お店探訪記の最近のブログ記事

tanbohkilg.jpg

売れるネットショップの秘密を探る!


石川県産業創出支援機構「売れるネットショップの秘密を探る!」では、お店ばたけに出店しているネットショップの中から、順調に成果を上げている繁盛ショップを取材し、ネットショップを成功させるためのページづくりのノウハウやポイントを紹介します。

こだわりの品揃えと薬剤師に相談できる肌トラブル専門薬局を標榜
  (有)アート薬局

(平成26年1月取材)

こだわりの品揃えと薬剤師に相談できる肌トラブル専門薬局を標榜 (有)アート薬局

金沢駅西口に程近い中橋町交差点角にひときわ目立つアートビルがある。その1階に店舗を構えるのが、開局20年目になるアート薬局である。薬局だと思って一歩店内に入った瞬間、思わず店を間違えたかと思い、回れ右しそうになる。なぜなら一般の薬局に並んでいるお馴染みの商品がなく、見たことのない商品がズラリと棚を埋め尽くしているからだ。差別化した品揃えで、存在感を発信するアート薬局 代表兼管理薬剤師 中村智子さん話を伺った。

◆「アート薬局でないと」と言われる薬局をめざす
アート薬局 中村智子さん遡ること20年前、中村さん(写真左)が薬局を開店した頃は、一般的な薬を並べて販売していればそれなりに売れていく時代だった上に、ドラッグストアチェーンもまだでき始めたばかりとあって競合するところもなく、バブル期の余韻も残っていたのか、「1本3,000円もするドリンクが普通に売れていた」と当時を振り返る。
ところが、ほどなくして大阪から化粧品を納品に来ている営業担当者から「大阪では、他と同じものを売っている薬局は段々と経営が厳しくなってきています。商品を絞って特色ある品揃えをしていかないと生き残れない時代になってきている」と聞かされたことや、もともとアレルギーの子が食べられる食品を置いていたこともあり、次第に他店と一線を画す品揃えにシフトしていくことに。


 

◆自ら学び、ホームページを立ち上げる

アート薬局のホームページ10年あまり前、中村さんのご主人が作った名刺代わり程度のアート薬局のホームページはあったものの、「そろそろ本格的なホームページを持っていないとダメな時代になってきているけど、どうやって作ったらいいのか、お金はかけたくないし・・」と、知人に話していた。
すると「石川県産業創出支援機構でホームページの作り方を学ぶ『バーチャルショップ道場』が明日から始まるみたいだよ」と教えられる。意欲的な中村さんは早速電話で問い合わせると、まだ定員に余裕があったため、受講できることに。このことが自らホームページづくりに取り組むことになるそもそものきっかけとなる。
セミナーでは「ホームページビルダー」を使用してホームページの構築方法などを学び、もらったテンプレートを使用して、習った通りに自分で商品の画像や説明文をはめ込んでいき、何とかホームページを立ち上げることができた。
それからしばらくして、無料のショッピングカートも付け、初めてネットで商品が売れた時には嬉しくて「やったー」と思わず叫んだという。「その頃は、
夜にバーチャルショップ道場で知り合った仲間が集まってネットに関する様々なことをよく勉強していました」と懐かしそうに語る。ネットショップ草創期に取り組んだ人たちは、自ら学び、自ら作る、そういう情熱に溢れていたことが垣間見えるエピソードである

◆リニューアルを重ね、特徴あるホームページに

アート薬局の店内に並ぶこだわりの商品その後、デザイナーに外枠の部分を作成してもらい、ドリームウィーバーで更新し、サイトをリニューアルした。各ページの文章は自らが毎晩2時、3時頃までかけて、アトピー性皮膚炎だった自身の二人の息子の子育て体験談を詳細に綴ることに時間を費やした。こうした体験記の中に、検索キーワードとしてひっかかる言葉が散りばめられている。
4年前にお店ばたけの専門家派遣を活用した際、時代のトレンドであると同時に、検索する際の優位性や部分的な修正を加えてもデザインが崩れないといった点で、最適なツールであるMT(ムーバブルタイプ)を使ってホームページをリニューアルすることを薦められる。そこで、前回のリニューアル同様、外枠の部分のみを外注し、中の文章などのコンテンツ入れ替えは2ヶ月あまりかけて全て自ら行い、ドメインは同じままでMTに乗り換える。

◆肌トラブルを相談できる、かかりつけ薬局を目指す

アート薬局店内の様子人それぞれに皮膚トラブルの原因や症状が異なるので、とにかく相談に来ていただければ私(中村さん)をはじめ当店の薬剤師が親身になって対応させていただき、その方に一番合ったお薬や化粧品をお勧めしています。どうしても遠方で来るのが難しい方には、電話やネットで相談に応じています。何回もお話しをするうちに親しくなってくると、性格や体質などが分かり、より的確なアドバイスができるようになります」とのこと。
ネット通販の顧客は大部分が東京を始めとした県外が9割強で、残りの数%が県内の顧客。県内でも金沢近郊の人は直接来店して中村さんをはじめとした薬剤師に症状を見てもらいながら相談し、最適な薬や化粧品のアドバイスを受ける人が多いとのことで、実店舗とネット通販の顧客の重なる部分はごく僅かのよう。顧客の年齢層は40代が最も多く、自分自身の肌の悩みもさることながら、自分の子供のアトピー性皮膚炎などの悩みを抱えるお母さんも多くいる。
ネットで商品を注文する際に、お客様情報の入力で年齢は何十代ですか?という設問項目を設けてあり、一番多いのが40代とのこと。それに次いで30代、50代、60代の順。ネットショップの場合、北海道、沖縄、離島に関しては割高の送料を設定している店舗が多いが、アート薬局では不公平感をなくすため全国一律の送料設定(630円)にしている。それが奏功しているのかは不明だが、意外と北海道からの注文が多いとのこと。とはいえ、あくまでも実店舗での対面販売に今後とも力を注ぎ充実させていきたいと考えている。


