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(財)石川県産業創出支援機構の「石川発!頑張るネットショップ」金沢・加賀・能登 では、石川県内の実店舗・ネットショップを順次訪問しています。ネットショップを始めたきっかけ、販促やページ作りで工夫されていること、今後の目標などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。


ツルミ印舗 (紹介動画はこちら

手彫りの技でお客様の思いをハンコに宿す (株)ツルミ印舗

パソコンが普及し、インターネットで様々なことが可能になった便利な時代になっても、日本では銀行に口座を開設する際、車を購入する際、契約書、婚姻届等々、何かにつけてサインではなく銀行印、認印、実印といったハンコが重要な役割を果たす。金沢において明治以来140年余り、手彫りのハンコを商い、金沢の繁栄を縁の下で支えてきた老舗・ツルミ印舗5代目・鶴見昌平氏にお話を伺った。


手彫りにこだわって140年

ハンコは本人の唯一無二の証であるものだけに、機械で彫った量産品では唯一無二のハンコとしての価値は全くない。ハンコは一つひとつ手で彫るから意味がある。同店のはんこ彫刻人である昌平氏の父は、この道40年を超すベテラン職人であり、一等印刻師の称号を有する現代を代表するハンコの匠である。

手彫りにこだわる注文を受けた文字の字源を一文字ずつ調べ、それを基にハンコの文字を意匠としてデザインする。文字には相性があり、機械彫りでは難しい場合もあるが、そこは卓越した手彫りの技があるためどんな意匠も自在で、機械彫りでは決して真似できない。手彫りのハンコには文字そのものに生き生きとした勢いと、流れがある。そうした職人技によって、直径僅か15ミリ前後の小さなハンコの中に躍動感溢れる美しい文字の世界が繰り広げられる奥深い領域だ。しかも、機械彫りと異なり、同じ職人が彫っても同じものは二つと作れないことこそ、唯一無二の証でもあるわけだ。

「唯一無二の証だからこそ完全手彫りにこだわり、一生使っていただくはんこだからこそ、お客様が押すのが楽しくなるハンコをお届けするのが、当店の流儀です」と5代目は力を込める。


満を持してのホームページリニューアル

ツルミ印舗のホームページ高校卒業にあたり、4代目である父から勧められ、横浜にあるハンコの専門学校に4年間通い、ハンコのいろはからみっちり学び、5代目として戻ってきた。

早速、昌平氏手づくりのホームページをスタートさせ、以来数回のリニューアルを重ねてきたが、このほど半年あまりの準備期間をかけ、ハンコが探しやすく、選びやすく、お客様に分かりやすいページづくりを目指し、満を持してのホームページにリニューアルした。現段階では、売上全体の3割程度がネット販売で、とりわけ実印の注文が多いという。
かつて勉強のためにと楽天に出店した時期もあったが、ハンコという商品は価格競争をして販売する商品ではないと判断し、1年半あまりで撤退し、自社のホームページのみでの販売に転換している。


手彫りの蘊蓄(うんちく)をホームページで発信

手彫り印鑑同店のホームページを全く見ないで来店したお客様の大部分は、価格が手頃な機械彫りを選択するそうだ。例えば15ミリの象牙の実印で、手彫りと機械彫りでは15,000円ほどの差がある。

同じ文字でも彫る職人さんによって全く印象の異なる雰囲気になるのが、手彫りの魅力でもあると同時に、機械彫りにはない味わいが特徴だ。とりわけ実印となれば、一生に1回の買い物でもあり、いいものを持ってもらいたいと考えている。

ハンコを彫る一方、ホームページを閲覧し、手彫りの蘊蓄(うんちく)を読んだ上で来店されると手彫りを注文される傾向があるとのこと。「お客様と1時間ぐらいお話をしている中で、ハンコを作るにあたっての思い入れなどを聞くと、当然のことですが作り手の我々としてもお客様の思いが手仕事に反映され、より心のこもったものづくりになります」と実感をこめる。

お客様から求められれば、開運につながるハンコの材質や書体などを選ぶお手伝いもするが、これはあくまでもお客様任せであり、店側からあえて説明することはしない。


ネット販売にも対面販売の心配りを

陳列されたハンコ「対面販売であれば、お客様の目を見て会話することで、その人の人柄や雰囲気を感じられ、なおかつどんな思いでハンコを作るのかも伺うことができます。一方、ネットではお客様の顔が見えず、お客様もこちらの顔が見えません。
そこを補うため、ネット通販では、注文フォームにお客様がハンコを作るにあたっての思いを自由に書き込んでもらうスペースを設けてあります。それを拝見することで、少しでもお客様の気持ちに近づいたものづくりができればと思っています」と笑顔で語る。


