.youtube.com/user/isico8203

(財)石川県産業創出支援機構(ISICO)年末年始の開館時間のお知らせ

石川県産業創出支援機構(ISICO)における年末年始のご案内です。

<年末年始の開館時間のお知らせ>

 【ISICOの通常業務】
  12月29日(木)~1月3日(火)は、休業とさせていただきます。
  その間のお問合せ等に関するご回答は、1月4日(水)以降になりますのでご了承ください。

 【年末経営・金融相談窓口】
  http://dgnet.isico.or.jp/etc/view.phtml?uk=00036110
  12月30日(金)まで開館しております。(10時~17時)

 【ISICOライブラリー】
  http://www.isico.or.jp/jp/menu/menu12.htm
  12月28日(水)、1月4日(水)の開館時間は 8時30分~17時15分まで、
  1月5日(木)からは、8時30分~19時00分までの開館です。


それでは、皆様 どうかよいお年をお迎えください。

(財)石川県産業創出支援機構「お店ばたけ事務局が注目する15サイト!」金沢・加賀・能登 は、石川県内の実店舗・ネットショップ(HP)を順次訪問しています。
サイトを開設したきっかけ、役割や効果、そして販促やページ作りで工夫されていること、今後の目標などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。


こだわりのシクラメンを看板に家族の絆が魅力の「宮子花園(みやしかえん)」
(※ 紹介動画はこちら)


こだわりのシクラメンを看板に  家族の絆が魅力の宮子花園(みやしかえん)


JR野々市駅からほど近い白山市横江町の田園地帯の中に、シクラメン栽培一筋38年、今はハーブの栽培も手がけ、ハーブティーや手作りクッキーで来園客をもてなす宮子花園(みやしかえん)がある。土づくりからこだわり、丹誠込めたシクラメンが整然と並ぶハウスを中心に、家族4人がそれぞれの個性を発揮し、他にない宮子ワールドを構築している。シクラメンに惚れ込んだオーナーの宮子豊吉さん・外喜子さんご夫妻にお話を伺った。


兼業農家から花卉専業に

オススメ商品紹介稲作農家の長男として産まれた豊吉氏は、中学2年の時に施設園芸をやりたいと心に決め、松任農業高校(現 翠星高校)で野菜栽培と花卉(かき)栽培を学ぶ中で、とりわけシクラメンの魅力に憑かれる。卒業後、県立農業短期大学の一期生として学び、卒業するとシクラメンの栽培農家として稲作と兼業でスタートする。

農作物の出来は土で8割方決まることから、シクラメン用土の土づくりから徹底してこだわり、一鉢ずつ手冠水で丹誠込めて栽培した。ところが、暫くすると栽培技術が発達し、それまでの手冠水から底面吸水方式に変わったことで、一気に大量栽培が可能になり、全国的にシクラメンの生産量が増大し、1鉢あたりの単価が下がり始める。

あられや雪にも負けないパンジー稲作も減反続きで、厳しい先行きを予感した豊吉氏は、それまで手がけていなかったガーデニング向けの春先の花苗の栽培を始めることを決断し、稲作を委託に出し、花卉(かき)栽培の専業農家に転身。昭和62年のことである。

夏の暑さにも強いガーデンシクラメン育てた花が花卉市場でいい値段で競り落とされることを目標に日々頑張っていたが、一鉢ずつ手塩にかけたものも、大量栽培したものも、市場でまとめて競り落とされるため、差別化が通らない相場の世界で、値崩れし、元も子もない結果となった。


自家栽培&自家販売

オレンジの壁が目印「花工房夢見草」そうした相場に左右される状況に嫌気がさし、それなら自分たちで売ってみようと考え、田んぼの脇に『花売ります』と書いた看板を立ててみると、予想以上に多くの人が買いに来てくれた。

そうこうしているうちに、「肥料が欲しい」、「土が欲しい」といったお客様の要望に応えるべく、育苗温室を小さな売店に改造して店頭販売を始めたところ、バブル景気に向かっていた時代背景もあって、たくさんの来店につながった。

ハーブティーや手作りケーキなどを楽しめます。平成9年には花香房夢見草を開設し、花にまつわる雑貨類やハーブティー娘さん手作りのクッキー等を本格的に販売。今に比べればまだ景気のいい時代で飛ぶように売れ、贈答用の大口注文も入り、商いは順調に推移する。


豊吉氏の話術で教室が繁盛

とても広い園内店舗をオープンしたのを契機に、園内の温室を会場に、豊吉氏が講師となって寄せ植え教室フラワーアレンジ教室をスタートし、今年で15年目を迎える。

豊吉氏の話術には定評があり、口コミで人気が広がり、近年ではあちこちから声が掛かり、出張教室も開催している。

そんな人たちの多くが宮子花園の得意客として定着。「ほとんどの方は教室の時間を楽しく過ごしたいと思って参加されているので、難しい専門的な話は一切なくし、楽しく寄せ植えやフラワーアレンジを体験してもらえるよう工夫を凝らしています」と豊吉氏はにこやかに語る。


50の手習いでネットショップを開設

宮子花園(みやしかえん)のホームページ遡ること6年前、県農業試験場からパソコン研修への参加をすすめられ、それまで二人(豊吉氏、外喜子氏)ともパソコンが得手ではなく、ましてネットショップなど考えてもいなかったが、「この機会を逃すと上達するチャンスはないと一念発起し、二人で真面目に通いました」と豊吉氏は述懐する。

たくさんんのシクラメン何回か通ったおかげで、ブログをアップすることができるようになり、ブログを並べただけの買い物カゴ機能もない簡単なものだったが、同店ホームページの前身がスタート。これによって、少しでも若年層のお客様を新たに獲得することができればとの思いだった。

そんなホームページとまで言えないような状態ではあったが、東京からの大口注文を受注することができ、インターネットの底力を痛感する。

手作りブラックべーリージャムそのことがきっかけで、本格的なホームページを開設すべく、石川県産業創出支援機構の専門家派遣を活用し、現在のホームページが平成18年に完成し、「お店ばたけ」にも出店。定期的に開催されるセミナーに参加し、研鑽を重ね、個人情報保護の観点からショッピングカートのカラーミーショップを導入し、買い物カゴの情報が漏れないようシステムを変更したところ、徐々に注文が増えてきている。


ブログは誘客に大きく貢献

ギフト用の花かごセット同店のブログは、宮子花園の顔として四季の花情報(シクラメンやブラックベリーなど植物に関すること)、花とハーブで、元気いっぱい!(ハーブやクッキーなどの加工品や家族に関すること)、花吉さんは今日も一生懸命!!(店主である豊吉氏の個人的なつぶやき)の3つのパターンに分けられており、様々な検索に引っかかるよう工夫している。現実に、ブログで紹介した花がすぐ売れ始めたり、何月何日のブログに掲載されていたあの商品が欲しいといった問い合わせもあり、着実な成果に結びついている。

ホームページの内容をタイムリーに更新したいという思いはあるが、実店舗が忙しいためそこまで手が回っていない。そのできない部分を日々のブログ更新で何とかカバーしている格好だ。さらに、豊吉氏はfacebookを積極的に活用し、将来を見据えた人脈づくりにも取り組んでいる。


直帰客をいかにして買い物に向けるか

丈夫で長持ち宮子花園のシクラメン多い月は1カ月に5万~6万件のアクセスがあるが、同店のホームページにはお客様のためのサービスとも言える、シクラメンの手入れの仕方ブラックベリーの育て方・剪定の仕方のようなサービスページが多くある。

花苗のご紹介そうしたページにアクセスして中身を読んだら直帰するパターンが多く、そこを見たついでにショッピングしてもらえるような仕掛けが十分でないため、アクセス数が多いわりには売上につながっていない。

「そのページに何かをプラスすることで、ショッピングにつながり、ファンページに入れてもらえるなど次の一歩を踏み出してもらえるような工夫をすることが課題ですね」と、外喜子さんは分析する。