◆あくまでも薬局本来の対面販売を重視

アートハートニュース(メルマガ)毎月1回、アートハートニュースと題し、お肌と健康について中村さん自らが長文のメールマガジンを更新し続けて第100回を超えている。
肌へのこだわり、無添加で安全な化粧品へのこだわり、漢方を採り入れた調剤へのこだわり等々を詳細に記述し、肌トラブルで苦しんでいる人たちに喜ばれる情報を提供している。
そうした地道な活動を通して、自ら使ってみて安心安全で満足できる商品の品揃えをしている自信が顧客に理解され、ファン客となってくれる自然体の商いに徹している。ホームページはそうしたアート薬局の考え方や商品について情報発信する一つのツールとして捉えており、あくまでもお客様と対面しながら、悩みを聞き、症状を目で見て、一人ひとりのお客様に最も相応しい化粧品やサプリメントを薦める薬局本来の対面販売に力を注ぐのが中村流のこだわりだ。


◆地元の加賀野菜・金時草をPBサプリに

金時草を使ったサプリメント(金時草&乳酸菌)金沢大学大学院の只野武教授が、金時草(きんじそう)に含まれるビタミンA、鉄分、カルシウムなどに血糖値を下げる効果や血圧の抑制効果があるとのデータを発表したのを受けて、健康食品メーカーが金時草を使ったサプリメント(金時草&乳酸菌☆アート薬局PB)を開発した。
 アートハートニュース(メルマガ版)で金時草を使ったサプリメントをご紹介
金時草は、地元金沢を代表する加賀野菜であり、それを原料に作られたサプリメントに強く惹かれた中村さんは、プライベートブランドのサプリメントとして販売することを決意。アート薬局オリジナルのパッケージを製作する。まだ販売を開始したばかりとあって、お客様に認知されるまでには最低でも半年は要するとのことで、じっくりと時間をかけて浸透させていく考えである。
とにかく自然体、何事も自然体、あるがままの自分でお客様とキャッチボールする商いがアート薬局の信条。十数年前から中村さんが確固たる自らのポリシーに基づく薬局づくりに取り組んできた積み重ねが、年月を経て花開いてきていると言えるのではないだろうか。


 
◆インタビューを終えて

ド ラッグストアの業界も安売り競争が激化しているが、そんなことはアート薬局には全く関係ない。それほどに商いに対するポリシーが確立されており、店内に 入った瞬間に、目に映る商品群がそれをアピールしている。自らが安心して使える商品だけをお客さんに薦める、当たり前のことを自然体でこなす姿が印象に 残った。


金沢駅西口の近くにあるアート薬局・企業名     (有)アート薬局

・所在地    金沢市中橋町11−12

・電話番号   076-233-2406

・開 業     平成6年

・URL      http://www.art-kanazawa.com/



売れるネットショップの秘密を探る!


石川県産業創出支援機構「売れるネットショップの秘密を探る!」では、お店ばたけに出店しているネットショップの中から、順調に成果を上げている繁盛ショップを取材し、ネットショップを成功させるためのページづくりのノウハウやポイントを紹介します。

安全・安心な有機農業で地球を守り、人を育む
  (株)金沢大地

(平成26年1月取材)

安全・安心の有機農業で地球を守り、人を育む(株)金沢大地

日本最大規模の農地で小麦大麦大豆蕎麦野菜などを有機栽培する金沢農業を営む井村辰二郎氏が、父の後を継いで就農したのが1997年のこと。以来、有機農業に邁進し、2001年には有機JASマークの認証を取得。
2009年にはアメリカ農務省のオーガニック認証「NOP認証」を取得すると共に、EUの有機認証基準も満たす。河北潟干拓地・門前町・珠洲市の耕作地約190haで収穫した有機農産物の加工・販売部門を分離し、2002年に(株)金沢大地を設立。農業の6次産業化に積極的に取り組む井村辰二郎代表にお話を伺った。


◆農業にもホームページが必要な時代を予見
井村辰二郎代表井村氏がホームページを立ち上げたのは、就農した翌年の1998年のこと。
「就 農するまでは地元の広告代理店に勤務し、地元企業のホームページを制作するプロモーションの担当もしました。当時はまだWWWブラウザの元祖とも言えるソ フトウェア『モザイク』の時代でした。その後Windows95ブームが起き、また石川新情報書府の仕事にも携わり、ホームページの必要性や役割を熟知し ていたことから、農業の世界でもこれからはホームページが必要だと考え、早くから取り組みました」と述懐する。
その頃は、検索エンジンも今ほど充実しておらず、Webを制作できる専門業者もまだないに等しい時代だったため、自らhtmlのソースを入力するところから独学で取り組み、自社の農業に対する考え方や有機農業へのこだわりといった情報を発信するサイトを立ち上げる。
ス ワンネット(インターネットプロバイダ)の貸サーバーを借りてスタートしたものの、程なく自分にできることに限界を感じ、専門知識を有する女性スタッフを 採用し、ホームページの維持管理を任せる。この時点では、まだ買い物カゴの機能はなく、あくまでも情報発信機能のみのホームページで、電話やメールで問い 合わせを受け付ける形態で10年あまりが経過する。
 

◆ISICOの専門家派遣を活用し、ネットショップ化に取り組む

金沢大地のホームページそんな時期を経て、金沢大地が真剣にネットショップ化に取り組むことになったきっかけは、2007年にISICOの専門家派遣を活用したことだ。ホームページドクターの指導の下、サーバーはさくらサーバーを使い、買い物カゴはショップメーカーのセットでリニューアルする。この時が同社のネットショップ元年である。
同時にMTを導入するにあたってホームページの制作を外注するが、投資額的にはそんなに大きなものではなかったという。そもそも農家であることから、ネットで販売できる商材がまだまだ未開拓だった。
ようやく自社で豆腐を作り始めたものの、300円ぐらいの豆腐1個に送料を足してネットで買う人はいない。そんな状況下で、自社で生産した食材を原料にした加工品を少しずつ増やす努力をし、有機米有機大豆を看板商品としてネットショップをスタートさせ、加工商品のバリエーションが増えていくに伴いアクセス数も次第に増え始める


