石川発!お店探訪記の最近のブログ記事

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(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」金沢・加賀・能登 頑張るお店では、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 ワンちゃんの美容室&ホテル Berry
ワンちゃん専門店として堅実な商いに専心 ベリー

奥能登・珠洲市において数少ないワンちゃんの美容室&ホテルとして、オープン以来堅実な商いで着実に顧客を掴んでいるショップがBerryである。都会ではペットにお金をかける飼い主が多いことはよく知られているが、珠洲市内での事業環境について、Berryを訪ね、オーナーの舟橋未央さんにお話を伺った。


●動物好きが高じてワンちゃんの美容室を開店
ワンちゃんのトリミングを施す舟橋さん珠洲で生まれ育ち、少女時代からずっと動物が好きだった舟橋さんは、地元の高校を卒業後、好きな動物を相手にする仕事がしたいと、金沢市内の専門学校に入学し、犬のシャンプーやカット、トリミングなどの技術を身につける。その後、金沢市内の2箇所のペットショップで通算3年あまり経験を積んだ後、地元珠洲に戻り、親の支援も得てワンちゃんの美容室&ホテルBerryを平成15年に開店する。
「地元に戻って店を持つことは決めていたが、金沢と違って珠洲でペットの美容室が果たして商売として成り立つのかどうか、正直不安だったが、いざオープンしてチラシを配ったり、電話帳に広告を載せたところ、思っていたよりも多くのお客さんが来て下さり、口コミでお客様の輪が広がり、おかげさまで徐々に売上が伸びてきています。」とオープン当初を振り返る。
ホテルとしての需要はもちろんのこと、1日数時間だけ預けられるお客様やシャンプーの依頼など、実際にスタートしてみると金沢で勤務していた店と変わらぬ忙しさのようだ。
珠洲で生活する熟年夫婦は、子供たちが都会に就職して家にいないため、子供替わりにペットを飼っているケースが多く、家族同様のワンちゃんにはお金を惜しまないという点では、都会も田舎も変わりない。


●トリミング料金とホテル料金

■トリミング料金
トリミング・シャンプールーム

チワワ、ミニチュアダックス、パピヨン他
 シャンプー 3,150円~ カット 4,200円~
シーズー、マルチーズ、ポメラニアン他
 シャンプー 3,675円~ カット 4,725円~
柴、トイプードル、コーギー他
 シャンプー 4,200円~ カット  5,250円~
ゴールデンレトリバー他
 シャンプー 7,350円~ カット 8,000円~

※シャンプーには爪切り、耳掃除、足裏の毛のカットも含む


■ホテル料金
小型犬 1泊目 3,150円 2泊目以降 2,625円
中型犬 1泊目 4,200円 2泊目以降 3,675円
大型犬 1泊目 5,250円 2泊目以降 4,725円
預かる場合は、事前に病気のない健康な犬であることを確認した上で、問題のない犬のみ預かっている。

ストレス社会は、人間だけでなくペットの世界でも同様に様々な症状がからだに現れることから、預かったワンちゃんのからだを触ってみて異常を感じた場合は、飼い主にそうしたこともアドバイスしている。
ペットフードに関しても添加物が入っていないものやアレルギーが出にくいものを食べさせるように心掛けているとのこと。


●お客さんの要望に可能な限り応える
ペット用の洋服一度ペットを預けて満足した飼い主の口コミで、徐々にBerryの存在が広まり、今では150人を超える固定客を獲得するまでになっている。当初の地域性を懸念した不安は幸いにして杞憂に終わったが、「自分一人でやれることには限界がありますが、飼い主の皆さんとワンちゃんに喜んでもらえるサービスを提供したいと日々頑張ってきた結果、ようやく商売として軌道に乗り始めたところです。」と控えめに語る。
確かに、舟橋さん一人で全てをこなしていることから一日に預かれる犬は3匹が限界。自らも犬4匹と猫2匹を飼っている大の動物好き。基本的には犬だけが対象だが、どうしてもと頼まれれば、犬と一緒でも問題がないことが前提だが、兎やフェレットなど珍しい動物を預かる場合もあるとのこと。参考までに珠洲で人気の犬種を尋ねてみると、シーズーの人気が高いようだ。
ワンちゃんの美容室として、来店する飼い主の要望をできるだけ聞き、どのワンちゃんにも自らの愛犬と変わらぬ愛情を注ぎ、心をこめてトリミングやシャンプーをすることで、飼い主にも、ワンちゃんにも、そして自らも満足できる仕事を日々心掛けて邁進している。
Berryでは顧客へのサービスとして、トリミングを1回利用すると次回のトリミング料金から500円を割引くサービス券を発行し、リピーターへとつなげる工夫もしている。