家族の個々の魅力が相乗効果を発揮

白山市ある宮子花園「今後は寄せ植え等の教室をもっと増やしていきたい」と外喜子さん。教室を開催すると、1つの会場で、少なくても20人、多いときは70人ぐらいが参加するため、ある程度まとまった量の花が売れるからだ。まだまだ行っていない地域がたくさんあるだけに、そうしたところを開拓し、確実な売上につなげていきたい考えだ。

ドライハーブの量り売り家族全員がB型というユニークな宮子家、それぞれに自己主張が強く、個性的な家族が好きなことを言いながら、明るい雰囲気の宮子花園ができあがっている。

シクラメンからスタートし、そこにハーブが加わり、フラワーアレンジメントの有資格者の息子さん、調理師と菓子製造の免許を有する娘さんが加わり、商いの枝葉が広がり、宮子花園へ行けば何かあるとお客様がワクワクするショップを目標に、家族で邁進中である。



インタビューを終えて・・・
パソコンが得手でなかったご夫婦が、一日の終わりにブログを更新することが日課になり、会話の中に専門用語が飛び交うまでに成長された姿を目の当たりにし、これからのネットショップの展開が益々楽しみである。


宮子花園(みやしかえん)社 名 宮子花園(みやしかえん)
住 所 白山市横江町87番地
電話番号 (076)275-2448
URL http://www.miyashikaen.com

(財)石川県産業創出支援機構「お店ばたけ事務局が注目する15サイト!」金沢・加賀・能登 は、石川県内の実店舗・ネットショップ(HP)を順次訪問しています。
サイトを開設したきっかけ、役割や効果、そして販促やページ作りで工夫されていること、今後の目標などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。


丸紐・平紐、房のあらゆるニーズに小回りの効くモノづくりで対応 「モリ(株)」
(※ 紹介動画はこちら)


丸紐・平紐、房のあらゆるニーズに 小回りの効くモノづくりで対応携帯ストラップの細い紐(ひも)からロープと見間違うほどの太さの紐まで、様々な太さ、長さ、色柄、編み方の多彩なバリエーションを武器に、あらゆる丸紐・平紐、房類のニーズに対応する個性的な企業が、加賀市にあるモリ株式会社である。
紐と房類に特化し、ホームページ開設により全国から注文が入るようになった同社の森修英社長にお話を伺った。


撚糸+ドールヘア+紐・房

レーヨンカラー 色んな色があります先代が昭和39年に撚糸工場を興したのが同社のスタート。その後、浅草の人形問屋に節句人形の髪の毛(ドールヘア)を納めるようになる。

根付け紐平成に入ると、節句人形の髪の毛を作るついでに鎧兜(よろいかぶと)の紐や房を製造できないかと打診され、紐と房の仕事が新たに加わる。当初は、紐メーカーから購入したものを納めていたが、メーカーに注文する場合は、まとまった量が必要なため、少量多品種の注文に対応すべく自社で機械を導入し、自社生産に切り替えた。

ドールヘアについては、雛(ひな)人形は安定しているものの、市松人形や尾山人形といったその他の人形が売れなくなったことで、仕事量は大幅に減少している。


ホームページ開設で小売へ進出

房紐.com一口に紐と言っても細いものから太いものまで、全て専用の編み機で生産されている。
こうした紐類の大部分は、大手甲冑(かっちゅう)メーカーに卸しており、残りは仏具店や菓子店、根付けの紐などとして卸している。

従来までの卸業務だけでなく、一般の人にも知ってもらい、買ってもらうためには自社のホームページを開設することが一番の近道と考え、ホームページ制作ソフトを使って平成21年に自前のホームページを立ち上げた。

ひもの編み機しかしながら、年間で数件程度しか問い合わせがなかったことから、さらなる内容の充実とアクセス数アップを図るべく、石川県産業創出支援機構の専門家派遣制度を活用し、平成22年にホームページ(房紐.comをリニューアル。それが奏功し、「最近は一日に数件程度問い合わせがくるようになってきました」と顔をほころばす。

ホームページを開設するまでは卸業務のみであったが、現在は個人や企業に直接販売する小売のウエイトが少しずつではあるが伸びてきて、売上全体の1割程度を占めている。
平成23年に入ってからアクセス数が次第に伸び始め、現在は月1,300件を超えるまでになり、問い合わせも日に2~3件は入るようになってきた。

ひもの編み機同社のホームページを見たお客様から、「クレジットカードは使えないの?」「買い物カゴはないの?」と時々言われるようだが、それに対応しようとすると、セキュリティーの問題や新たなソフトを導入しなければならず、かなりのコストがかかることから、ネットでの注文が軌道に乗り、コンスタントに売れるようになった段階での検討課題としている。


様々な用途に使われる紐

カラーが豊富数ある紐の中でも甲冑(かっちゅう)に編み込む平紐の売れ行きが好調で、太めの紐になると和装やブライダルの需要もあるという。

同社のホームページでは、激得500円均一コーナーを設け販促に努めており、森社長はく「おそらく他社さんの同様の紐製品に比べて2~3割はお買い得になっていると思います」と笑顔で語る。

節句鎧兜の顎に付ける房紐(忍緒赤/金手綱16mm蝶結び)ネットで紐を購入する人の多くは、趣味で手作り甲冑を制作している人たち。東北地方は伊達政宗、愛知県は徳川家康の手作り甲冑を身につけてお祭りで合戦まで行う地域もある。
「中には自動車販売店から和装のキャンピングカーを作るので、ハンモックにつける房が欲しいといったユニークな注文や、競技用の鞭(むち)を制作している会社やアクセサリー関係の会社、用途は不明ですが鉄工所からも紐の注文がある」とのこと。

ホームページを開設したことで、京都から和装の帯締めの注文も入るようになり、さらには、時代劇の道具類を扱う業者からも問い合わせや注文が入るようになってきた。

手作り甲冑の編み込み部分に使用する紐は、150mぐらいの長さが必要で、平均消費単価は5,000~6,000円。


量販店にないものがあるのが強み

手芸用品を販売する全国チェーンの量販店等に行っても、同社が扱っているような紐や房類の品揃えが十分ではなく、楽天やヤフーのショッピングページを探し回り、それでも見つけられず同社のページに辿り着くお客様も少なくない。

検索キーワードは、平紐・飾り房・飾り紐といったものが上位を占める。
量販店が扱ってもそれほど量が出ないから置かないのだろうが、どうしてもその紐が欲しいというお客様が全国にいることも事実で、その意味ではそうしたこだわりの趣味人にとって同社はなくてはならない存在である。

節句鎧兜の顎に付ける房紐(忍緒黒/金唐打太細16mm蝶結び)そんな人たちが、同社のホームページを発見したことを同じ趣味を持つ仲間に広めるべく、自分のホームページに同社のバナーを張ったり、口コミでも宣伝してくれるおかげで、房紐.comの輪が次第に広がり始めている。

節句鎧兜の顎に付ける房紐(忍緒金色柄16mm無双結び)同社は、1,000円であらゆる試作品の製作をサービスしている。顧客が欲しい太さの紐・寸法・色を伝えれば、希望通りの試作品が送られてくるわけだ。
「これは商売としては赤字ですが、自分の欲しい紐がなくて困っているお客様に喜んでもらいたいとの思いで大出血サービスしています。

試作が本番でも構いませんという但し書きを入れてあることで、お客様も気軽に依頼できるようで、今は月に20件ぐらいの試作依頼があり、お送りした試作品が気に入ってもらえ追加オーダーが入った時が嬉しい瞬間です」と顔をほころばす。


紐・房を中心に魅力ある商い目指す

「将来的には、紐・房を中心にして、関連する商品も取り扱い、販売品目のバリエーションを広げていきたいと思っていますが、当面は、現在の紐・房に限定し、全国にまだまだいらっしゃるであろうヘビーユーザーを時間をかけて開拓していくことに力を注ぎ、当社の知名度アップを地道に取り組んでいきたい」と力を込める。