未来工芸プロジェクトにも参画

未来工芸プロジェクト 「家宝(KAHOU)/未来工芸印鑑」 中小企業団体中央会の後援を得て、九谷焼と山中塗の異業種交流による表札と印鑑のセット「家宝シリーズ」を開発したグループの代表が、せっかく九谷焼と山中塗の伝統工芸の職人技で作り上げた商品だけに、印鑑の文字部分だけ機械彫りというのはいかがなものかと思案していた時、たまたまツルミ印舗のブログが目に止まり、昌平氏に会いたいと来店したのが、このプロジェクトに関わることになったきっかけである。

山中塗、九谷焼、ガラス工芸等々の異業種の職人が集まり、次なるコラボレーションを模索しているところで、「異なる分野の方たちと交流することで、さまざまな刺激をもらうことができ、とても勉強になっています」と嬉しそうに語る。


金沢ブランドの一翼を担う

大人の女性限定はんこ「金沢」のネームバリューは、ネットビジネスにおいてもブランド力を発揮しているとのこと。そうしたことはネットで注文されたお客様からのお礼のメール文からもうかがい知ることができる。
中には、金沢への旅行を兼ね実店舗へ来訪されたお客様もいるとのこと。

「私自身も金沢のはんこ屋ということをアピールしており、金沢ブランドの一翼を担うことができれば、こんな嬉しいことはありません」と顔をほころばす。機械彫りであればものの数分でできあがるものが、手彫りの場合はそれだけに集中してやっても数時間を要する。その結果としてできあがるハンコの印面の違いは一目瞭然であり、わずか十数ミリの世界に展開される職人技の凄さは圧巻である。それこそが本物を求めるお客様の心をとらえて離さない。


プラスαの商いを指向

四代目 鶴見健一氏(左側)、五代目 鶴見昌平氏(右側)店頭での商いから離れ、地域の集まりやイベント会場に出張しての篆刻(てんこく)教室の開催も以前から取り組んでいる。
40代、50代を中心に毎回10名以上の参加者がある。好評を得ており、長い目で自店の商いにもつなげていければと考えている。篆刻教室を通じて、日本のハンコ文化を盛り立て、広めていく要素を何か付加していくことができればと思案しているところでもある。

4代目であるベテラン職人の父の仕事を横目に、次なる時代の道しるべを見い出すべく、新たな取り組みにも積極的に取り組む5代目の活躍に期待したい。


インタビューを終えて・・・
日頃何気なく使っているハンコだが、職人さんが丹誠込めて仕上げた手彫りの逸品を手にすると、ハンコに込められたお客様の思いとそれに応える職人技が見事にコラボレーションし、唯一無二の作品として仕上がっていく深遠なるストーリーを改めて痛感させられた。


 (株)ツルミ印舗 店舗外観店舗 店舗名 (株)ツルミ印舗
住 所 金沢市高岡町23-21
電話番号 (076)221-3451
創 業 明治初期
URL http://www.i-hankoya.co.jp

(財)石川県産業創出支援機構の「石川発!お店探訪記」加賀・能登 頑張るお店 は、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

からだにいい安全・安心な健康食の提供がテーマ 陽菜

からだにいい安全・安心な健康食の提供がテーマ 陽菜

石川特産の高級芋、加賀丸いもを使用した「味つけとろろ」を販売している陽菜(ひな)。
一年前にからだにいい安全・安心な健康食の提供がテーマに開業したアンテナショップ陽菜は、 口コミはもちろん、雑誌やテレビでも紹介され、常連客が着実に増えてきている。
今年(平成22年)8月に、更なる販路拡大を目指しネットショップをオープン。
陽菜を運営している赤嶺福海氏にお話しを伺った。


● 健康食・加賀丸いもを広めたい

地元能美市産の加賀丸いも自然薯(じねんじょ)掘りを生業としていた赤嶺氏の父親が、晩年体調を崩した時に自然薯を使った食べ物屋をしたいとの夢を語っていたという。
しかしながらその夢を果たせぬまま30年あまり前に他界する。「私は乳酸菌を中心とした健康食品ビジネスに取り組んできましたが、50歳を過ぎた頃から亡父の語っていた夢が頭をもたげるようになってきたのです」と振り返る。
自然薯はホルモンの面からみても非常にからだに良い成分を含有していることや、これからはからだにいい食をテーマにやっていきたいとの思いが熟し、自ら店を持つことを決意する。
ただ、自然薯は原料の確保やコスト的な問題があるため、自然薯と変わらぬ成分を有する地元能美市産の加賀丸いもに着目し、その美味しさ、魅力を広めるための店「陽菜」(ひな)を平成21年8月にオープン、亡父の夢でもあっただけに感慨もひとしおの様子。