●新しいビジネスの芽も
ペット用品ペットを飼う人が増えている時流の中、観光客が一緒に連れて来たワンちゃんを民宿やホテルから紹介されて預かるケースもぽつぽつとあるとのことで、宿泊施設と提携した新たなビジネスの芽も出始めているようだ。
能登にとって観光は重要な産業だけに、そうした需要をうまく自らの商いに結びつけていくことで、新たな収益の柱に育てていくことも可能ではないだろうか。ペットの美容室と聞くと華やかな商売というイメージを持ちがちだが、外から見るのとは異なり、言葉の通じないワンちゃんの気持ちを察しながら、カットやトリミングを施さなくてはならず、想像以上に神経を使う仕事であると思われる。
「今は、自分のできることを精一杯していきたい。」と堅実な舟橋さんに将来の夢を伺ってみると、「親が調理師免許を持っているので、将来的にはドッグカフェをやれたらなぁ・・」と目を輝かせて語ってくれた。
何年か後、金沢市内にドッグカフェBerryがオープンする日を夢見て、今日もワンちゃんのトリミングに余念のない舟橋さんである。


■インタビューを終えて・・・
Berryの取材を通して、ペットにお金をかけることに地域差はほとんどない時代になっていることを改めて痛感させられた。家族の一員であるワンちゃんは飼い主にとってはまさに子供であり、子供をかわいがるのは親として当然のこと。そう考えると、都会のような過当競争に巻き込まれることなく、自分の思いを商いに反映できるBerryの環境は理想的ではないだろうか。

(平成20年2月取材)

ベリー 外観
商 号 ワンちゃんの美容室&ホテル Berry
所在地    珠洲市上戸町寺社18-2-2
創 業    2000年5月
電話番号 (0768)82-4523
営業時間 10時~20時
定休日 毎週火曜日・第3日曜日

(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」金沢・加賀・能登 頑張るお店 では、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 庄屋の館
奥能登の荒磯料理でおもてなし 庄屋の館

平成19年3月25日に能登半島を直撃した地震で、国道249号線の珠洲市と輪島市を結ぶトンネル「八世乃洞門」が通行止めとなったため、輪島方面からの入り込みが不能となり、3カ月あまり営業休止状態を余儀なくされた。
庄屋の館は、丈太郎さんのお父さん(現社長)が、古民家を移築し、食事処として、同社が経営する能登観光ホテルの隣接地に建てたものである。ここへきて、ようやく客足が戻ってきたようだが、三代目で料理長を務める和田丈太郎さんに地震からの復興に邁進する日々の取り組みを伺った。

●地震は足元を見直す好機
料理長の和田丈太郎さん「建物や施設などの被害はほとんどなかったものの、地震直後から3カ月余り、団体客のキャンセルが相次ぎ、フリーのお客さんの来店もほとんどない状況が続き、大幅な売上減となり、かなりしんどかった。」と振り返る。
自社が経営する能登観光ホテルに関しても同様の状況ではあったが、営業努力を重ねて地元客の需要を掘り起こし、減収幅の拡大を何とか食い止めることができたようだ。
「地震が発生し、来客ゼロの日が続いた苦しい日々の中で、日頃はあまり考えなかったことや怠慢になっていた部分を見つめ直すいい機会を与えてもらった」と述懐する。


●料理人は天職
「子供の頃は、父親の後を継ぐことは全く考えていなかった」と言う丈太郎さんだが、高校生になって能登観光ホテルや庄屋の館でアルバイトするようになり、厨房に入って家業を手伝ううちに、料理に対する興味がわき、大阪の調理師専門学校に入る。卒業後、金沢市内にある2軒の料理屋で5年間修業を積み、25歳の時に家業を継ぐ。「自分の作った料理を食べてお客さんが幸せそうな顔をしてくれた瞬間や『おいしかったよ』と言ってもらえることが何よりの喜びで、料理人になって本当に良かったと思っています。」と自らの仕事に誇りとやり甲斐を見い出している。