飾り紐 房付き卸業務への対応で時間が取られ、なかなかホームページを充実させることに時間が割けないのが現実だと思うが、甲冑に、人形に、菓子箱に、根付けに、携帯ストラップにと様々な商品に使われている自社の紐の使われ方をホームページはもちろんのこと、ブログを活用して発信していくことで、新たなユーザー発掘に繋げていっていただきたい。

菊結び2連古代紫、朱赤ネットを活用し、新規客を獲得していくためにもホームページのさらなる充実が課題であるが、一歩一歩ネット販売の実績を積み重ね、売上の新たな柱に育てていくことで、子息達が後を継ぎたくなる魅力ある企業に育てることが、森社長の偽らざる胸中ではないだろうか。


インタビューを終えて・・・
日頃何気なく使っている紐も専門的に掘り下げると奥が深いことに驚かされる。様々なところに紐は使われているだけに、異業種とのコラボレーションで新たな展開の可能性が広がり、これから益々楽しみである。


モリ(株) 代表取締役社長 森修英 氏社 名 モリ株式会社
住 所 加賀市大聖寺仲町6
電話番号 (0761)73-1544
URL http://fusahimo.com/

(財)石川県産業創出支援機構「お店ばたけ事務局が注目する15サイト!」金沢・加賀・能登 は、石川県内の実店舗・ネットショップ(HP)を順次訪問しています。
サイトを開設したきっかけ、役割や効果、そして販促やページ作りで工夫されていること、今後の目標などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。


創業360余年、家族でもてなす城下町・金沢最古の宿 「すみよしや旅館」
(※ 紹介動画はこちら)

創業360余年、家族でもてなす城下町・金沢最古の宿

時代が移り変わり、旅のスタイルやニーズも変化している中、かつては出張族の金沢での常宿として愛されたすみよしや旅館も、近年では国内はもとより海外からの観光客が宿泊者の9割を占めるまでに変化してきた。
そうした変化への対応の一つがホームページの開設である。創業360余年、金沢で最も長い歴史を持つ、すみよしや旅館の若女将・住未恵さんにお話を伺った。


ビジネス客から観光客へシフト

江戸時代のけやきの一枚看板現当主が8代目で、若女将夫婦が9代目となる金沢で最古のすみよしや旅館は、遡ること360余年前、なんと江戸時代の創業である。

玄関を入ると、江戸時代に加賀藩が関所を通るための通行証「手判」の交付を城下7軒の信用ある宿屋に代行させていた手判宿であったことを示す<開>の文字が入った欅(けやき)の一枚看板が、ガラスケースの中に大切に飾られている。
もちろん、その7軒の宿のうち現存するのは同館だけで、商いを長く継続することの難しさを痛感させられる。

すみよしや旅館内昭和50年代の半ば頃までは、ビジネス客が宿泊客の大部分を占め、月曜から金曜まで平日連泊し、週末は自宅に帰るという使われ方が主流だったそうだ。
それだけに旅館と常連客は家族同然の気心知れた付き合いとなり、アットホームな旅館として愛された。
その頃は、上司と部下が相部屋で泊まり、商いのいろはを教え込まれるのが一般的だったが、今は個室が当たり前の時代になり、そうしたビジネス客はホテルに流れ、旅館の魅力を堪能したい国内外の観光客が取って代わった格好だ。


ホームページで情報発信

すみよしや旅館 日本語ホームページ宿泊客の9割が観光客で、近年は外国人の宿泊客が増加傾向にあることから、予約の一手段としてネットの活用を考え、平成20年に日本語のホームページを開設した。

すみよしや旅館 英語ホームページ金沢市旅館ホテル協同組合が外国人に向けて情報発信する手段として、無料のブログを活用する取り組みをスタートさせたのを利用し、同館も情報発信したところ、外国人の予約が徐々に入るようになったことから、英語のホームページの必要性を感じ、石川県産業創出支援機構の専門家派遣制度を使って英語版ホームページを作成する。そうした取り組みが奏功し、平成22年は宿泊者の3割を外国人が占めるまでになった。

しかし、今年3月11日の東日本大震災の発生以降、外国人の利用がピタッと止まってしまった。
放射能汚染の風評被害が一日も早く収まり、外国からの観光客が戻ることを願うばかりである。外国人旅行者は、日本国内を2~3週間かけてゆっくり回る60代以上の富裕層が多い。
外国人のお客様から英語版ホームページについて「道順を分かりやすく載せて欲しい」、「コメントを載せられるようにした方がいい」といった要望やアドバイスをいただいているが、まだ対応し切れていないのが現状だ。

すみよしや旅館の地図日本語版と英語版では紹介している料理のメニューが異なっている点を伺うと、「外国人の方は加賀野菜と言ってもピンとこないし、例えば蓮蒸しのレンコンを説明してもレンコンを食べる習慣がなく、しかも原型が分からず、ねっとりとした食感のものは好まない。
また、治部煮の麩なども好まれず、そうした点にも気を配った献立づくりをしています。そのため、ホームページでは理解してもらいやすい料理を紹介しています」とのこと。

外国人旅行者から質問されることをテーマにした英会話研修にも積極的に参加し、英会話の研鑽に努めている若女将が、片言の英語で、一生懸命外国人客をもてなす姿は何とも微笑ましい。


ホームページは長所と短所が表裏一体

すみよしや旅館内「今の時代は、誰もがインターネットを利用しており、予約する前に必ずホームページで情報確認されているようで、当館のホームページにアクセスされた方の検索キーワードが、ズバリ【すみよしや旅館】が一番多いことからもそう言えると思います」とホームページ開設の効果を強調する。

ホームページの内容更新について伺うと、「目標は高く、ブログは1週間に1回の割合、月に4回書こうと思っていますが、現実は厳しく、今のところはまだそこまで書けていません」と苦笑する。

近年は直前になって予約する方が多く、同館もじゃらんや楽天に部屋を提供しているが、当日予約OKを推奨されている。「こちらからすると予めご予約いただいた方が準備できて助かるのですが、お客様のニーズに対応するためにはそうも言っていられません」とネット対応の厳しい現実も。

現在のホームページからの予約は、何回もお客様とメールのやりとりを行うため、自ずと意思疎通が図られ、チェックイン時間の変更があった時やキャンセル時の連絡が必ずもらえる安心感がある。一方、ホームページ上で予約が完結するシステムにする場合は、クレジットカードのセキュリティー強化などにも対応しなければならない。
将来的には考えなければならない時期が来ることは分かっているが、現状のメールでやりとりしながら予約を受ける形を当分は維持していきたい考えだ。


一泊朝食付きプランが人気

一番広い赤壁の間最近の予約傾向で増えているのが、夕食は好きな時間に好きなものを食べに行き、旅館では翌朝の朝食のみ付けるというパターンだ。
このニーズは年齢に関係なく、若い人にも年配者にも増えてきている。ネット販売でも朝食のみ付いているプランが先に売れる。そうした中で、いかにすみよしや旅館ならではの特徴を出していくか、若女将が常に自問自答していることである。

旅館と言えば接客サービスが最大の武器であるが、昔に比べるとあまり構い過ぎないよう心掛けている。
外国人観光客も様々で、体験教室などの予約をして欲しいと言ってくる人もあれば、全て自分一人で手配して行動する人もいる。
そんな十人十色の様々なニーズを持った人たちに、臨機応変に対応し、なおかつ全てのお客様から合格点をもらえるもてなしが日々の課題であり、家族4人が力を合わせて日々全力投球している。


すみよしや旅館ならではのもてなし

中庭「東日本大震災直後の3月、4月は電話が鳴るたび、メールが来るたびにキャンセルの連絡で本当に辛かったですが、ゴールデンウィーク以降は少しずつ戻ってきている感じと胸を撫で下ろす。

お風呂プライバシー保護や個人主義の時代にあっては、旅館よりもドア一枚で個の空間になるホテルの方が圧倒的に快適で便利である。
そんな時代にあって、そんな時代だからこそ、旅館のあり方、あるべき姿は非常に難しく、厳しい時代であることは言うまでない。

