「売れるネットショップの秘密を探る!」(株)金沢大地

売れるネットショップの秘密を探る!


石川県産業創出支援機構「売れるネットショップの秘密を探る!」では、お店ばたけに出店しているネットショップの中から、順調に成果を上げている繁盛ショップを取材し、ネットショップを成功させるためのページづくりのノウハウやポイントを紹介します。

安全・安心な有機農業で地球を守り、人を育む
  (株)金沢大地

(平成26年1月取材)

安全・安心の有機農業で地球を守り、人を育む(株)金沢大地

日本最大規模の農地で小麦大麦大豆蕎麦野菜などを有機栽培する金沢農業を営む井村辰二郎氏が、父の後を継いで就農したのが1997年のこと。以来、有機農業に邁進し、2001年には有機JASマークの認証を取得。
2009年にはアメリカ農務省のオーガニック認証「NOP認証」を取得すると共に、EUの有機認証基準も満たす。河北潟干拓地・門前町・珠洲市の耕作地約190haで収穫した有機農産物の加工・販売部門を分離し、2002年に(株)金沢大地を設立。農業の6次産業化に積極的に取り組む井村辰二郎代表にお話を伺った。


◆農業にもホームページが必要な時代を予見
井村辰二郎代表井村氏がホームページを立ち上げたのは、就農した翌年の1998年のこと。
「就 農するまでは地元の広告代理店に勤務し、地元企業のホームページを制作するプロモーションの担当もしました。当時はまだWWWブラウザの元祖とも言えるソ フトウェア『モザイク』の時代でした。その後Windows95ブームが起き、また石川新情報書府の仕事にも携わり、ホームページの必要性や役割を熟知し ていたことから、農業の世界でもこれからはホームページが必要だと考え、早くから取り組みました」と述懐する。
その頃は、検索エンジンも今ほど充実しておらず、Webを制作できる専門業者もまだないに等しい時代だったため、自らhtmlのソースを入力するところから独学で取り組み、自社の農業に対する考え方や有機農業へのこだわりといった情報を発信するサイトを立ち上げる。
ス ワンネット(インターネットプロバイダ)の貸サーバーを借りてスタートしたものの、程なく自分にできることに限界を感じ、専門知識を有する女性スタッフを 採用し、ホームページの維持管理を任せる。この時点では、まだ買い物カゴの機能はなく、あくまでも情報発信機能のみのホームページで、電話やメールで問い 合わせを受け付ける形態で10年あまりが経過する。
 

◆ISICOの専門家派遣を活用し、ネットショップ化に取り組む

金沢大地のホームページそんな時期を経て、金沢大地が真剣にネットショップ化に取り組むことになったきっかけは、2007年にISICOの専門家派遣を活用したことだ。ホームページドクターの指導の下、サーバーはさくらサーバーを使い、買い物カゴはショップメーカーのセットでリニューアルする。この時が同社のネットショップ元年である。
同時にMTを導入するにあたってホームページの制作を外注するが、投資額的にはそんなに大きなものではなかったという。そもそも農家であることから、ネットで販売できる商材がまだまだ未開拓だった。
ようやく自社で豆腐を作り始めたものの、300円ぐらいの豆腐1個に送料を足してネットで買う人はいない。そんな状況下で、自社で生産した食材を原料にした加工品を少しずつ増やす努力をし、有機米有機大豆を看板商品としてネットショップをスタートさせ、加工商品のバリエーションが増えていくに伴いアクセス数も次第に増え始める


◆ホームページの可能性は大

Webの世界はめまぐるしいスピードで進化を遂げている。それにどう対応していくかを伺うと、「我々は中小企業であり、分相応の成長をしていくことを心がけるべきと考えており、身の丈にあった投資に徹することが重要です」と持論を披瀝。
も ちろん売上だけでなく、多くの人にホームページを見てもらうことで、さらに多くの人に広がっていくメリットもある。現実に、同社のホームページを見て、大 手のバイヤーからBtoBのオファーが年に2~3件は舞い込むという。そう考えると、自社ホームページを持っていることの価値は計り知れない。
例えば、ブログで会社のことはもちろん、自分の日々の出来事やプライベートなこともオープンにすることで、ユーザーに親しみや関心を持ってもらうことにもつながる。お米ひとつを取り上げても、ネットを介して消費者に直接販売できることは大きな武器で、全生産量の半分程度をネットで販売できればすごいことである。