◆ホームページの可能性は大

Webの世界はめまぐるしいスピードで進化を遂げている。それにどう対応していくかを伺うと、「我々は中小企業であり、分相応の成長をしていくことを心がけるべきと考えており、身の丈にあった投資に徹することが重要です」と持論を披瀝。
も ちろん売上だけでなく、多くの人にホームページを見てもらうことで、さらに多くの人に広がっていくメリットもある。現実に、同社のホームページを見て、大 手のバイヤーからBtoBのオファーが年に2~3件は舞い込むという。そう考えると、自社ホームページを持っていることの価値は計り知れない。
例えば、ブログで会社のことはもちろん、自分の日々の出来事やプライベートなこともオープンにすることで、ユーザーに親しみや関心を持ってもらうことにもつながる。お米ひとつを取り上げても、ネットを介して消費者に直接販売できることは大きな武器で、全生産量の半分程度をネットで販売できればすごいことである。


◆地元密着の第一歩として実店舗を開店

近江町市場内に金澤大地「たなつや」を開店これまで卸のウエイトが高く、地元における知名度が低かったことから、地域密着型の商いをしたいと考えていた井村氏は、100年後に老舗と呼ばれることを目標とした「老舗100年計画」を立案。
それを実現するためには、地元のお客様に直接自社商品を購入していただける実店舗の必要性を痛感し、2011年に近江町市場内に金澤大地「たなつや」を開店する。もちろん2015年春の北陸新幹線開業を視野に入れての取り組みでもある。
金澤大地「たなつや」のスイーツセットそれまではオーガニックに特化していたが、実店舗を出すにあたり、肩の力を少し抜き、よりマーケットインなものづくりにシフトし、商品開発の幅を広げた。「お客様からすると、一緒にいろんなものが買えた方が楽しいわけで、食品だけでなく、お菓子オーガニックコットンなど豊富な商品を扱うことで、様々な組み合わせ買いが可能となり、送料無料になる10,500円をクリアしていただきやすくなることにもつながっているのではないでしょうか」と、顧客目線での品揃えを強調する。
現時点では、突出してこれが売れているというのではなく、お米も野菜も全体がバランス良く売れており、 安全・安心の総合サイト的な位置づけになってきている。その上で、有機農法によるお米や野菜を大手こだわり食材通販会社のように宅配する方向へ進むのか、 個別の商材を切り離して一つ一つの商材をもっと強くしていくのか、今後の方向性を明確化させる時期に来ていることを井村氏は示唆する。


◆実店舗とネットショップの相乗効果も

同社のネットショップは、12月と1月が最も売上が伸びる時期で、顧客は県内が2割、残りの8割が県外で、その大部分が東京と大阪の大都市圏である。
ネット通販で地元客が2割というのはかなりウエイトが高い。これは近江町市場にある実店舗・金澤大地「たなつや」を利用した顧客がリピーターとなりネットで購入しているためと思われる。その意味で、ネットと実店舗の相乗効果が現れていると言える。「顧客の中でリピーター客の比率がどの程度あるのか、その点の詳細なデータを整理できていない点が課題です」とも。
検索キーワードで「有機米」「有機大豆」な どを入力すると、いずれの検索サイトにおいても金沢大地が上位にランクされることからアクセス数もそれに比例して伸びてきている。ただ、有機農法で生産さ れたお米や野菜は価格的に割高なこともあり、健康志向の時代とはいえ、継続してずっと買い続けることができる顧客はそんなに多くないと分析する。


◆テクニックに走らず、中身の充実に注力

ネッ トショップを運営するにあたり、SEO対策やPPC広告は不可欠と思われるが、同社の場合は、有機農業にかかわる様々な情報を正確に発信するコンテンツ作 りに日々邁進し、敢えてPPC広告などは行っていない。「有益な情報を消費者に向けて発信することが最重要課題です」と言い切る。テクニック的なことを追 求するよりも、いかに個性を磨いていくか。
商品開発はもとよりホームページづくりにおいても、自社に専門知識を有するウェブ担当者2名とウェブデザインを担当するグラフィックデザイナー1名がいるため、ネットに関して自社内で全て完結できる点も強みである。「SEO対策をやってアクセス数が上がったとしてもそれは一過性のものです。それよりも自分たちの成長に合わせて、それに伴って緩やかに上がっていくことを目指しています。と同時に、アクセスしてきた人がじっくりとホームページ内を探索したくなるような魅力ある商品展開やページづくりに意を注いでいます」と井村氏は熱く語る。


◆農育活動「あぐりハグハグ」を通してファンづくり

能登町当目(のとちょうとうめ)でお米を栽培生産者の顔が見えることが当社の強みですが、やはりリアリティーは直接会うことであり、農業を体験してもらうことだと考え、能登町当目(のとちょうとうめ)(お米を栽培:左写真)に農家民宿を設けました」と井村氏は目を輝かせる。
これから農育の一環として都会の人たちを送客する試みをネットを通じて積極的に展開していく考えだ。
能登町当目の有機水稲
まずは自分たちの有機農業の素晴らしさ、魅力を実地体験してもらうことで、金沢大地の農産物のファンになってもらい、そしてリピーターに育てていくことが狙いだ。
その一環として、金沢市の(株)The Art of Travelとタイアップし、外国人向けのグリーンツーリズム誘客への取り組みもスタートしたところである。
世界農業遺産に認定された能登の里山で実際に有機農業を体験し、現地で短期間滞在してもらうことで、能登の真の魅力を体感してもらい、より一層熱烈なる金沢大地のファンに育てていくことで、単に農産物をネット販売することに留まらず、石川の魅力を全国に、さらには海外に向けて発信していくことが井村氏率いる金沢大地の大きな夢であり、存在意義なのかもしれない。

◆インタビューを終えて

金澤大地「た なつや」を開店するにあたって採用した若いスタッフたちと金沢大地の新しい商品づくりに取り組む日々に大きな喜びを感じている井村氏。魅力ある企業活動に 邁進していれば、自ずとネットショップの売上にもつながる。時間はかかっても上っ面のテクニックに走らず、地に足がついた経営、安全・安心な商品づくりに 全力投球する姿が強く印象に残った。


金沢大地の外観・企業名        (株)金沢大地
・所在地        金沢市八田町東9番地
・電話番号       076-257-8818
・創業          2002年
・URL         http://www.k-daichi.com/

売れるネットショップの秘密を探る!