金沢市内の旅館が減少し続けている時代にあって、いかに個性を出し、特徴あるもてなしでお客様に満足を提供するか、課題は多いが、持ち前のやる気・元気・笑顔を売りに、家族だけでもてなす小規模の旅館だからこそできる小回りの利くもてなしと、近江町市場に近く、金沢の街を歩いて回るにはうってつけのロケーションにあることもすみよしや旅館の大きな魅力であり、そうしたメリットを最大限に発信し、息の長い商いを続けていただきたい。


icon_pen.gifインタビューを終えて・・・
「継続は力なり」と言われるが、一つの商いを360余年・9代にわたって連綿と受け継いできた老舗の商魂に心から敬意を表したい。様々な時代の変化を柔軟に乗り越え、機敏に対応してきたから今日があり、長引く景気低迷の今こそ本領発揮の時だと感じた。


すみよしや旅館 住 未恵さん社 名 すみよしや旅館
住 所 金沢市十間町54番地
電話番号 (076)221-0157
URL http://www.sumiyoshi-ya.com

(財)石川県産業創出支援機構「お店ばたけ事務局が注目する15サイト!」金沢・加賀・能登 は、石川県内の実店舗・ネットショップ(HP)を順次訪問しています。
サイトを開設したきっかけ、役割や効果、そして販促やページ作りで工夫されていること、今後の目標などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。


能登の珍味・うまいもんを愛情込めて楽天通販で全国に 「じんきち」
(※ 紹介動画はこちら)

能登の珍味・うまいもんを愛情込めて楽天通販で全国に


能登は穴水町に知る人ぞ知るうまい寿し屋・幸寿しがある。既にネットショップでも着実に売上を伸ばしている人気店だが、その店のご主人・橋本公生氏の長女・有子さんが4年前に、楽天内に楽天内に能登くちことこのわたの専門店「じんきち」を出店。父が運営する幸寿しのネットショップに追いつけ追い越せの気概で取り組む橋本有子さんにお話を伺った。


ゼロからスタートして4年目

能登くちことこのわたの専門店「じんきち」 幸寿しのサイトは、10年以上前からご主人の橋本公生さんが、石川県産業創出支援機構の専門家派遣を活用し、勉強を重ね、お店ばたけにも出店し、自ら運営管理しているネットショップである。
同機構が主催するネットショップコンテスト2008初代グランプリを受賞するなど、県内企業が運営する人気サイトの一つに成長している。

このわた(海鼠腸)セット自前のサイトが軌道に乗ったことから、さらに能登のうまいもんを全国に発信したいと考え、同店の屋号である「じんきち」の店名で楽天にショップを開設した。その運営管理を任されたのが長女の有子さん。
しかしながら、専門的な知識があったわけではなく、お父さん同様に石川県産業創出支援機構の専門家派遣を活用するとともに、セミナー等にも参加し、サイト運営の初歩から学び、今年(平成23年)4年目を迎える。


人気商品は「厚焼き玉子」

人気の厚焼き玉子能登を代表する珍味である「くちこ」と「このわた」の専門店としてスタートし、今は幸寿しの商品を順次メニューに加え、バリエーションを少しずつ増やしてきた。中でも人気があるのは、能登半島で産まれたセイ・アグリー健康卵を11個も使用して、女将(有子氏のお母様)が焼き上げる自家製の厚焼き玉子(1本1,000円、税・送料込)だ。
これは出汁巻きではなく、醤油・砂糖・塩・酒を絶妙に調合した厚焼き玉子で、リピーターの多い商品である。じんきちのショップでは、10月限定で、通常1,000円の厚焼き玉子を999円(税・送料込)で販売。1円の違いで注文に変化が出るかを試みた。

干しくちこじんきちのサイトは、春から秋にかけては月平均6,000~8,000件のアクセス、能登の食材が美味しい冬になると16,000件を超すアクセスがあり、そのうち1~2%程度が商品を購入する顧客に。
一度購入した顧客がしばらくして再び来店するリピート率も高いようだ。


週末の昼は県外客で賑わう実店舗

やきしお 粗めJTBが発行する旅行雑誌「るるぶ」に幸寿しが紹介されたのがきっかけで、ホームページへのアクセスが増え、県外からの来店客も急増している。
東日本大震災直後は落ち込んだものの、5月以降の土曜、日曜の昼間は60~90人程度の県外客が訪れるというから驚きだ。

自家用車での来店がほとんどだが、中には能登空港を使って東京から来る方もあり、そうしたお客様には珠洲の塩をプレゼントしている。近年は能登丼も人気で、能登丼目当てのお客様も多い。


家族で盛り立てるブログ

穴水にある幸寿し店内の様子ネット通販の顧客の大部分が県外客であることは幸寿しもじんきちも同様だ。そのため、ただ自社商品を販売するだけのページづくりではなく、能登のまつりや季節の移り変わりを伝えるブログをこまめに更新しており、なかなか好評のようだ。

実際に来店する県外客の数字に、その効果が現れており、能登への観光誘客にも一役買っている。
有子さんの息子さんは少年相撲の期待の星で、彼の活躍を伝えるブログに対する応援メッセージも送られてくるという。
このように家族ぐるみで盛り立てているほっとなページづくりが、商品購入につながる要素の一つになっているように思える。

3年熟成イカ魚醤楽天に出店して4年目を迎えるとはいえ、知名度が低いため商いとしてはまだまだこれからのようだが、「ご注文いただいたお客様には親切丁寧な対応を心がけると共に、ご注文いただいた商品を発送する際、ほんの気持ち程度ですが、ささやかなお土産を一品添え、手書きのお礼メッセージを書いてお送りしています」と有子さんの実直な人柄を感じさせる。
ちょっとしたお土産の同梱は、お客様の立場になると、ささやかではあるが、とても嬉しい心遣いであり、これからも続けていただきたいサービスである。

贈り物に最適 人気のこのわたほとんどのお客様は、くちこ、なまこを検索キーワードにじんきちのネットショップにたどり着いているが、中には息子さんが相撲をやっているため、相撲という検索キーワードで辿り着くユニークな例もあるそうだ。


細かな配慮が「じんきち」の売り

とっても人気! 鯖寿司(さば棒寿司)お客様の購買意欲をくすぐる商品紹介をするため、ホームページの商品写真にはとりわけ注意を払い、ライティング等にもこだわって撮影している。
また、売れ筋商品を作るべく、厚焼き玉子、くちこ、このわたなどをクローズアップで紹介することで、ホームページにアクセスしたお客様がクリックしたくなる演出にも力を入れている。
同時に、お客様からのレビューをチェックし、要望やサービス面で対応できることがあれば積極的に取り入れ、親しまれるページづくりを心がけている。

同店の看板商品であるこのわたは、他のどのお店のよりも美味しいと、定期的に購入する東京の寿し店もあるほどだ。
同店から発送される冷凍真空パックの商品は、全てプロトンシェフという専用のマシンで作られる。
これで冷凍真空パックにしたものを正しい解凍方法で解凍すると、本当に冷凍?と思うぐらい完璧な保存が出来るのだ。
栄螺(さざえ)の壺焼きもバター味、みそ味、しょうゆ味の3種あり、袋から出して火にかけ、沸騰したらできあがりという優れもので、自宅に居ながらにして居酒屋気分が味わえる。
鯖押し寿司やお刺身などは、その日水揚げされた新鮮なものを使い、冷蔵便で発送するが、到着まで2日を要する地域への発送は事前に断るという徹底ぶりで、食の安心・安全に関しても徹底している点が、買う側からすると安心できる。


父娘で切磋琢磨

しめ鯖じんきちのメールマガジンは、ほとんど商品のことは書かずに、日々の出来事や相撲の練習に励む息子さんのことを発信し、月に1回程度は商品をPRしている。有子さんが運営しているサイトであるという個性をホームページ上でいかにして発揮していくか、そのあたりの工夫もこれからの課題のよう。