◆地元密着の第一歩として実店舗を開店

近江町市場内に金澤大地「たなつや」を開店これまで卸のウエイトが高く、地元における知名度が低かったことから、地域密着型の商いをしたいと考えていた井村氏は、100年後に老舗と呼ばれることを目標とした「老舗100年計画」を立案。
それを実現するためには、地元のお客様に直接自社商品を購入していただける実店舗の必要性を痛感し、2011年に近江町市場内に金澤大地「たなつや」を開店する。もちろん2015年春の北陸新幹線開業を視野に入れての取り組みでもある。
金澤大地「たなつや」のスイーツセットそれまではオーガニックに特化していたが、実店舗を出すにあたり、肩の力を少し抜き、よりマーケットインなものづくりにシフトし、商品開発の幅を広げた。「お客様からすると、一緒にいろんなものが買えた方が楽しいわけで、食品だけでなく、お菓子オーガニックコットンなど豊富な商品を扱うことで、様々な組み合わせ買いが可能となり、送料無料になる10,500円をクリアしていただきやすくなることにもつながっているのではないでしょうか」と、顧客目線での品揃えを強調する。
現時点では、突出してこれが売れているというのではなく、お米も野菜も全体がバランス良く売れており、 安全・安心の総合サイト的な位置づけになってきている。その上で、有機農法によるお米や野菜を大手こだわり食材通販会社のように宅配する方向へ進むのか、 個別の商材を切り離して一つ一つの商材をもっと強くしていくのか、今後の方向性を明確化させる時期に来ていることを井村氏は示唆する。


◆実店舗とネットショップの相乗効果も

同社のネットショップは、12月と1月が最も売上が伸びる時期で、顧客は県内が2割、残りの8割が県外で、その大部分が東京と大阪の大都市圏である。
ネット通販で地元客が2割というのはかなりウエイトが高い。これは近江町市場にある実店舗・金澤大地「たなつや」を利用した顧客がリピーターとなりネットで購入しているためと思われる。その意味で、ネットと実店舗の相乗効果が現れていると言える。「顧客の中でリピーター客の比率がどの程度あるのか、その点の詳細なデータを整理できていない点が課題です」とも。
検索キーワードで「有機米」「有機大豆」な どを入力すると、いずれの検索サイトにおいても金沢大地が上位にランクされることからアクセス数もそれに比例して伸びてきている。ただ、有機農法で生産さ れたお米や野菜は価格的に割高なこともあり、健康志向の時代とはいえ、継続してずっと買い続けることができる顧客はそんなに多くないと分析する。


◆テクニックに走らず、中身の充実に注力

ネッ トショップを運営するにあたり、SEO対策やPPC広告は不可欠と思われるが、同社の場合は、有機農業にかかわる様々な情報を正確に発信するコンテンツ作 りに日々邁進し、敢えてPPC広告などは行っていない。「有益な情報を消費者に向けて発信することが最重要課題です」と言い切る。テクニック的なことを追 求するよりも、いかに個性を磨いていくか。
商品開発はもとよりホームページづくりにおいても、自社に専門知識を有するウェブ担当者2名とウェブデザインを担当するグラフィックデザイナー1名がいるため、ネットに関して自社内で全て完結できる点も強みである。「SEO対策をやってアクセス数が上がったとしてもそれは一過性のものです。それよりも自分たちの成長に合わせて、それに伴って緩やかに上がっていくことを目指しています。と同時に、アクセスしてきた人がじっくりとホームページ内を探索したくなるような魅力ある商品展開やページづくりに意を注いでいます」と井村氏は熱く語る。


◆農育活動「あぐりハグハグ」を通してファンづくり

能登町当目(のとちょうとうめ)でお米を栽培生産者の顔が見えることが当社の強みですが、やはりリアリティーは直接会うことであり、農業を体験してもらうことだと考え、能登町当目(のとちょうとうめ)(お米を栽培:左写真)に農家民宿を設けました」と井村氏は目を輝かせる。
これから農育の一環として都会の人たちを送客する試みをネットを通じて積極的に展開していく考えだ。
能登町当目の有機水稲
まずは自分たちの有機農業の素晴らしさ、魅力を実地体験してもらうことで、金沢大地の農産物のファンになってもらい、そしてリピーターに育てていくことが狙いだ。
その一環として、金沢市の(株)The Art of Travelとタイアップし、外国人向けのグリーンツーリズム誘客への取り組みもスタートしたところである。
世界農業遺産に認定された能登の里山で実際に有機農業を体験し、現地で短期間滞在してもらうことで、能登の真の魅力を体感してもらい、より一層熱烈なる金沢大地のファンに育てていくことで、単に農産物をネット販売することに留まらず、石川の魅力を全国に、さらには海外に向けて発信していくことが井村氏率いる金沢大地の大きな夢であり、存在意義なのかもしれない。

◆インタビューを終えて

金澤大地「た なつや」を開店するにあたって採用した若いスタッフたちと金沢大地の新しい商品づくりに取り組む日々に大きな喜びを感じている井村氏。魅力ある企業活動に 邁進していれば、自ずとネットショップの売上にもつながる。時間はかかっても上っ面のテクニックに走らず、地に足がついた経営、安全・安心な商品づくりに 全力投球する姿が強く印象に残った。


金沢大地の外観・企業名        (株)金沢大地
・所在地        金沢市八田町東9番地
・電話番号       076-257-8818
・創業          2002年
・URL         http://www.k-daichi.com/


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