● こだわりの数々

調味料にも徹底してこだわっている。お客さまの健康を願い、食材一つひとつを手づくりで提供していくことにこだわっている。その一環として、店舗のすぐ近くに畑を借り、店で使うトマト、きゅうり、なす等々の野菜を無農薬で栽培し、そこから収穫した野菜を調理し、お客さまに提供している。店で使う味噌も手づくりである。大豆150㎏程度を使用し、1年間に使用する約400㎏の味噌を製造している。
冬場の仕込みの時期に、味噌の仕込み体験を行っている。希望するお客さま10人ほどを招き、仕込み作業を通してコミュニケーションがより一層密になり、お客さまも自分で仕込んだ味噌を後々、味噌ができ次第、もらうことが出来ることから、参加者達はそのイベントを楽しみに参加しているという。

提供される料理を見れば一目瞭然だが、本わさびをお客さま自らおろすことができるよう、丸ごと1本付けられている。コストはかかるが、本わさび1本の存在感はなかなかのもの。

お店で使うトマト、きゅうり、なす等々の野菜を無農薬で栽培。醤油は、玉子かけごはん専用に開発された「たまひめ」、ドレッシングは、地元大野の直源醤油が源助大根を素材として開発した「直江屋源兵衛」、塩は竹の中に塩を入れて焼き、十分の一の量まで水分を飛ばして作られたキ・パワーソルトといった具合で、調味料にも徹底してこだわっている。


● なぜか店内は流木ギャラリー

流木を材料にしたオブジェ流木を材料にしたオブジェ加賀丸いもを使った料理を提供する店ではあるが、店内の至る所に流木を材料にしたオブジェが並べられている。

hina_05.jpgその点について伺うと、「私は若い頃から流木が好きで、海岸で拾ってきたものを事務所の前に飾ったり、室内にも飾ったりしていました。そのうち、流木をデザインして作品にできる人がいないかと探していたところ、北海道の流木作家である村本さんと知り合い、店内に飾ってあるオブジェはもちろん、テーブルに置いてある調味料入れも作ってもらいました」と顔をほころばす。


● 味つけとろろのネット販売に注力

 陽菜の味つけとろろをネット販売。今年(平成22年)8月から味つけとろろのネット販売をスタートさせ、3カ月余で500セットを発送したという。

来年のお中元から地元の百貨店である大和での販売も決まったとのことで、味つけとろろの美味しさに太鼓判を押されたようなもの。ネットショップの販売促進面での様々なヒントやアドバイス、出店しているメンバーとの情報交換など、自慢の味つけとろろをより多くの方々に知ってもらい、買ってもらえるショップに育てていくため、このほどISICOの「お店ばたけ」に出店。お中元とお歳暮の各シーズンに1,000セットの販売を目標に掲げる。


● 顧客とのコミュニケーションを大切に

店内の様子店内の各テーブルにアンケート用紙が置いてある。とはいえ、アンケートを取るだけではお客さまに楽しみがないことから、毎回クイズを出題し、後日正解をハガキで知らせ、正解者の中から抽選でプレゼントを提供している。

手作りの新聞やアンケートこのハガキを次回来店時に持参すると、飲み物がサービスになる心憎い演出も忘れない。

既に800名を超える回答が寄せられており、アンケートにメールアドレスを記入したお客さまには、イベントなどの情報をメールで配信すると共に、年3回程度手作りの新聞や販促ハガキを発送し、顧客とのコミュニケーションを深めることにも余念がない。


● 人気メニューは「まかない」だった「猫とろ丼」!?

加賀丸いも 麦とろめし月曜日から金曜日までのランチタイムだけ営業し、土日は休みと決めていたものの、お客さまの要望が多いことから金曜日と土曜日は夜も営業している。

ランチタイムのメニューは、麦とろめし(めった汁、サラダ、香の物付)700円、玉子かけごはん(めった汁、サラダ、香の物付)500円、蕎麦とろろ800円。
赤嶺氏が自らのまかないとして食べていた猫とろ丼(700円)を新しくメニューに追加したところ好評を博しているとのこと。どんな丼なのかは是非足を運んでご賞味あれ。
今年(平成22年)11月から陽菜(ひな)のとろろ弁当(600円、みそ汁付き700円)が新たに登場し、テイクアウトも可能になった。前日までに予約すれば、10個から金沢市内の配達にも対応する。


● 加賀丸いもの魅力をもっともっと

陽菜を運営している赤嶺福海氏とろろがいくら身体にいいと言っても、アレルギー等でとろろを食べられない人もいることから、そんな人たちにも来店してもらえるように、食材にこだわったからだにいいカレーを試作中とのこと。どんなカレーができあがるのか楽しみである。