● 荒磯料理が看板メニュー
珠洲の天然塩を使った塩アイス能登観光ホテル、庄屋の館共に、売りは目の前に広がる日本海の絶景と新鮮な海の幸を食材に使った荒磯料理である。なかでも、海藻しゃぶしゃぶは、目の前に広がる日本海で採れる新鮮な海藻を使い、父親である社長が考案したメニューである。丈太郎さんはそうしたメニューに加えて、海藻を使ったフルコースや旬の食材を使った月替わり創作料理など、新たなメニューづくりに積極的に取り組み好評を得ている。 近くにある真浦漁港では、朝と昼の二回水揚げされることから、自ら出向いて仕入れてくる。さらに、地元珠洲の天然塩を使ったオリジナルアイスクリームも女性に人気だ。

オリジナル蛸カツ丼 能登丼能登半島に元気を取り戻す復興策の一環として県が推進している能登丼キャンペーンに協賛し、同店では目の前の日本海で獲れる新鮮な蛸を使った『オリジナル蛸カツ丼』(980円)を提供している。こちらも人気メニューとしてコンスタントに売れている。
通常メニューの中でも人気が高いのは海藻しゃぶしゃぶ定食、いしり鍋定食で、11月から3月の間は蟹フルコースも楽しめる。八世乃洞門が開通したとはいえ、夜8時から朝5時までの間は通行止めとなるため、夜間の宴会利用客にも影響が出ており、地震前の状況に戻るにはまだしばらく時間がかかりそうだ。


●能登の魅力を満喫できる能登観光ホテル
能登観光ホテル 外観庄屋の館に隣接する能登観光ホテルは、平成15年に新館を建設。客室にはあすなろや桐、杉など自然木を豊富に用い、優雅な造りになっている。窓からは能登の海が一望でき、潮騒が聞こえる。水平線に沈む夕陽を眺めながらゆったりと入れるお風呂が好評だ。24時間入浴OKのお風呂は、奥能登に自生する薬草「わたふじ」の湯が堪能でき、湯上がり後もからだがぽかぽかと暖かく、能登版アロマテラピーとして人気上昇中だ。
10年あまり前から、ペットを連れて旅行したいとのニーズに応えるべく、トイレマナーがしつけられた室内犬であれば、同じ部屋に泊まれるサービスをスタートしたところ、ペットが家族の一員という顧客に口コミで広がり、宿泊客の8割はペット連れとのこと。ペットと飼い主が一緒に入れる専用の浴室やペットと泊まれる離れの部屋を完備していることから、金沢はもとより関西・中京・関東方面からも多くの宿泊客が訪れている。

蟹漁が解禁となる11月から3月20日までの期間限定の蟹コース料理は、カニ刺し、茹でカニ、カニ鍋、焼きカニ、カニ味噌入り茶碗蒸し、茹で香箱カニ、雑炊もついた蟹好きにはたまらない蟹三昧。3月中旬から4月25日までの限定コースは、ミネラル豊富で低カロリー、健康になれるヘルシーな海藻しゃぶしゃぶ、海藻天ぷらなどの海藻づくしのコース。7月から8月の夏休み期間は、海女さんが獲る、朝獲れ天然岩ガキコースが人気。大きい物は15㎝以上あるという。養殖のカキに比べて大きさはもちろんのこと、濃厚な海のミルクがたっぷり味わえる。食の安全・安心に関しては、衛生管理はもとより、従業員の体調管理にも日頃から十分気を付けているとのこと。また、食材の仕入れについては、可能な限り野菜も魚も地元の新鮮な食材を使うことを心掛けている。こうした日々の小さな努力の積み重ねが食中毒等の事故を防ぐ最善の方策と心している。


●これからの店づくり
座敷料理については、「地元ならではの食材を用いて特徴ある料理を提供していきたい。」と考えている。
「先代が確立してきた基本は守りながら、時代の変化に合わせて自分なりの新たな魅力づくりができれば・・・」と意欲的だ。能登観光ホテルは、新館以外の施設が老朽化してきていることもあって、「お客様に満足していただける旅館には程遠いと痛感しています。社長は新たな夢を持ち、自身が想う旅館を考えていますが、私としては規模を追うのではなく、自分の目の届く範囲内のこじんまりとした規模で、高品質なサービスを提供できる旅館づくりを目指したいと思っており、そのあたりをこれから話し合っていきたい。」と三代目の主張もしっかりと。
近隣の宿泊・飲食業に関わる人たちが定期的に集まり、地域食材を活用した料理の勉強会なども開催しており、店だけでなく一般家庭にも普及させていけるようなメニューづくりにも取り組んでいる。
行政が地域資源活用に力を入れているタイムリーな時期でもあり、地元食材の活用や新メニュー開発、地域食材を活用した土産物づくりなど、様々な可能性が見込まれる。
「お客様に満足していただける宿づくりが目標です。」と熱く語る丈太郎さんの益々の研鑽に期待したい。