石川県産業創出支援機構「売れるネットショップの秘密を探る!」では、お店ばたけに出店しているネットショップの中から、順調に成果を上げている繁盛ショップを取材し、ネットショップを成功させるためのページづくりのノウハウやポイントを紹介します。

顧客のニーズに即応し、表札のネット販売で躍進!
  (株)グラスヒュッテ・オダ

(平成25年11月取材)

顧客のニーズに即応し、表札のネット販売で躍進! (株)グラスヒュッテ・オダ

2001年10月に手作りのガラス彫刻作品を販売する工房『グラスヒュッテ・オダを設立した尾田知之氏。当初は、自らの作品を持って富山・石川県内の土産物店等に売り込みに行くも、なかなか思うように売れず暗中模索状態が続いていた。
そんな時、インターネットが普及し始めた時期でもあったことから日本中を相手に商売することを思い立ち、2003年、楽天市場に出店する。
以来10年の歳月が経過し、今では年商1億5千万円を売り上げる『表札マイスター』として確固たる地位を築くまでに。尾田社長に成功の秘訣を伺った。


◆顧客のニーズに即応し、飛躍のきっかけを掴む
(株)グラスヒュッテ・オダ 尾田社長尾田氏(写真右)が独立した当時は、インターネットが普及し始め、ネットで商品を販売するビジネスが産声を上げた時期でもあったことから、商売の合間にホームページビルダーで自前のホームページづくりに独学で取り組む日々を送っていた。
そんなある日、「実店舗がなくても楽天市場に出店すれば日本中を相手に商売ができる」と、2003年2月に『のんびり屋ガラスの国からの贈り物』
現在:表札マイスターの弟子の店 穏美里家)を出店したのが今日の原点である。「自分で作ったホームページで最初に売れたのが1万円のガラスの花瓶だった」と述懐する。
売上は、平均して月に50~60万円、よい月で100万円ぐらいだったという。1年あまりが経過した頃、顧客から「ガラス板に名前を入れて表札を作れないか」との問い合わせがきっかけで、表札づくりに取り組む。できあがった表札を新商品としてホームページにアップすると、これがおもしろいように売れはじめ、表札だけで月に100万円近く売り上げる看板商品になった。
そこで、表札を売る店の名前が『のんびり屋ガラスの国からの贈り物』ではピンと来ないと判断し、2005年6月、楽天市場に表札専門の別サイト『表札マイスターをオープン。同年10月には本店となる自社サイト『表札1.comもオープンする。
 

◆プロの手でリニューアルしたホームページでステップアップ

ガラスの表札「ネットショップでガラス雑貨を販売していたおかげで、それを見たお客様から表札という新たな商品展開の可能性を示唆され今日があるわけで、ある意味ネットの効能です」と尾田氏はしみじみと語る。
表札が看板商品になったものの、売上的には月150万円ぐらいを上限に、なかなかその壁を乗り越えられない時期が続いたため、プロにホームページを作ってもらう必要性を痛感する。
そこで、楽天市場に出店した当初、東京で開催された講習会で知り合った浜松市にあるSAVAWAYという会社に製作を依頼。その会社が販売しているカートシステム「マルチドメインカート」を導入し、買い物しやすいホームページが完成する。
いろんな表札投資コスト的には、毎月の固定費ならびに月の売上が一定金額を超えたら更に上乗せという契約。
毎月固定費が発生することは、そこだけみるとマイナスではあるが、そのコストを惜しんでいては、売上をステップアップさせることができないと判断した。
リニューアルしたホームページは順調にアクセス数、売上共に伸び始め、ガラス表札だけでなく次第に金属製表札を要望する顧客の声が増えてきたことに応えて金属製表札も作るようになり、現在では金属製表札の注文の方が多いとのこと。
表札のネット販売で成功した同社の真似をし、表札を販売する店が楽天市場には何社もあるが、何と言っても真っ先に手がけた『表札マイスター』への注文が断トツであり、楽天市場で先駆けて取り組んだ先行者利益の典型と言える。


◆自社サイトから楽天市場に注力をシフト

表札マイスター(楽天市場店)自社サイトは、楽天市場やヤフーと異なり、いかにしてアクセス数を増やすか、そのSEO対策としてリスティング広告のオーバーチュアやアドワーズに出費。
検索順位を少しでも上位にすべく取り組み、「今週は上がった」、「今週は下がった」と一喜一憂していた。
そのうち自社サイトの検索順位が、3~4ページ目に低下した時期がしばらく続いたことから、オーバ-チュアやアドワーズだけに頼っていてもコストばかり要して成果が出ないと判断し、楽天市場に注力することに方針転換する。
もちろん出店料や広告費に月20万円程度はかかるものの、トータルコストで見れば安くつくと判断したからだ。
ページづくりの面では、同社の表札を購入した様々な年齢層の顧客が、実際に玄関にその表札を設置し、その場で撮影した笑顔溢れるスナップ画像がたくさんアップされていることで、購入を検討している顧客にとっては、購買意欲がそそられる仕掛けにもなっている。