「美味しい、安い、居心地がいい...、そんなお客様の声が、食べログやぐるナビなどの食関連サイトで話題になるように、これからもからだにいい食材、手づくり、無農薬栽培の野菜にこだわり、地元産でいい食材があれば、そうしたものも採り入れながら、お子さんからお年寄りまでが気軽に食事に来ていただける店を目標に頑張りたい」と、温かな眼差しで語る赤嶺氏である。

インタビューを終えて・・・加賀丸いもは形が丸く、ぬめりがあるため、皮剥きは重労働である。自ら滑り止めのついたグローブをはめ皮剥きに日々汗を流す赤嶺氏。陽菜の味つけとろろには、からだにいいもの、美味しいもの、健康になれるものを多くの人に食べてもらいたいとの愛情が込められている。

加賀丸いも麦とろ・流木ギャラリー 陽菜の店舗店舗名 加賀丸いも麦とろ 陽菜(ひな)
住 所 金沢市伏見新町255 サンピア泉ヶ丘2階
電話番号 (076)280-3334
営業時間 月~土 昼11~15時
金・土のみ 夜17~21時も営業
URL  http://www.hinahina.jp/

(財)石川県産業創出支援機構の「石川発!お店探訪記」加賀・能登 頑張るお店 は、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

日本で唯一、珪藻土七輪の産地・珠洲が誇り(株)鍵主工業


日本で唯一、珪藻土七輪の産地・珠洲が誇り(株)鍵主工業

遡ること2000万年~1200万年前、能登半島の海中に珪藻(けいそう)というプランクトンの遺骸が堆積したのが珪藻土(けいそうど)である。珠洲の珪藻土の層は、深いところで500mもあり、日本一の埋蔵量を誇る。江戸時代初期から一般家庭の竈(かまど)や製塩竈の材料として使われていたが、明治時代になると、七輪などの製品として販売されるようになり、全国の家庭に普及していった。日本で唯一の珪藻土産地・珠洲を代表するメーカーである(株)鍵主工業の鍵主哲社長にお話を伺った。


● 珪藻土七輪の現状

珪藻土七輪珠洲の珪藻土七輪ガス調理器のみならずIH調理器までもが各家庭のキッチンに普及している今、なかなかお目にかかることはないが、昭和30年代頃までは、プレス成型された珠洲の珪藻土七輪が全国の家庭で活躍し、とりわけ焼き魚の美味しさは現在の調理器具の比ではなかった。

kaginushi_02.jpg時代の流れ、生活様式の欧米化、都市ガスの普及にともない、次第に七輪が家庭から姿を消し、生産量が激減した時期を経て、平成の時代に入り、こだわりを持った人たちの間で、珪藻土七輪が見直され、一般的なものでは旅館の一人用七輪、特注では焼肉店の無煙ロースターの中に組み込まれた七輪など、復権の動きが顕著になってきている。さらに、近年はより本物指向の人たちや料理店向けに、珪藻土の切り出しから手作業で製造した切り出しコンロが人気を集めている。


● 13年あまり前にホームページを開設

kaginushi_03.jpg遡ること13年あまり前から、ネット通販で新規顧客を開拓すべく、鍵主社長の手づくりで珪藻土七輪を紹介するホームページを開設。

ネットショップの売上推移を伺うと、「売上がここへきて下降気味だったことから、売れるネットショップの作り方、運営方法等を勉強することを目的に石川県産業創出支援機構の『お店ばたけ』に新規出店させてもらったところです。ウチがホームページを開設した当時は、ネットに商品を掲載しておくだけで売れていく時代だったことから、忙しさにかまけてそのままになっていました」と苦笑する。

珪藻土コンロでバーべキューを同社の売上の大部分を占める耐熱レンガの製造は、景気に大きく左右され、設備投資が落ち込むと受注がなくなることから、景気に左右されることなく安定して販売できる珪藻土コンロの製品群で、「景気の影響を少しでもカバーできるように持って行きたい」との思いが、ネット通販のテコ入れへとまた、『お店ばたけ』への出店を後押ししたようだ。