とっても人気! 鯖寿司(さば棒寿司)「今後は、パソコン向けサイトだけでなく、携帯端末向けのモバイルサイトの充実も図っていきたいと思っています」とやる気満々。と同時に、自分らしさ、自分の色合いをネットに反映させていくためにはどうすればいいのか。日々試行錯誤しながら個性的なホームページを目指し、ネットショップの先輩でもある父が運営する幸寿しのショップに追いつけ、追い越せを目標に、今日もパソコンとにらめっこで更新作業に取り組む有子さんである。


インタビューを終えて・・・
有子さんにすれば、父親から任されて引き受けたショップ運営だったが、今ではお客様とのやりとりを楽しみながら、日々の受注応対・梱包・発送業務に勤しみ、ブログの更新も日課として生活リズムの中に取り込まれ、意欲的に取り組む姿が印象に残った。


じんきち<(株)能登前・幸寿し内>社 名 じんきち<(株)能登前・幸寿し内>
住 所 鳳珠郡穴水町大町チの37-4
電話番号 (0768)52-2114
URL http://www.rakuten.co.jp/zinkichi/

(財)石川県産業創出支援機構「お店ばたけ事務局が注目する15サイト!」金沢・加賀・能登 は、石川県内の実店舗・ネットショップ(HP)を順次訪問しています。
サイトを開設したきっかけ、役割や効果、そして販促やページ作りで工夫されていること、今後の目標などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。


アナログ+デジタル+輪島塗の加飾技術 究極の融合から生まれたミクストアート 「デザイン工房FUJI」
(※ 紹介動画はこちら)

アナログ+デジタル+輪島塗の加飾技術 究極の融合から生まれたミクストアート


インターネットの発達で、日本全国どこにいてもビジネスが可能な時代が到来し、様々な業種の働くスタイルが様変わりしている。そんな典型がデザイナーではないだろうか。これまで大阪、金沢のデザイン企画会社でデザイナーとして働いてきた経験と輪島塗の修業を経て体得した加飾技術をミックスした新しい芸術・ミクストアートによる人物画制作に取り組む藤原昭二氏を輪島市内のアトリエに訪ねた。


藤原氏プロフィール

大阪生まれの藤原氏は、大阪でデザインの勉強をする中で、伝統工芸・輪島塗に惹かれ、加飾技術を習得したいと一念発起し、輪島に修業に来たところ奥様と出会って結婚。その後、大阪には戻らず輪島にとどまり、金沢のデザイン会社で勤務する。

輪島塗の加飾職人としての腕を確立していたが、現実にはデザイナーとしての仕事の依頼が多く、幅広い分野で活躍している。その中身を伺うと、金融機関のポスターデザイン、ファッション関係のデザイン、機械デザイン、バスボディのデザイン、お墓のデザイン、棺のデザイン、店舗の内外装デザイン、キーホルダーのデザイン、CGによるバーチャルな商品見本の制作、地下道の空間デザイン等々さまざまな仕事を手がけてきた。
そうしたデザインの基本はスケッチであり、藤原氏の得意技である。これらのデザインの仕事においてもパソコンを駆使したデジタルによる仕上げ作業を行っており、現在の仕事へのプロローグでもある。
藤原さんが手がけたデザインの数々



アナログとデジタルの最たるものの融合

パソコンで作業中藤原氏はもともと絵を描くことが好きで、20年ぐらい前から絵を描き始め、個展を開いたり、オークションでミクストアート(美人像)販売していた。
近年になって、ただ普通に絵を描いているだけでは面白くないと考えるようになり、せっかく習得した輪島塗の加飾技術をミックスした作品づくりに取り組み始める。

その工程とは、手描きでスケッチした絵をパソコンに取り込み、手描きでは難しい微細な線描写や色づけをパソコンのソフトを駆使して施し、出来上がった絵を出力し、その上に輪島塗の金粉、銀粉、金箔、螺鈿(らでん)などの加飾を施し、世界に一つしかない藤原作品ができあがるというもの。

「輪島塗に限らず、加賀友禅や山中漆器など伝統産業のものづくりにも関わっていますが、独創的な手法を用いてものづくりをしようとすると、さまざまな制約が多く、なかなか受け入れてもらえない」と苦笑する。
そうしたフラストレーションがミクストアートと出逢い、一気に花開いた格好だ。

伝統工芸は手描きの最たるレベルの仕事であり、言い方を変えればアナログの最たるものである。アナログは表現の幅が限られていて狭いのに対し、デジタルは表現の幅が非常に広く、水彩でも油彩でも、ありとあらゆる表現をパソコンは可能にしてしまう。「それならアナログの最たるものである伝統工芸の技法とデジタルの最たるものであるパソコンを結びつけたらさらに面白いものができるのではないかと思った」とミクストアートに取り組んだ原点を述懐する。


オープン価格での販売

絵を販売するためのカタログ的な役割を果たすホームページを石川県産業創出支援機構の専門家派遣を活用し、平成23年3月に開設。
同時並行してヤフーオークションに人物画の作品を出展したところかなりの反応があり、これまでに40点以上を販売している。
ヤフーオークションでの反響を知り、藤原氏の作品を取り扱いたいというショップがいくつか出てきており、これから販路がさらに広がっていきそうだ。

現段階では価格は決めておらず、直接購入する場合は、購入希望者と藤原氏の相談で決まる。もちろん、ホームページに掲載されている商品ではなく、購入希望者のオーダーに応えることも可能で、自分の好きな女性の顔を描いてもらうこともできる。
展示販売するギャラリーでは、売価の30%~50%を手数料として請求され、ネットショップでは10~20%を手数料として請求される。手数料が相手先によってばらつきがあるため、定価的な価格を付けることができないのが現状だ。
家電製品に代表されるように今はオープン価格の世の中のため、藤原氏の作品もオープン価格形式である。

平成23年1月、東京・上野の森美術館で開催された「全国作家選抜美術展」に出展した作品が好評で、その作品のオークションには入札が殺到し完売したという。

藤原氏の場合、一つの作品について25のエディションを制作する限定25作品という形を取っているが、印刷ではなく、1枚1枚手作業で仕上げているため、厳密に言えば、同じ画面構成の絵であっても全て一点物なのだ。


オークションで顧客の反応をキャッチ

望み視線オークションで藤原氏の作品を欲しいと思った購入希望者は、藤原氏のホームページを訪問し、制作工程や他の作品などを一通り見た上で、改めてオークションページに戻り、入札に参加するケースが多い。

ホームページのタイトルATOは二人のお子さんの名前の頭文字をローマ字にしたものだそうで、デジタルの世界で活躍する藤原氏のアナログな一面を垣間見る思いだ。

一度購入した顧客がリピーターとなり二度、三度と購入するケースもあり、中には一人で10点近く購入しているマニアも。

ラ ピュセルオークションは顧客の反応が手に取るように分かるため、どの絵に対してどれだけ見に来ていて、入札があるのか、逆に人気のない絵はどれかということも分かる。

あまり反応が良くなかった絵は、パソコンに保存されているその原画を手直しし、売れる絵に作り替えて再度アップするというリメイク作業も行っている。


美人画の世界に藤原ありをめざし

ばらの思い サロメ藤原氏の腕を見込んで、保険会社から顧客の似顔絵を描いてプレゼントできないかといった問い合わせも舞い込んでいる。

>様々なデザインの仕事をこれまでやってきた藤原氏だが、これからはミクストアートの美人画を専門にさらに技術に磨きをかけ、この世界に藤原ありを目標に頂点を極めるべく力を注いでいく決意を新たにしている。

ホームページは名刺代わりの機能を果たすことが目的で、やはり画廊等で現物の作品を見て購入してもらうのが藤原氏の理想であり、定期的に作品を展示してもらえる画廊を探しているところでもある。

祈り「人物画の分野であれば何とか闘えるだけの能力があると思っているので、この分野で頑張って、これをライフワークにしていきたい」と力を込める。

一人ひとり女性の顔は違っても、その表情の奥に描き手である藤原氏の優しい人柄が滲み出ているミクストアートのこれからが楽しみである。


インタビューを終えて・・・
世の中にはCGに代表されるデジタルアートが氾濫し、作り手の没個性化が進む中で、デジタルとアナログ技術を融合することで、他にないオリジナル芸術ミクストアートを産み出した藤原ワールドのさらなる広がりを期待したい。