◆楽天市場での受賞が売上増にもつながる

九谷焼の表札ホームページのリニューアルはもちろんのこと、表札を作る素材もガラスステンレスアルミ九谷焼金箔など次々と新商品を世に送り出した。
バー ジョンアップの努力を重ねてきたことで、注文件数も年々増加。と同時に、ホームページの勉強を重ねてきたことで、尾田氏自らは作れなくてもある程度のノウ ハウを蓄積できたと判断し、外注していたホームページの維持管理を自社内で完結させるべく、専門知識を有する人を新たに採用し、現在はWeb担当二人が同 社の全てのサイトの維持・管理を行っている。
そうしたホームページに対する日々のこまめな対応が奏功し、2010年には「ネットショップコンテスト石川2009」でグランプリを受賞


楽天市場EXPO賞(成功のコンセプト賞)を受賞その翌年には念願であった「楽天市場EXPO賞(成功のコンセプト賞)」を受賞と、グラスヒュッテ・オダのネットショップの実力が地元は共より全国でも高く評価される。
それが話題となり、誘客にもつながる好循環が生まれ、現在、『表札1.com』(本店)、 『表札マイスター』(楽天市場店)、 『表札マイスター』(ヤフー店)の3店舗で、月平均1200万円を売り上げ、中でも楽天市場の集客力が断トツとのこと。

楽天市場に出店していれば自社サイト(本店)を検索上位にもっていくための並大抵ではない労力が省け、安定した売上が見込める点が大きい。とはいえ、「どのような環境になっても、バランス良く各サイトの売上を上げていく戦略を練る上で自社サイト(本店)がある意味は大きい」と尾田氏は強調する。



◆表札シミュレーターの導入で、次なる高みへ

お客様が自由にレイアウトをデザインできる表札シミュレーターを平成25年6月に製作し、ホームページに付加サービスとしてアップした。顧客が自分の好みのレイアウト、素材、色などを自由に選び、実際の表札になったらどんな感じになるかを文字通りシミュレーションできる優れものだ。
投 資額も相当かかったことと想像されるが、「まだこのシミュレーターを導入したことが即売上増につながるという効果は現れていませんが、他社にない新たな試 みを先行してやっていくことが、次のステップにつなげるための重要なポイントです」と、常に先を見据え、チャレンジ精神旺盛だ。


◆顧客にとってのオンリーワンを追求

いろんな表札表札は1度作れば、そう度々替えるものではなく、1軒に1つあれば十分な商品のため、リピーターはほとんどないに等しいと思われる。
それなのに年々業績を伸ばしている秘密はどこにあるのか。
それを突き詰めて考えていくと、一人一人のお客様にいかに満足してもらうか、「表札マイスターに頼んで良かった」と言ってもらえるオンリーワンのモノづくりに徹しているからではないだろうか。
そうした高い顧客満足度が口コミでじわじわと広がり、それが大きな輪となって同社の業績に反映してきている。
ガラスから金属へ、そして地元の伝統工芸である九谷焼や金箔も表札に活用することで、他にはない差別化商品を世に送り出してきている。さらに平成26年からの発売に向け、同じガラスでも質感の異なる新たなガラス表札の開発にも取り組んでいる。
こうした十人十色の様々なニーズに対応できる充実した品揃え、商品開発力こそが、同業他社には真似ができない最大の武器である。
近年、大手メーカーが廉価なものや同様の商品を扱い始めたことから、販売力やルートを持っている大手に対抗するためにも、いかに小回りの利くモノづくりで顧客満足度を高めるか、そこが鍵を握ってくる。
「お客様にとってオンリーワン、ナンバー1のショップであり続けるために日々の努力を怠らず、将来的にはエクステリアをトータルで提案できる企業に育てていきたい」とさらなる飛躍に向けて邁進する尾田氏である。


◆インタビューを終えて

社長を含め16名のスタッフが日本中の住宅やマンションの玄関先を個性的な表札で飾っている素晴らしい仕事である。思い立ったら即行動に移す尾田氏の行動力と顧客満足度を追求したモノづくりで、日本中の家庭に幸せの輪を送り続けてもらいたい。


グラスヒュッテ・オダ・企業名        (株)グラスヒュッテ・オダ
・サイト名              表札1.com(自社サイト)
・所在地        金沢市福増町北204-20
・電話番号       076-287-3925
・創業          平成13年
・URL         http://www.hyosatsu1.com/

売れるネットショップの秘密を探る!


石川県産業創出支援機構「売れるネットショップの秘密を探る!」では、お店ばたけに出店しているネットショップの中から、順調に成果を上げている繁盛ショップを取材し、ネットショップを成功させるためのページづくりのノウハウやポイントを紹介します。

顧客の信頼に応える誠実な商いで顧客満足度No.1ショップに邁進
  (株)エース

(平成25年10月取材)

顧客の信頼に応える誠実な商いで顧客満足度No.1ショップに邁進 (株)エース

鞄(かばん)にあまり興味のない人でも名前を聞けば頷くメイドインジャパンの有名鞄ブランド『吉田カバン』。老若男女を問わず人気が高く、全国に数ある『吉田カバン』を扱うネットショップの中で、トップクラスの業績を維持しているのが金沢市竪町に本社を置く(株)エースが運営するネットショップ『クールキャット』だ。自社(クールキャット)+楽天市場+アマゾン+実店舗の4店舗で年商4億円を稼ぐまでに成長させた運営責任者兼店長の松田卓也氏に成功までの歩みを伺った。

◆時代の変化を敏感にキャッチし、ネットショップを開設
クールキャット(エース)のホームページ松田氏が入社したのは遡ること13年あまり前。当時の同社は、竪町のファッションビル・パティオにテナントとして入居する吉田カバンの専売ショップであった。
折りしもインターネットが普及し始めた時期でもあり、時代の流れに敏感な乙村要介社長の閃きで、ネットショップ(自社サイト)の立ち上げを任される。「インターネットで鞄が売れるのだろうか・・・疑心暗鬼の気持ちで一杯だった」と松田氏は述懐する。
現 実問題として、社長から命じられたもののホームページを作ることはもちろんのこと、ネットに関する知識がなかったことから、同社のコンサルタントをしてい た会社に外注する形を取り、松田氏が商品の写真を撮影し、各商品の説明文を書き、それらを外注先にメールで送ってホームページを作成してもらうというス タートだった。
 ・使用ソフト  ホームページビルダー
 ・初期投資   50万円程度
 