■インタビューを終えて・・・
震災後の厳しい時期を家族・従業員が力を合わせて乗り切り、ようやく長かったトンネルの出口が目の前に見え始めてきているようだ。
家族中心のアットホームな接客、新鮮な食材を使った荒磯料理、眼前に広がる日本海の絶景、この3要素の魅力をより一層磨き、繁盛につなげてもらいたい。

(平成20年1月取材)

庄屋の館 外観商 号 庄屋の館
所在地    珠洲市真浦町
創 業    昭和52年9月
電話番号 (0768)32-0372
営業時間 11:00~21:00
定休日 年末年始、月1回不定休
URL http://www.notokankohotel.co.jp/yakata.htm


(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」-金沢・加賀・能登 頑張るお店-では、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 エス・カーブスタジオ
我風を吹かせて30年余り 加賀に我あり エス・カーブスタジオ

JR加賀温泉駅裏手にあたる作見町の一角にあるS字カーブを曲がると、個性を主張するエス・カーブスタジオの白い建物が忽然と現れる。大きな木の扉を開けると、その向こうはまさに異空間。他店にない独特の空気と個性を主張する商品の数々に圧倒される。

遡ること30年前、自らが着たい服を欧州に求めてスタートした小さなセレクトショップが、今では地方都市にありながら、国内屈指の販売力を有するショップとしてその名を馳せている。
地方のハンデを物ともせず、強烈な個性で邁進する塩浦正浩社長にお話を伺った。

●東京でもニューヨークでもなく、加賀
S字カーブになった道路に面する店舗加賀市の農村で衣料品店を営む家の長男に生まれた塩浦氏は、大学卒業後、東京の大手呉服メーカーに勤務した後、27歳の時に実家に戻って家業を手伝う。
洋服好きの塩浦氏にとって、近隣に自分が着たいと思う服を売っている店がなかったことから、それを自ら探し自ら販売しようと、両親の営む衣料品店の片隅に2畳分ほどのコーナーを設け、店舗がS字カーブになった道路に面していたことから「エス・カーブスタジオ」と名付けて商いを始めたのが今日の原点である。

●自らの感性に適(かな)う洋服を求めて海外へ
エスカーブスタジオ3階開店に向け、ロンドン、パリ、ミラノといった世界のファッションをリードする最先端の地へ貯金を叩いて買い付けに行く。買い付ける商品は、そのデザイナーが100の商品を作っていた場合、日本の商社はそのうちの30ぐらいしか仕入れていない。逆に言えば、残りの70の中に自分の感性に適うものがあるのではないか、そんなマーケティングリサーチを徹底して行ったという。
「この服なら儲かるという発想ではなく、あくまでも自分にとってプラスになるか、地域社会にどう貢献できるかがポイント。商売には、利潤の追求、社会性、永続性の3要素があると思うが、私は社会性を一番重要視している。

お客様が来店した時に、いかにサプライズさせるか、感動させるか、また行きたいと思っていただける店づくりが本当にできているかどうか。それが私の商売の根底にある。」と断言する。
金沢はもちろんのこと、富山や福井、遠くは東京や大阪からわざわざ同店まで買い求めに来る客足が絶えないことが、その言葉を裏付ける証左でもある。

●人脈こそが最大の財産
エスカーブスタジオ店内ここ10年あまり前から、欧州のマネービジネスに嫌気がさし、年4回程度、毎年アメリカへ買い付けに行っている。今はアメリカンにぞっこんだ。
この10年間で、アメリカのファッション業界のカリスマたちとの太い人脈ネットワークが構築されたことは言うまでもない。
「私はメジャーよりもマイナーが好きだ。自分が創業した当時は、ファッションは情報だみたいな感じがあったが、今はファッションは人脈ネットワークであり、人が人を紹介してくれる。」と明言する。と同時に、スタッフ一人ひとりが、社長の熱い想いを理解し、自らも社長と同じ気持ちで接客にあたっているからこそ、今日があるということでもある。
エス・カーブスピリットを叩き込むある意味での人間修練の学校的な役割も果たしているようだ。自身の子供がいない分、社員は全て分身のような気持ちであり、自ら教える部分と自らの背中を見て成長してくれることに期待を込める。