● 顧客の立場になった商いの重要性に気付く

珠洲市の名産 珪藻土七輪、こんろ「テレビで紹介されると驚くほど問い合わせや注文が入るのは嬉しいのですが、火の起こし方が分からない、炭の使用量が不適当、コンロの手入れの仕方が分からない等々の基本的な知識を持っていない人たちが多いことを痛感させられ、我々メーカーの責任として、正しい使い方をきちんと伝える努力を怠ってきたことを思い知らされました。そのことを今の段階でしっかりやっておかないと、せっかく購入していただいても使い方が分からないお客さんばかりになっても困りますから」と優しい眼差しで語る。
というのも、従来まで珪藻土コンロは、使い方を熟知した人しか購入しない商品だったが、数年前ぐらいからのバーベキューブームや不況下で家飲み層が増えたことで、珪藻土コンロを見たことも使ったこともない若い世代が購入するようになったことが最大の要因で、そうした顧客層への対応が後手に回っていた点を反省する。

ホームページにおいても同様に、楽しく使ってもらうことがメーカーとして一番望むところだけに、そうした部分の情報を提供するコンテンツを充実させていく必要性を痛感している様子。


● 認知度アップに地道な努力

珪藻土コンロ鍵主社長は自身のブログで、珠洲をはじめとした能登の祭りのPRも積極的に行っているが、観光客の来店は10年前に比べると減ってきているという。
その理由は、自家用車にカーナビが普及したことで、かつては狼煙の灯台から海岸線沿いに走るのが一般的だったのが、カーナビが最短距離で誘導するため、狼煙の灯台から見附島に直行するルートを辿るようになり、珪藻土資料館(鍵主工業社屋に併設した「珪藻土資料館」では、珪藻土関係の資料を展示、また、七輪やコンロなどを販売している。)のある同社がルートから外れた格好だ。「それをどうこう言っても始まらず、カーナビの設定をする際に、珠洲でお薦めの場所の一つに入れてもらえるように努力するしかない」と自らに言い聞かせる。

穴水のカキまつりで、珠洲の珪藻土コンロを大量に使用。その方策の一つとして、珪藻土コンロの魅力を知ってもらうべく、東京で開催される自治体のイベントに珪藻土コンロを持参し、サンマを焼いて来場者に提供するなど積極的な取り組みを続けている。

地元では、穴水のカキまつりで珠洲の珪藻土コンロが大量に使われており、「あちこちでカキを焼いて提供する際に、同時に珠洲の珪藻土コンロもPRしていたただいています」と感謝する。そうした認知度向上への日々の努力の積み重ねで徐々に売上が伸びていくことを期待し、珠洲のPRに努力を惜しまない。


● 珪藻土と共にこれからも...

kaginushi_08.jpg不況が続いているため、好景気の時代にはなかなか目を向けてもらえなかった地場産業に興味を持つ若者が増え、そのおかげで同社にも若者が就職するようになり、平均年齢はここ数年で若返ってきている。
さらに、既存の製品から一歩踏み込み、新製品を開発しようと、同業者が集まって珪藻土でピザ窯を作る研究中とのこと。

試作品でピザを焼きながら出来上がりを確認し、平成23年の春頃までには珪藻土の新たな製品として完成させるべく取り組んでいる。「ピザは子供からお年寄りまでファンの幅広い食品だけに、珪藻土の耐熱レンガで作ったピザ窯で美味しいピザが焼ければ、珠洲発の新製品になるのではと期待しています」と顔を綻ばす。

kaginushi_09.jpg珪藻土コンロを生産できるのは日本中で珠洲しかなく、この強みを大いにアピールし、珠洲に珪藻土コンロあり、そんな意気込みで全国に発信していくと同時に、日本中で使われている珪藻土コンロに対する責任を痛感している。「珪藻土コンロでバーべキューをやったら楽しかった。またやりたいと言って下さるお客さんを一人でも多く増やしていくことができたら...」この言葉に、鍵主社長の偽らざる思いが込められている。


インタビューを終えて・・・
能登の珪藻土コンロは全国シェア100%。これは本県を代表する伝統産業として誇るべきことであり、珠洲と言えば珪藻土コンロと言われるよう認知度アップに努めていただきたい。珪藻土コンロは、金具さえ外せば、全て土に還るエコな製品でもあり、地球環境に優しいモノづくりの典型で、まさに能登はやさしや土までも...。

鍵主工業 鍵主哲社長店舗名 (株)鍵主工業
創 業 昭和7年
住 所 珠洲市蛸島町1-2-146-1
電話番号 (0768)82-0780
URL https://kaginushi.co.jp/
鍵主工業七輪の里 https://7rin.biz/

(財)石川県産業創出支援機構の「石川発!お店探訪記」加賀・能登 頑張るお店 は、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。


組立型オーダー家具をお手頃価格・短納期で ソロ・モビリア

組立型オーダー家具をお手頃価格・短納期で ソロ・モビリア

『この隙間にぴったり収まる家具があったらいいのに...』こんな思いを誰しも経験しているに違いない。ただ、オーダーしてまで作るという人は稀ではないだろうか。その理由はコストが高くつくからだ。そんな文字通り隙間ビジネスに目をつけ、組立簡単・お手頃価格・短納期をキーワードに、『あったらいいなぁ』を実現してくれるのがソロ・モビリアである。