◆SEO対策として鞄のリンク集に広告を出稿

クールキャット店内の様子スタート時のホームページは1つの鞄に対して1、2点の画像を掲載している程度で、商品に関する情報量も少なく、現在のホームページとは比較にならない簡素さで、総点数も200点までなかった。
「ネッ トショップをスタートした月に2件だけ注文があり、ネットでも 鞄は売れるんだと思ったことを覚えています」と苦笑する。吉田カバンの新製品が出ると松田氏が商品写真を撮って説明文を付け、それをコンサルタント会社に 送ってホームページに追加してもらうやり方で2年ぐらい運営。「正確な数字は記憶していませんが、初年度は月商5~10万円程度だったと思います」と振り 返る。カバンがずらりと並ぶクールキャットg
インターネットの黎明期(れいめいき)でもあり、各商品の説明文中に検索で引っかかってもらいたいキーワードを入れることを心がけたとのこと。同時に、当時から全国的に知る人ぞ知る太田垣氏が運営する全国の鞄ショップのリンク集(japanbag.com)があり、それに最初の頃は月1万~1万5千円程度の広告を3年あまり掲載する。同時並行して検索サイトでヒットするよう商品説明に検索関連ワードを散りばめ、顧客目線で少しでも使いやすいページづくりに取り組むといった地道な努力を重ねた結果、3年経過した頃に月商500万円に達し、その当時の実店舗の売上と比較しても遜色がないまでに伸びてきたことから本格的にネットに力を注ぎ始める。


◆ネット特有の外的要因で売上急伸!

吉田カバン今から10年ほど前の新年2日に出社した松田氏が、パソコンのスイッチを入れてみると、なんと60件あまりの注文が舞い込んでいた
それまで1日平均5~6件、多くて10件程度だったため、これは何があったのかと驚き、よくよく調べてみると、元旦に全国放送されたテレビ番組で吉田カバンの商品が紹介されていたのだ。
マスコミの影響力を痛感すると同時に、この事が『クールキャット』が飛躍する契機となる。「自社の営業努力ではなく、外的要因でも売上が左右されるネットの世界の新たな魅力を実感した出来事で、こうした偶然やラッキーの積み重ねで今日まで伸びてきたというのが正直な思いです」と松田氏は語る。


◆顧客目線に立った詳しい商品説明とこまめな更新が鍵

吉田カバン(ポーター)「う ちのホームページのポイントは、各商品に対する専門性を追求していることでしょうか。どこよりも詳しいけれど、その詳しさが店サイドの目線にならないよう に留意しています。ユーザーの中には詳しい方もいれば、そうでない方もいらっしゃるので、専門用語はできるだけ使わず平準な表現を心がけています」とペー ジ作りのポイントを披瀝。
ポーター(吉田カバン)ス タートして5年あまりが経過した時に、最初の大幅なリニューアルを実施するにあたり、数社のコンペを行い、その中から現在の外部SEと契約し、ホームペー ジの制作をアウトソーシング化。汎用ソフトでは痒いところに手が届かないと判断し、買物カゴのカートシステムを自社オリジナルのものに作り替えたことが、 最初のリニューアルでの大きな変化。
 ・使用ソフト  フロントページ(マイクロソフト社製)
 ・投資費用   500万円程度

同時に、毎週のように外部SEと打ち合わせをし、常にホームページの細部にまで目をくばり、こまめに変更を加えながら、日常的に小さなリニューアルを行っている。

◆システム化で顧客減の誤算

小物と財布2度目の大きなリニューアルは、平成23年11月に着手。従来まで各ページをhtmlで構成していたものを、ASPを使ってシステム化した。
と ころが、リニューアルした途端に売上が減少。それまで多くの商品を1ページに紹介していたページづくりから1商品1ページのスタイルに変更したことで、売 上が2割減。「店サイドの管理のしやすさ、利便性を追求するあまりシステマチックになってしまい、結果的に今までクールキャットをご愛顧いただいてきたお 客様を無視したリニューアルになり、お客様が離れてしまったのでは・・・」と松田氏は分析する。落ち込み分を取り戻すべく、外部SEと相談しながら必要な 修正を加えるとともに、毎月PPC広告にも30万円あまり投資してきたことで、2年経過した現在、ようやくアクセス数ならびに売上がリニューアル前に近づ きつつあるとのこと。
 ・使用ソフト   ドリームウィーバー(アドビ社製)
 ・投資額     2年間で約1000万円
 ・年間アクセス 160万件

◆メールマガジンで来店を喚起

顧 客に来店を促すツールとして、同社が力を注いでいるのがメールマガジンである。メールマガジンの登録者は1万人強で大手通販サイトに比べれば1桁違うもの の、同社の場合は開封率が非常に高いのが特徴で、一番開封率が高いセール時は、1万通送信して3千通開封されるという。メールマガジンで3割の人が来店す るというのは凄い数字であると同時に、クールキャットに対する根強い人気の証左でもある。「実店舗では、明るい笑顔と気持ちのいい接客をすることで、お客 様にいい印象を持ってもらえますが、ネットショップの画面上でそれを表現しようと思っても難しいものがあります。その意味でメールマガジンは、お客様との コミュニケーション手段として重要です」と力を込める。

◆他店との差別化、付加価値創出に腐心

フィッターワンショルダー「顧客サイドから見たお得感をいかに打ち出すか。当店で買いたくなる付加価値の提案が十分にできていない点が課題です」と松田氏。
吉田カバンは値引きが出来ないので他店では利益率を下げ
QUOカー ドなどをプレゼントしているところもある。利益率を下げずにどんな形で付加価値をつけてカバーしていくかに知恵を絞っている。また、吉田カバンの商品が看 板商品であることは間違いないが、商売人として自分のところで企画した商品を売りたいと思うのが自然で、同社もこれまでメーカーとタイアップしてオリジナ ル商品を販売してきている。
平成25年11月には13周年記念企画として、グリップスとのコラボでフィッターワンショルダー(写真左:15,750円)を限定販売。他では買えないオリジナル商品の企画で特徴を打ち出すと共に、オリジナル万年筆のプレゼントといったおまけを付けることで購買意欲を刺激する努力を怠らない。