デザイン工房FUJI 藤原昭二さん社 名 デザイン工房FUJI
住 所 輪島市大野町房田79-7
電話番号 (0768)22-7059
URL http://atofujihara.com/

(財)石川県産業創出支援機構「お店ばたけ事務局が注目する15サイト!」金沢・加賀・能登 は、石川県内の実店舗・ネットショップ(HP)を順次訪問しています。
サイトを開設したきっかけ、役割や効果、そして販促やページ作りで工夫されていること、今後の目標などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。


ユニークなネーミングと信念に基づく米作りで安心と健康を後世に 「(株)林農産」
(※ 紹介動画はこちら)


ユニークなネーミングと信念に基づく米作りで安心と健康を後世に


国の農業政策に左右されることなく、自主自立の米作りに取り組み、「23世紀型お笑い系百姓」をキャッチフレーズに、ユニークなネーミングとこだわりの米作りで、お米のネット通販の業績を年々伸ばしているのが、野々市市にある(株)林農産である。3世代先の孫の時代まで見据え、笑顔をモットーに取り組むこだわりの米作りとは。同社の林浩陽社長にお話を伺った。


ネット販売に活路を求めて

普通のコシヒカリ、貴女ひとめぼれ農政に左右されることなく、自分で価格を設定できるネット販売に活路を求め、林農産のホームページをスタートしてから16年、今では年間に36,000件を超すアクセスがあり、年間平均注文件数は1,200~1,500件前後。そのうち8割強がリピーター客という高いリピート率を誇る。

お米は日本人の主食であり、毎日消費するため、2~3カ月スパンで再注文が入る。それだけ林農産のお米が美味しいことを多くの固定客が証明している格好だ。

林さんちの一番打者ハナエチゼン「商売をするなら、作り手も買い手も楽しくなる商品づくりが私のモットーで、普通じゃないコシヒカリ超普通じゃないコシヒカリ、林さんちの女王さまミルキークィーンなど、ユニークなネーミングでお客様をぐっと惹きつけて1回食べてもらえれば、味には自信がありますから。」と顔をほころばす。
売上全体に占めるネット比率は2割までに成長し、しかもほとんどが県外からの注文で、関東のシェアが圧倒的に高い。4,000円以上の購入で送料無料になることから、沖縄県、石垣島、八重山諸島、八丈島といった離島からも注文があると聞き、驚かされる。


東日本大震災による備蓄需要に困惑

普通じゃないコシヒカリ(真空パック)東日本大震災による原発事故を契機に、「備蓄」、「真空袋」などの検索キーワードで、林農産のホームページに辿り着いた新規客による備蓄を目的とした大量買いの注文が急増し、困惑の色を隠せない。
これまで、北海道は別として、東京より以北の地域、つまり米どころである東北地方からの注文は一切なかったが、原発事故を契機に、東北地方からの注文が増えている。
量が売れればいいという商いをしていない林社長は、そうした備蓄目的に対し、「お米は長期保存が効かないため、備蓄目的の大量買いは遠慮してもらいたい」と注意を促す。

林さんちのコシヒカリ林農産は、得意客にとってのかかりつけの農家を標榜しており、放射能被害を受けていない北陸の新米は価格が上昇しているが、同社の新米は再生産価格のため価格変動がなく、今年(平成23年)のように一般の小売店や量販店での店頭価格が上昇すると割安感を感じる。


完全無農薬栽培にも力

紙マルチ栽培法で使う紙のロール無農薬栽培の一手法として知られるアイガモ農法にかつてトライするも、カラスと猫にカルガモを食べられてしまいあえなく断念。
その後、現在の紙マルチ栽培法に出会い10年余り続けてきている。

紙マルチ栽培法この方法は、田んぼに敷きつめた紙が太陽光線を遮ることで雑草が生えることなく、しかも2カ月あまり経過すると自然に溶けてなくなってしまう。
この栽培法は、10アールあたり1巻170mの紙ロールを3本使用する。「紙ロールを敷設する田植え機が1台300万円するため、導入にあたっては社員の猛反対にあったが、それを押し切って決断した」と振り返る。

紙ロールを田んぼに敷き詰めるこの紙ロールを田んぼに敷き詰める作業と、田んぼ内で紙ロールを交換する手間はかかるが、紙マルチ栽培法にしてから何よりも大変な除草作業から解放されたという。


田んぼを守ることに使命感をもち

田んぼでの作業現在、野々市市内の田んぼを60軒あまりの地主から借り上げ、平均220坪の田んぼが約500箇所に点在する。
そのため、効率面は決して良くないが、林社長はそれを称して『都市部の棚田』と表現している。
こうした棚田は稲の収穫だけでなく、ヒートアイランド現象を緩和する役割も果たしているだけに、将来の子孫のために農地を守っていくことにも強い使命感を持ち、日々の農作業に汗を流している。

林さんちの店内「上には上がもちろんありますが、うちのお米を食べたお客様から、本当に美味しかった、スーパーのお米とは比較にならないといったお褒めの言葉をいただくことで、うちのお米は美味しいんだと実感し、それがまた翌年の米作りの原動力になっています」と力を込める。


メルマガは重要なツール

林さんちのホームページメルマガを書くのが重荷になっていた林社長だが、メルマガは得意客とのコミュニケーション手段であり、どんなに疲れていても一生懸命書くことを心掛けている。
例えば、稲刈りが終わったことを報告すると、それを見て新米の注文が入ってくるという具合に、こまめに書くことで、それ相応の反応(注文)があることを身を以て実感しており、得意客と同社をつなぐ文字通りパイプ役を果たしている。
当初は1カ月に1回やっと出していたメルマガだが、今では1週間に1回のペースでこまめに配信しており、「毎回ネタを考えるのが大変なんです」と苦笑する。


米加工品の売上増に邁進

林さんちの手作りかきもちお米だけを販売していても付加価値がつかない。そのため、お米を加工したかきもちお祝い餅、お鏡餅などの加工食品の売上増に力を注いでいる。
その一貫として、同社を含め農家10軒が共同で近江町市場にアンテナショップ「風土金澤」を出店。

手造りかきもち1次・2次・3次合わせて6次産業化と銘打ち、加工食品の売上拡大に邁進している。現在売上全体の3割程度が加工食品だが、これを半分にまで伸ばしていきたい考えだ。


食育がライフワーク

食育の出前事業林社長は、16年前から食育の出前授業を幼稚園や小学校で行っている。
食と命の大切さを伝えることは、私の志であり、子供達にそのことを知ってもらうため出前授業をしています。子供達に3本の苗を植えてもらい、1本目は鳥の分、2本目は虫の分、3本目はみんなの分だよという田植えの「呪文」を教えています。この「呪文」を教えるようになってから子供達がきれいに田植えしてくれるようになった」と嬉しそうに語る。
これは、みんなのことを思いやれる人間になって欲しいとのうんちくのある言葉でもある。

代表取締役社長 林浩陽(こーよー)さんこうした地道な活動が、子供達に農業の大切さ、自然の恵みへの感謝の気持ちを養い、巡り巡って林農産のお米の消費増につながっている。

23世紀型お笑い系百姓のテーマである、3世代後の子孫のために頑張っている農業の自己採点を伺うと、「私が農業に従事して30年あまり、その間に少しは進展してきたと思っており、これからも地道に継続していきたい」と決意を新たにする。県内はもとより県外からも食育の講師として招かれるまでになった食の伝道師・林社長の存在は、ますますその重要度を増している。


インタビューを終えて・・・
百聞は一食に如かず(!?)、早速、超普通じゃないコシヒカリを買い求め、玄米で食してみた。何よりも完全無農薬という安心・安全が保証されているだけに、安心して口に運ぶ。玄米の香ばしい香りが口の中に広がり、噛むたびに甘みが増し、納得の味わいである。


株式会社 林農産社 名  株式会社 林農産
住 所  野々市市藤平132
電話番号  (076)246-1241
URL  http://www.hayashisanchi.jp