● 隙間ビジネスに可能性を見い出す

ネットショップ「ソロ・モビリア」仕事の関係で、県内各所にある製材所や木工所、家具製作工房などとの人脈があったオーナーが、サイズをオーダーできる組立家具をネット販売している先行事例を目にした時、「後発でも市場を開拓でき、エンドユーザーに直接販売することで利益も確保できる。しかもネットであれば店舗を持たずに全国に販売できる」との読みで、組立型オーダー家具の専門店としてネット販売を行うソロ・モビリアを開設。

そのネットショップ『ソロ・モビリア』(ソロはイタリア語で「ぴったり」の意、モビリアはフランス語で「家具」の意から、ぴったり家具)をスタートさせたのが、平成21年4月のこと。

ホームページを製作する専門業者と構想の段階から半年近くをかけ、満を持したホームページを完成させる。このホームページには、デジタル製図機能を完備しており、自分の欲しいサイズを入力すると、オーダー家具のできあがり図面を自動で作成し、その場で確認することができる。併せて見積を自動計算するソフトが組み込まれているのが大きな特徴であると共に、他社にない強みでもある。


● 売りは「誰にでも簡単に組立可能」

組立(アセンブル)家具には、食器棚・本棚・下足棚・レコード棚・TVボード・レンジ台シリーズがあり、それぞれに片開き、両開き、ガラス入りなどバリエーション豊富な組み合わせが選択でき、なおかつ自分の欲しいサイズを入力することで、自動で設計図面が製作され、見積もり金額も計算される仕組みになっている。さらに、ホームページ上には掲載されていないが、棚部分を引き出しに変更するオーダーにも対応している。
何よりも組立がプラスドライバー1本でできることが嬉しい。組立家具を購入したものの、いざ組み立てようとするとかなり厄介なものもある。とりわけ、そうした作業が苦手な女性には朗報だ。ドライバーが1本あれば、女性でも簡単に組立できるというのが同社の売りでもある。

組み立て作業を見ることができます。そうは言われてもやはり組立は...という方のために、組立作業をムービーにした組立ムービーまで完備。これを見ればどんなに不器用な人でも必ず組み立てられるという強い味方だ。

そこまで行き届いたサポート体制が整っていても、それでも面倒だから組立はしたくないという人には、注文家具1点につき15,000円(税込)を支払うことで、配達した作業員が、設置場所まで商品を運び、その場で開梱・組立・設置・梱包材等のゴミ持ち帰りまで行う組立サービスのオプションも用意している。


● オーダーでありながらお手頃価格・短納期を実現

最新の機器を揃えています。自宅のパソコンの前に居ながらにして使う木材の材質や色、棚の数、扉の有無、扉にガラスを入れるか入れないか等々の選択をした後、自分の欲しいサイズを入力するだけで注文が完了するため、わざわざ店舗や工場へ出かけていく煩わしさがない。

一方、同社にすれば、材料のストックは必要だが、製品としての在庫は持たないため、在庫コストの削減を図ることができる。と同時に、組立式にしたことで、職人が現場へ出向いて施工する人件費が不要になり、その分のコストをお手頃価格として顧客に還元できるのだ。
また、組立家具の材料を何カ所かある外注先の工場にストックしておくことで、注文が入るとすぐ作業に取りかかることができ、それによって短納期を実現している。

家具製作に使う機器制作された家具一方、フルオーダーの場合は製作にかかる前段階で、顧客との綿密なやりとりが不可欠なことから、短納期というわけにはいかなくなるが、ディスプレイの画像では実物の色合いや木目、質感を正確に伝えられないことから、使用する材料の現物片を宅配便で顧客に送り、指定された材料で製作していいかの最終確認を得てから作業に取りかかる入念さだ。


● 1年目はまずまずのスタート

下駄箱です。初年度の状況を伺うと、「9割以上を組立(アセンブル)家具が占め、フルオーダー家具は1割弱」とのこと。デフレ経済下の時代を反映し、低価格の組立家具に人気が集中している格好だ。
ネット通販だけに、全国各地から注文が入ってくるが、やはり人口の集中している関東方面や関西方面のウエイトが高く、全体の6割ぐらいを占める。

デジタル製図ホームページには、会員登録する箇所が設けられているが、現段階では、それによって何らかのメリットやサービスを受けられるわけではなく、これからの課題だ。ISICOの『お店ばたけ』に出店したことで、「公的な機関のホームページに自社の名前が載っていることで、お客さんがグーグル等で検索された際に、掲載順位が自動的に上位になると同時に、企業としての信用度も上がり、それが新たな受注にも繋がり始めています」とISICOの支援に感謝。