◆スマートフォン対応が今後の課題

現 状での課題を伺うと「スマートフォンへの対応ですね」と即答。現在の受注の30~40%がスマートフォンからで、松田さん曰く、「パソコンで自分の欲しい 商品を事前に調べておき、後でスマートフォンで注文するという行動パターンが多くなってきています」とのこと。既にスマートフォン対応の携帯サイトも開設 しているが、まだまだ発展途上の段階。お客様を分かりやすく誘導するナビゲートをしっかりし、提案型の見せ方をしていくことがポイントになる。理想としてはパソコン対スマートフォンを50対50に持っていきたい考えだ。

◆自社サイト100%を目標に前進あるのみ

現 時点では、自社50%、楽天市場25%、アマゾン25%の売上比率を目標に掲げ邁進しているが、将来的には自社100%にすることが理想です。そうなれ ば、楽天市場等に年間支払っているポイントやマージンの支出がなくなり、利益率が格段にアップし、その分をお客様に還元できます」と、まだまだ道半ばを強 調する。これまで外部SEに依頼していた細かい作業を自社内で対応できるようにするため、平成26年度は専門知識を有する人材を採用予定。さらに同社に は、鞄部門の他にアパレル部門など三つの部門があることから、近い将来これら三つを自社サイト内でモール化することで相乗効果を高めていくことも考えてい る。「お客様目線で使い勝手がよく、魅力あるページをいかに作り上げていくか、これからも地道に前進していきたい」と松田氏は締め括る。

◆インタビューを終えて

吉 田カバンとの取引金額ベースでみると、同社の実店舗とネットショップの売上合計は、現在全国第2位に位置する超優良店である。システム化を推進したリ ニューアルで予想外の躓きはあったものの、日々の地道な努力の積み重ねでリカバーしつつある。売上が大きくなってもそれに胡座(あぐら)をかくことなく、 常にチャレンジャー精神を忘れない『クールキャット』が目指す先には、海外市場が見えているのかも知れない。


クールキャット((株)エース)・企業名        (株)エース
・サイト名              クールキャット
・所在地        金沢市竪町44
・電話番号       076-223-8880
・URL    http://www.ace-company.net/~coolcat/

売れるネットショップの秘密を探る!


石川県産業創出支援機構「売れるネットショップの秘密を探る!」では、お店ばたけに出店しているネットショップの中から、順調に成果を上げている繁盛ショップを取材し、ネットショップを成功させるためのページづくりのノウハウやポイントを紹介します。

蓄積してきたノウハウ、商品力を武器に世界の市場を視野に
  (株)ダンボール・ワン

(平成25年10月取材)

蓄積してきたノウハウ、商品力を武器に世界の市場を視野に(株)ダンボール・ワン

「ネットショップは作ったものの・・売上が伸びない」こんな声が多く聞かれる中、ネットショップ開設から8年で年商2億5千万円を売り上げる強者がいる。七尾市にあるダンボール製造販売の(株)ダンボール・ワンである。
ダンボールワンは、2005年に従来までの名刺代わりのホームページを手づくりでネットショップ化し、初年度アクセス数が年間300件、売上高30万円だったものが、現在では年間アクセス数25,000件、売上高2億5千万円と驚異的な成長を現実のものとした。
ダンボールがネットで売れるのだろうか?半信半疑でのスタートだった」と述懐する(株)ダンボール・ワン 取締役 営業部長 辻俊宏 氏(写真下)に成功の秘密を披瀝いただいた。


◆自らを追い込み、自ら学ぶ、それが鍵
ダンボールワン 辻俊宏氏辻氏は19歳の時にIT分野が得意な友人と二人で能登の海産物を扱うネット通販ベンチャーを立ち上げ、学生起業家として注目を浴びるも、3年足らずで自主廃業した。
そんな彼の経歴に惹かれた同社の岩崎隆社長に請われ、ネット通販担当として採用される。
「社 長からネット部門を任されたものの、実は自分はネット通販の営業を担当していただけで、ホームページも作れないし、ネットの知識は何もないとは言えず、自 分を崖っぷちに追い込み、まずは関連書籍を片っ端から読みあさり、ネットショップのことを教えてくれるセミナーは、県内では
石川県産業創出支援機構(ISICO)さんのお店ばたけの無料セミナーしかなく、それにも積極的に参加して勉強させてもらいました。その意味ではISICOさんには随分助けてもらっています。専門的な知識を少しずつ頭に入れていくと同時に、ホームページビルダーを使って、試行錯誤を繰り返しながらネットショップと言えるようなホームページを何とか独学で作り上げました」と当時を振り返る。

過去のダンボールワンのホームページ
最初から専門業者に外注してしまうのではなく、自ら苦労して基礎的な知識と最低限の技術を身につけ、なおかつ数値目標として年間のアクセス数や売上げを設定し、自らを追い込んだことが、後々の成功につながる重要なポイントである。