(財)石川県産業創出支援機構「お店ばたけ事務局が注目する15サイト!」金沢・加賀・能登 は、石川県内の実店舗・ネットショップ(HP)を順次訪問しています。
サイトを開設したきっかけ、役割や効果、そして販促やページ作りで工夫されていること、今後の目標などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

せんべいにこだわり、新たな美味しさ、楽しさを提案 「せんべい浪漫」
(※ 紹介動画はこちら)

せんべいにこだわり、新たな美味しさ、楽しさを提案

金沢を代表する銘菓の一つである柴舟を看板商品に、創業から80年余りの歴史を有する(株)今屋。せんべいオヤジを自認する三代目・今学社長が、せんべいの新たな可能性を追求し、20年前からせんべいのバリエーション展開に取り組み、新しいせんべい文化を広めるべく邁進してきている。その一環として今年(平成23年)3月ホームページをリニューアルし、ネット通販を本格的にスタート。個性的なせんべい屋を目指す今社長にお話を伺った。


柴舟一筋60年を機に

珈琲豆入りとるてぃやん初代、先代と60年あまり柴舟の卸業務を主として金沢市本町にて商いを続けてきた歴史ある今屋。
三代目・今学社長は、時代の変化、食生活の変化、嗜好の変化など、様々な環境変化がめまぐるしい平成に入り、「このまま柴舟の卸しだけでは成長性がない」と判断。
工場の一角を改装し店頭販売を始める。

カカオ味チョコっと煎餅お客様に買ってもらうためには、美味しいことはもちろんだが、品揃え、パッケージデザイン、ネーミング、楽しさ等々の付加価値が求められる。

「珈琲煎餅 とるてぃやん」と「カカオ味 チョコっと煎餅」をセットそうした要素を踏まえ試行錯誤してきた中から、珈琲豆入り「とるてぃやんカカオ味「チョコっと煎餅、この2商品をコラボレーションした「チョコとるMIX、地元金沢の伝統工芸・金箔を散らした同店オリジナルの金箔入り柴舟「箔のかおり百通りのご縁「百縁煎餅など次々に人気商品を創り出してきている。


お客様とのご縁を大切に

百縁煎餅「海鮮煎餅」「お客様に喜んでいただくことが何よりの喜びです」と笑顔で語る今社長は、せんべい職人として自ら工場で汗を流し、日々新商品開発に取り組んでいる。

食べきりサイズ「百縁煎餅」(105円)お客様とのご縁を大切にしたい、お客様の声を反映したいとの思いを込めて誕生したのが、様々な味のせんべいが気軽に楽しめる「百縁煎餅」である。
食べきりサイズ、1袋105円の百縁煎餅シリーズは、柴舟・箔のかおり・小柴舟・柚子黒糖・金沢大野醤油・黒柴舟・ごま・黒豆・みそ・ピーナッツ・そば茶・アーモンド・メープルカシューナッツ・玄米茶・かぼちゃ・黒糖ピーナッツ・胡麻きな粉・えび・うに・かに・いかと青じそ・いかすみ・わかめ・ひじき・青のり・ごぼう・紅芋・さつまいも・紫芋・柚子・玉葱・玄米・抹茶・梅・チーズ・わさび・七味・とるてぃやん・チョコっとせんべい等々50種類あまり。

目下、商品名の百に因み100種類の商品展開を目標に試行錯誤の日々。


卸から小売りへ転身

今社長と(右)と奥様遡ること9年前、彦三大通りに面する現在地に店舗兼工場を移転新築したのを機に、本格的に小売をスタートするにあたり、他店との差別化をアピールすべく、大正浪漫をキーワードにした商品展開ならびに店づくりをコンセプトとする。

お煎餅をギフトにオフィスビルが近隣に点在する場所柄、昼休みや仕事帰りにOLが立ち寄る人気ショップになっている。
工場を併設しているため、いつでもできたてのせんべいが店頭に並ぶ。一歩店内に足を入れると今社長の奥さんの明るく元気な接客に迎えられ、こちらまで元気をもらえ、さながらパワースポットのよう。

「創業80年の歴史はありますが、卸業務が長かったため、当店の認知度が極めて低いことが課題で、いかにして今屋の名前と商品を発信していくか、これが商いの鍵を握っており、まだまだこれからです」と力をこめる。


こだわりの手作りホームページ

お菓子処金沢のおいしいお煎餅のお店【せんべい浪漫】同店のホームページ(せんべい浪漫は、細部にまでこだわりが感じられる作り込まれたもので、プロが制作したものと思っていたが、その点を尋ねると、今社長の娘さんが独学で身につけた腕前を発揮したものと知り、二度驚かされる。

それぞれのお菓子の紹介、価格帯別の商品検索といった一般的な項目はもちろんのこと、慶事・弔事・行事の用途別検索バナーがあり、顧客目線に立った心憎い配慮に感心させられる。写真点数も全ページでは相当な点数になると思われるが、全て娘さんが一人でこつこつと撮影しアップしたもの。売れ筋ランキングや注目商品のコーナーもアクセスした来店客には参考になる。とりわけ、最上部のバナーをクリックする際、配置されているそれぞれのせんべいがパリッと割れる動作には恐れ入る。

今屋の店内ネット通販の売れ行きについて伺うと「まだスタートしたばかりで、売上と言えるまでには至っていませんが、柴舟お試しセット(2,100円)百縁煎餅お試しセット(2,100円)は、いずれも送料込みのサービス品だけに人気があり、購入されたお客様の半分近くがリピーターになっていただいています」と顔をほころばす。
ちなみに、ネット通販での売上ベスト3は、金箔をまぶした柴舟「箔のかおり」、百縁煎餅の詰め合わせ、お試しセットの順。

ネットで注文した場合、通常は商品代金5,000円以上で送料無料となるが、期間限定のお盆・帰省セットは3,000円以上で送料無料のサービスを実施し、お得感を打ち出すことで、購買意欲をそそる工夫も忘れていない。


金沢にせんべい浪漫・今屋あり

百通りのご縁「百縁煎餅」かねてより地元のブランド野菜である加賀野菜を使った商品ラインナップを展開したいと考えているが、同店の煎餅は両面をプレスして焼き上げる製法のため、フリーズドライされた野菜エキス成分が焦げ付き、色味が悪くなることから、なかなか商品化に至っていないのが現状。

「例えば、五郎島金時を使った場合に、芋のかけらが目に見える形で存在感を主張している煎餅に仕上げたいと思っており、まだまだ製造方法の研究が必要ですが、何とか地産地消の加賀野菜シリーズを実現させたいですね」と目を輝かせる。

純金箔入り柴舟「箔のかおり」日本航空が、去る9月26日~30日の間、羽田空港の国内線ラウンジで開催した北陸の食品を発信するイベント「北陸フェアー」に同店の「箔のかおり」が採用され、北陸の産品の一つとしてラウンジ利用者に供された。「このようなご縁を大切にし、自社の商品を一人でも多くの方に食べていただきたい」と熱く語る。

地産地消の代表格とも言える加賀野菜シリーズの商品化、百縁煎餅の100種類展開、ホームページのアクセス数ならびにネット通販の売上アップと、眼前の課題は多いが、一歩一歩着実にクリアし、金沢を代表するユニークなせんべい工房を目指し、家族一丸となって邁進する今屋である。

インタビューを終えて・・・
職人気質で寡黙なご主人と元気で明るい接客上手の奥さんが、二人三脚で看板を守り育ててきていることを痛感させられる。そこに娘さんがつくるホームページが加わり、さらに他店にない個性的な商品展開で地道にファンを開拓し、金沢にせんべい浪漫・今屋ありと、自他共に認められる存在になる日もそう遠くないだろう。


(株)今屋(せんべい浪漫)社   名  (株)今屋
住   所  金沢市神宮寺3丁目24-2 (事務所・製造工場)
        金沢市彦三町2-5-25
電話番号  (076)254-1553
創   業  昭和6年
U R L  http://www.kagasenbei-imaya.co.jp