● オーダー組立家具でナンバー1を目指す

ソロ・モビリアの家具事例当初の売上目標には及ばなかったものの、まずまずのスタートを切れたことに安堵の表情を覗かせる。

「初年度はお客様の注文にクイックレスポンスすることに全力を注いできたため、こまめな営業活動やPRができなかったが、2年目からはそうした点にも努めていきたい」と力を込める。時間の経過と共に同社の認知度が高まれば、受注件数が飛躍的にアップすることが期待され、そこが全国をターゲットにするネットビジネスに秘められた大きな可能性でもある。

ソロ・モビリアの家具事例「今は自動計算ソフトに対応できるものでないとカート注文に対応できないことから、組立(アセンブル)家具は6種類が基本となっていますが、将来的にはこのバリエーションを少しずつ増やしていき、お客さんからの様々な付加ニーズにも対応できるフレキシブルなホームページへと成長させていきたい」と意欲的に取り組むソロ・モビリアである。

インタビューを終えて・・・
痒いところに手が届く、あったらいいなぁ・・を現実の形にすることで、着実に顧客を獲得している隙間ビジネスの好例と言える。自動製図ソフトや自動見積計算ソフトといった思い切った初期投資をすることで、先行する他社との差別化を図るなど、このネット事業に賭ける並々ならぬ意気込みを痛感させられた。


店舗名 ソロ・モビリア
設 立 平成21年4月
資本金 500万円
住 所 小松市沖町ト153番地
電話番号 (0761)21-8899
URL http://solo.co.jp/

(財)石川県産業創出支援機構の「石川発!お店探訪記」加賀・能登 頑張るお店 は、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

お客様の立場に立った店づくりで永続企業へ (株)エース

吉田カバン。鞄好きはもちろんのこと、そうでない人でも名前だけは聞いたことがあるであろう日本を代表する鞄ブランドである。吉田カバンの製品を実店舗とネットショップで商い、堅調に業績を伸ばしているのが、金沢市竪町に本社を置く(株)エース(乙村要介社長)である。
同社のネットショップならびに実店舗の責任者である松田卓也部長にお話を伺った。


● 新しい発想で販売を革新する血を継承

吉田カバン(ポーター)ブランドの財布と小物がずらり同社は、現社長の祖父が大正10年、金沢市七ツ屋町にて履物店を創業したのが始まり。昭和2年に横安江町商店街に移転。昭和38年に二代目が履物店から靴店に業態転換。三代目の現社長が昭和55年に入社後、積極的な多店舗展開で業容を拡大する一方、靴安売りの全国チェーンの台頭を契機に、在庫経費の嵩む靴店に見切りをつけ、平成8年、吉田カバン専門店『クールキャット』を竪町パティオに出店し、靴店から鞄店へと業態転換する。

「ビジネスバッグ」をテーマにした吉田カバン「ポーター デバイス」。先代、現社長ともに時代を読む先見性に富んだ経営者であることが、同社の歩みから見て取れる。さらに、遡ること10年前の平成12年には、クールキャットのホームページを立ち上げ、いち早くネットビジネスにも着手している。


● スリムな経営体質に転換

吉田カバン正規取扱店「クールキャット」実店舗の様子平成18年頃まで10店舗あまりの実店舗を展開していたが、長引く消費不況を乗り切るべく、店舗のリストラを断行し、吉田カバンを中心に扱う竪町本店『クールキャット』、金沢駅前フォーラスの『クラチカ』(吉田カバンのフランチャイズ)、それに本店2階にあるセレクトショップ『86』の3店舗に集約する。

ちょいレトロなバスク柄のポーター流ナチュラルマリン。その一方で、ネットビジネスの伸びは著しく、同社が運営する『クールキャット』、『お財布屋』、『86』のホームページは、楽天やヤフー、アマゾンにも出店しており、同社の鞄類の売上全体(クラチカ除く)の8割近くをネットショップが稼ぎ出しているのが現状だ。

● 10年前に手作りでスタートしたホームページ

クールキャットのホームページ同社のホームページは、松田氏が入社した翌年(平成12年)、「これからはインターネットの時代だから...」との乙村社長の指示を受け、松田氏が手作りで始めたもので、自ら製品の写真を撮り、1点1点アップしてアイテム数を蓄積してきた結果、10年の歳月を経て現在の本格的なページに充実してきたもの。

楽天市場にも出店「吉田カバンの製品は定番として長年変わらないものが多く、商品が次々と入れ替わる商材とは異なり、アイテムを蓄積していけるため、当社のような少人数でも対応でき、その点はネット向きの商品なのかもしれません」と謙遜する。