◆商品アイテム、アクセス数を増やす努力

当時のダンボール業界は、顧客からの注文を受けてから製造する受注生産で、在庫を持つという発想がなかった。そこで辻氏が考えたのは、ネットでダンボールを買う人の立場になった時に、最低限どんなサイズのダンボールの需要があるかを予測し、当初3種類ぐらいのダンボールを100枚単位で在庫し、1枚欲しい、3枚欲しいという個人客にも割安な料金で提供できるよう体制を整えた。
ネッ トショップ化初年度の年間アクセス数は300件、年間売上30万円と現実は厳しかった。そこで辻氏がアクセスを増やすために行ったのが、SEO(検索エン ジン最適化)対策とPPC広告(掲載は無料だが、クリックされた回数分だけ課金される検索エンジン等に掲載されているネット広告)である。SEO対策はい かにして自らのホームページにアクセスしてもらうか、そのため検索キーワードと成りうる言葉をホームページ上に散りばめ、商品説明をいかに丁寧にしている か、検索エンジンが上位に引き上げてくれる可能性を高める地道な努力を重ねる。
スタート当初は資金がないことから、毎月1万円程度をめどにPPC広告にも投資しながら、自社ホームページの認知度を上げることに努める。さらには、売上を伸ばしている同業他社や他業種で人気の高いホームページを研究し、いいところは積極的に自社のホームページに採用することにも力を注ぐ。
一方、顧客サービスの面では、注文を受けた当日に即日発送するサービスを開始するなど、顧客の立場になった努力が奏功し、2年目(2006年)には年間の売上が280万円と約10倍に伸びる


◆SEO対策に強く、実績のあるWeb制作会社をネットで検索

売れているネットショップのいいところを真似することで、年商3,000~4,300万円まで売上は伸びたが、そのあたりで頭打ちになり、壁にぶつかる。その壁を乗り越える打開策として辻氏が考えたのが、Web制作会社にホームページを外注することだった。
ネットで検索してようやく見つけたのが大阪市内の専門業者だった。早速、綿密な打ち合わせを重ね、辻氏が思い描くホームページのビジョンを伝え、初心者向けのソフトであるホームページビルダーから上級者向けのソフトであるドリームウィーバーによるホームページ制作がスタート。自動見積システムの導入や顧客管理システム、買い物カゴなどを含めたシステム全体のリニューアルに300万円あまりを投資する。それが2009年のこと


現在のダンボール・ワンのホームページ

◆自動見積システム導入で次なるステップへ

自動見積システムと聞くと、相当難しくコストのかかることのように素人には思えるが、実はエクセルの表計算ソフトレベルで十分対応できるという。とはいえ、そのままでは使い勝手面で十分とは言えず、自社用にカスタマイズされていることは言うまでもない。
この自動見積システム導入と同時に、PPC広告への投資を月30万円までに拡大し、商品構成面でも従来の既製品に留まることなく、顧客のあらゆるニーズに対応できるフルオーダーシステムを導入。
これを機にネットショップとしてアクセス数・注文数共に急伸。次なるステップとも言える年商1億円の壁を突破。「プロにホームページを制作してもらったら終わりではなく、維持管理はもちろんのこと、部分的な更新など常に怠ることがないよう心がけています。と同時に、目標となる数値を設定したら自分の胸の内に仕舞うのではなく、社員に向けて公言し、自分を追い込むことが成果を挙げるために必要不可欠」と辻氏は力説する


売上げの推移

◆素人の目、第三者の意見にも耳を傾け転換率UP

ホームページに限らず、どんなことにも通じることかもしれないが、その道の専門家になってしまうと意外と見落としてしまう基本的なこと、簡単なことというのがありがち。そのため、辻氏はホームページのことはもちろん、パソコンを触ったこともないようなお年寄りや、自社のホームページを使ったことがない知人に、実際に自社のホームページで買い物行動を試してもらい、どこが分かりにくく、どこが不便か、そうした細かな点を洗い出し、常に改良を加えてきている。
また、PPC広告はバナー広告と異なり、クリックしてもらえば自社のホームページに必ず来てもらうことができ、自信のある商品であれば確実に売れるだけに、ある程度のリピーター客が定着し、売上も安定している場合は、SEO対策よりも実効が期待できる


◆常に先を見据えた戦略展開で更なる飛躍

今年(2013年)10月にホームページのリニューアルを実施。年間を通して100万円~200万円は毎年ホームページの維持管理、使い勝手の向上に投資している。 現在、年間1万5千件あまりの注文を受けているが、これを1人で対応しているため、能力オーバーになりつつある。とはいえ、人員を増やすと人件費が発生す るため、100万円程度の投資で受注システムを増強することができるのであれば、その方が安上がりと判断し、受発注部門の投資も実施する。さらに半年後に何をするか、1年後に何をするか、どんな投資をするかが既に決まっているというから驚きだ。
ダンボール関係のネットショップは、全国で50社を超すが、その中でも1位、2位を争うまでに成長した同社は、日本を飛び出し、2013年12月9日に台湾でダンボールのネット通販サイトBox1(http://www.box1.tw/) をオープンする。台湾国内はヤマト運輸が市場シェアの4割を占めており、流通面のインフラも整っていることから決断した。 台湾にはまだダンボールを販売するサイトがないことから可能性は無限であり、アジアの中でもとりわけ親日家の多い台湾で営業実績を積み上げた上で、東南アジア、中国、そして世界へと展開すべく、夢は大きく膨らんでいる。


◆インタビューを終えて

現 在の同社の売上をみると、実店舗が4割に対し、ネット販売が6割に成長。1円でも安く買いたい顧客には、自社広告が印刷された割安ダンボールを提案、梱包 方法も簡易梱包と丁寧梱包に差別化、梱包時に必要なものが揃った引っ越しセットを開発するなど、品揃え面でも顧客目線がポイント。お店ばたけの中でもずば 抜けた実績のある同社だけに、お店ばたけ加入メンバーの牽引役はもちろんのこと、石川から世界に飛躍してもらいたい。

ダンボール梱包・企業名       (株)ダンボール・ワン
・サイト名             ダンボールワン
・所在地       石川県七尾市下町丁32-1
・電話番号      0767-57-3002
・U R L      http://www.notosiki.co.jp/

1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11

お店ばたけホームページ

お店ばたけホームページへ
ISICOバーチャルモール「お店ばたけ」は、(公財)石川県産業創出支援機構が運営するインキュベーションモールです。

アーカイブ

ブログを購読する(RSS)

  • RSS2.0を購読する
  • RSS2.0を購読する