(財)石川県産業創出支援機構「お店ばたけ事務局が注目する15サイト!」金沢・加賀・能登 は、石川県内の実店舗・ネットショップ(HP)を順次訪問しています。
サイトを開設したきっかけ、役割や効果、そして販促やページ作りで工夫されていること、今後の目標などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。


ワインの美味しさ、魅力、奥深さを七尾から発信する櫻子マジック 「(有)西田酒店」
(※ 紹介動画はこちら)

ワインの美味しさ、魅力、奥深さを七尾から発信する櫻子マジック能登地方は、日本を代表する「能登杜氏」を代々輩出し日本酒醸造の伝統が連綿と受け継がれてきている地域である。そんな能登の中心都市・七尾市において、ワインの美味しさ、楽しみ方を独特の話術と人間的な魅力で伝え、ファンを増やしているのが、(有)西田酒店マダム櫻子こと西田櫻子さんである。マダム櫻子のワイン談義に耳を傾けてみよう。


ワインとの出逢い

ワインがずらりと並ぶ今でこそ知る人ぞ知る、ワインを語らせれば一家言あるマダム櫻子さんだが、この世界に入ったのはなんと30歳後半になった時のこと。サラリーマンだったご主人が家業の酒屋を継ぐことになり、主婦から酒屋のおかみに転身する。「この仕事を始めた頃は、ワインの右も左も分からず、ソムリエの方が付けているバッチが欲しいなぁと憧れていました」と振り返る。

ワインマダムがワインを手がけた時代は、今から見れば黎明期で、輸入元であるビールメーカーなどが酒販店向けに開催する食事付きの試飲会が頻繁に開催されていた。当時の西田酒店は日本酒とビールが主体で、ワインはほとんど力を入れていなかったが、そうした食事付きの試飲会に惹かれ毎回参加していくうち、マダムはワインの奥深さに目覚め、お客様に商品を進める立場の酒販店が最も勉強不足だったことを痛感する。それがきっかけとなり、ワインのことをもっと知りたい、好きになりたいと旺盛な好奇心に火がつく。

「ワインメーカーが全国各地で開催する試飲会があると聞けば、金沢だけでなく、東京や大阪、名古屋まで出かけて行きました」と笑いながら話す言葉の端々に、ワインについての自らの知識をもっともっと高めたいとのマダムの並々ならぬ思い入れが感じ取れる。


ワインアドバイザー

ワインワインの勉強を本格的にやりたいと一念発起し、ワインメーカーが行っている通信教育を1年間受講する。月に1回テストに回答するのだが、自宅で教材を見ながら答えを書くため、高得点が取れた。

ワインさらに年二回、有名ホテルのソムリエが目の前でテースティングの仕方やマナーなどを指導してくれるスクーリングがあった。それにも毎回参加していたところ、そのソムリエから「皆さんも来月試験を受けられますよね」と言われ、狐につままれた思いで聞き直すと、「ソムリエとワインアドバイザーの試験ですよ」と言われ、その時まで微塵も考えていなかったが、そんな機会が目の前にあるのならと、バッジ欲しさに猛烈に勉強を始める。

初めての受験は、2日間の事前講習会を寝ないで頑張ったが、不合格。2年目には合格し、ワインアドバイザーの資格を取得する。


知ってもらうためのワイン教室

nishit_05.jpgワインのいろんな味を知ることで味覚を開発し、自分に向いているかどうか、美味しいかどうか、好きか嫌いかをはっきり判断でき、味覚に幅ができる。これがマダムの考えるワインの初級段階だ。

マダム櫻子のワイン教室の様子そうしたことを目的に、定員14名のワイン教室を月1回休むことなく続けて6年目を迎える。例えば、近年めきめきと評価が上がってきているアメリカやチリといったニューワールドのワインとボルドーワインを飲み比べてみる。EUのワインはアルコール度数が11~14.5%の幅で、12%が最も多い。一方、ニューワールドのワインは15%を超えるものが多い。

ワインとしての美味しさを追求すると、必ずしもアルコール度数が高ければいいというものではなく、まろやかさ、味の広がり、優雅さではボルドーが上を行くことを試飲を通して参加者に経験してもらう。そうした違いや個性を分かって飲むのと、知らないで飲むのではワインの余韻が全く異なるからだ。そうしたワイン教室の様子はホームページでも発信されている。


ネットショップはもう一つの店の顔

nishit_08.jpgネットショップ(ワインと地酒のセレクトショップNISHIDA)は、日々ブログページを更新する、掲載内容を更新するといった具合に、常に変化がないとその見返り(注文)がないことを痛感し、東日本大震災後の落ち込みを取り戻すべく同店が取り組んだのは、ツイッターとフェイスブック。SNSを活用してマダムの強烈な個性を発信することで、西田酒店の認知度アップに貢献し、ネットショップ仲間がグループで来店するなど、実店舗への誘客に結びついている。

西田酒店にあるワインセラーこれだけワインに力を入れているマダムのショップだけに、売れ筋はワインと思いきや、ワインはもちろん石川の地酒もよく売れているとのこと。「当店は標準小売価格で販売しており、安売りもしないかわりプレミア価格をつけることもしていません」と力を込める。

ここだけの話、今となっては入手したくてもできないお宝的存在の貴重なワインが同店のセラーで静かに眠っている。


ワインファンを地道に開拓

現代はもの凄いスピードで世界経済が動いているが、ワインの世界も激動の真只中にある。中国がアジアのNo.1になり、日本の市場は追い越されてしまった。残念ながらワインに対する愛情がある、愛飲されるようになったということではなく、単に中国の富裕層がステータスの一つとして高いワインを買いあさっているのだ。そんな現実を横目に、商いとは別次元で、七尾市内の公民館等から講師を依頼され、ワインとグラス持参で出かけ、ワインをより多くの人に親しんでもらう地道な活動を続けている。

「店舗でのワイン教室同様に、いろんな種類のワインを口にしてもらうことで、いろんな発見があることを皆さんに身をもって経験してもらっています。好き嫌いせずに、いろんな組み合わせを体験することで、自分の舌をトレーニングすることの大切さを地道にお伝えしています」と顔をほころばす。

ワインを売る前に、ワインの背景にある文化、歴史、風土といったそれにまつわるストーリーを理解してもらうことに力を注ぎ、そうしたことを理解した上で口にすると、ワインの味わいも奥深いものになるわけだ。


マダム流商いの奥義

西田酒店の店内の様子酒販店に生まれ育った場合、子供の頃から商売を見てきて、いかに売上を上げるか、売れる商品を品揃えするか、そんな観点から儲けが先行する商いスタイルになりがちだ。ところが、マダムの場合は30代後半まで主婦だったため、お酒の知識がほとんどなく、ましてやワインは未知の世界だった。

そのワインの魅力に出逢った感動や歓びが、もっと知りたい、もっと勉強したいとマダムの知的好奇心をあおり、どんどんワインの迷宮に入り込んでいった。それだけ奥深いワインの魅力を少しでも多くの人に何としても知ってもらいたいとの思いが、売上を上げることよりも優先されている。

日本酒がずらりと並ぶ自分が惚れ込んだ商品の魅力をまず知ってもらいたい、経験してもらいたい、そうした思いがいつの間にか西田酒店の商いの信条となり、他の酒販店にはない個性的な色合いに染まり、業界において知る人ぞ知る存在となった。そのことがマダムのさらなる向上心に火をつけている。ワイン好きがワイン談義に花を咲かす店、それがマダムのめざす店づくりなのかもしれない。


インタビューを終えて・・・
ワインを愛する気持ち、ワインを楽しむ心、ワイン文化を育む営みをこれからも継続していくことで、ワインを語らせれば右に出る者がいない情熱的なマダム櫻子ワールドの輪が益々広がり、七尾から世界につながっていくことを願って止まない。

有限会社 西田酒店

社 名 (有)西田酒店

住 所 七尾市矢田新町ホ部58

電話番号 (0767)52-0258

設 立 昭和42年

URL http://www.nishida-sake.com

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