「お財布屋」ネットショップそうして蓄積されたアイテム数は約1,800点に上る。ネットショップはスタートから6年を過ぎたあたりから認知されるようになり、売上も軌道に乗り始め、通販部門と実店舗部門を分離し、それぞれに専任スタッフを置く形にはなったが、実店舗の奥に通販部門があり、互いに協力しながら商品の管理運営が行えることが強みでもある。


● 吉田カバン+αの品揃えに転換

金沢市竪町「クールキャット」店内の様子吉田カバンの魅力を伺うと、「真面目にモノづくりに取り組んでいる姿勢が伝わってくる信頼できる商品だけに、売る側の我々にとっても自信を持ってお客様に勧めることができます」と熱く語る。長年愛用することを考えると国内で修理対応できる点もお薦めのよう。

『クールキャット』の店頭に並ぶ商品は、8割が吉田カバン、残りの2割がその他ブランドとなっているが、売上構成比では95%を吉田カバンが占める。その点について、「吉田カバンへの依存度が高すぎる点は危惧しており、新しい柱となる商品を育てたいと思い、3年ほど前から新たな商品も扱い始めています。いずれも国内で修理やアフターケアが確実にでき、お客様にご迷惑やご不便をおかけすることのない商品だけを扱っています」とこだわりを披瀝。

吉田カバン正規取扱店クールキャット 人気ランキング平成18年に吉田カバンのフランチャイズショップである『クラチカ』をオープンしたのを機に、商圏が近いこともあり、竪町の『クールキャット』は吉田カバンを中心としたセレクトショップへと変化させてきている。近年はオリジナル商品を強化したいとの社長の考えで、昨年末と今夏の二回、それぞれ百本ずつオリジナル商品を発表し、1カ月あまりで完売。こうしたオリジナル商品への取り組みを今後も継続し、核である吉田カバンへの依存度を少しずつ下げたい考えだ。


● ネットショップのデータベースは財産

吉田カバンの顧客層は幅広く、20代前半から50代後半まで、男性客が圧倒的に多い。メインは20代後半から30代半ば。近年は女性客も増えてきているという。

吉田カバン・ポーター 小物(キーケースなど)ネットショップでは、大都市圏の東京、大阪の順で注文件数が多く、全国各地から月平均1,800~2,000件の注文があるとのこと。2年~3年に1回の間隔で再来店する顧客が主流だが、中には3カ月に1回程度買い物するヘビーユーザーもいる。同店のホームページに掲載されている人気商品ランキングに黒の鞄が多い理由は、男性客のウエイトが高いためだ。

クールキャットで扱っている吉田カバンの商品たち店舗と顧客をつなぐメールマガジンは、今のところ不定期発信となっているが、「できれば1週間に1回程度は配信したいところですが、現実には日々の業務に追われて間隔が延びがちになっています」と苦笑する。メールマガジンでは、新商品の案内や人気ランキング、その時期の特設コーナー、例えばクリスマス、バレンタインデー、就職など、その時期に相応しい商品を紹介している。


● 魅力ある個店をめざし

(株)エース 松田卓也部長10年あまり運営してきているホームページではあるが、他店がどのような取り組みをしているのか、いろんな情報収集を目的に今般ISICOの『お店ばたけ』に新規出店した。
「鞄のショップは安定した売上を稼ぐまでになってきましたが、まだ発展途上のサイトもあり、販売する商材によって相応しいやり方が異なることから、そうしたアドバイスや情報を出店されている皆さんからいろいろ勉強させていただき、アンテナショップでもある実店舗とネットショップをバランス良く伸ばしていくことが今後の課題です」と謙虚に語る。

店内に飾られたポーターのフラッグ竪町商店街の通行量が目に見えて減少している昨今、実店舗の売り上げはこのところ減少傾向のよう。「空き店舗や更地が点在する現状ではなかなか難しいものがあります。そんな中で、個店としてお客様を惹きつけるだけの魅力ある店にクールキャットを育てていくことが我々にとっての日々のテーマです」と語る目線の先には、自社・取引先・顧客の三方がハッピーになれる理想の青写真が見えているに違いない。

インタビューを終えて・・・
同社の社名であるACEは、All Customer Enjoyの頭文字からきている。全てのお客様に楽しんでいただくことを商いの目標に掲げ、日々邁進するエースグループの5年後、10年後が楽しみである。


クールキャット 店舗外観店舗名 (株)エース
住 所 金沢市竪町44 エースビル1階
電話番号 (076)223-8880
創 業 大正10年
URL http://www.ace-company.net/~coolcat/

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