●ネット販売・セールはしない
MCストア 1階 全景「あちこちの店がネット販売をしているが、うちは絶対しない。Face to Face、Heart to Heartのビジネスをファッションの中でやっていきたい。
ネット販売はお客様に楽しみを売っていない。社会性ではなく単なる物欲を満たしているだけで、心を満たしていない。我々がやらなければいけないのは正にその部分で、芸術的なブランドを作っている人たちの、いわば"子供"が店頭に並ぶ商品であり、それをうちの店の売り場に並べ、いかに世界観を出してあげて、どう成長させていくか、そしてどういう人のところへお嫁に行くのか、そこまで見届けるのが、我々アパレルを扱う者の喜びであり、私はそういう信念でやってきている。」とポリシーを熱く語る。
「本当にいい洋服、魂のある洋服は3年経っても4年経ってもいいからセールはしない。世界遺産ではないが、長い年月を経ていても、いいものにはオーラがある。
私は、マネービジネスをやっているのではなく、本当に洋服を好きになってもらいたいと思う。だから洋服屋として他の人には負けたくない。」と活力を漲らせる。

●数が文化を創出する
東京と同じ商品を販売するのであれば、東京と加賀の物価、家賃、人件費等々に格差があるように、東京価格が28,800円のGパンを、同店では、19,800円で販売する。
「数が文化のバロメーターであり、多くの人に履いてもらえないと意味がない。28,800円のGパンだとうちでは100本しか売れないが、適正価格の19,800円にすることで400本は売れるだろうと読み、販売したところ出来高は800本を完売した」と言うから驚かされる。ビジネスとして考えた時、どちらの利益率が高いかは明白である。

●店・商品・スタッフは顧客のためにある
MCストア ショウウィンドウ「私は利益追求型の商いはしたくない。利益は全員でシェアするもの。お客様も、社員も、自分も、デザイナーも、作り手も。自分だけ儲けようという考え方では商いは成り立たない。私は縁の下でデザイナーや作り手をサポートしていくことに生き甲斐を感じている。
自分がやりたいことをやって、それに共鳴するお客さんだけが来てくれればそれでいいと思っている。」と自らの商いに対する自信を覗かせる。
「他人が100の服を見て回るのなら自分は1000の服を見て回ろうと、フットワークで稼ぐ仕入れを貫き、いろんな時代を経験してきたが、どんな時代にもセレクトショップを変えなかった。自分の好きな洋服を並べてお客さんに販売するのが自分の仕事だと思っている。30年こうしてやってこれたことは感謝に尽きない。うちにしかないもの、それを時間をかけてメジャーに持っていく。こうした努力をこれからも日々地道に実践していくのみ。」と締めくくる。

ビートルズ、ローリングストーンズの音楽で育ち、音楽もファッションもボーダレスであることを自ら率先垂範し、海外での幅広い人脈を武器に、益々血気盛んな塩浦氏である。

■インタビューを終えて・・・
まさに体の中を流れる血が我々とは全く違うと痛感させられた。弟子入りしないと塩浦氏の世界観を真に理解することは難しいのかもしれない。ただ、商いに対する姿勢という点では、自分が自信を持って薦められる商品のみを販売するという、当たり前のことを当たり前に実践している。実はこの簡単明瞭なことを実践するのが最も難しいことなのかもしれない。

(平成19年12月取材)

エスカーブスタジオ 外観商 号  エス・カーブスタジオ
所在地  加賀市作見町ヨ17-1
設 立  昭和52年
電話番号 (0761)74-1829
支店   MC STORE (加賀)、DeTail(竪町)
営業時間  10:00~20:00
10:00~19:00(冬季)
定休日 毎週火曜日


(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」金沢・加賀・能登 頑張るお店 では、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 二三味珈琲
木の浦の波風薫る 二三味珈琲

眼前に広がる日本海の波頭と岩場の造形美を我が庭とする珈琲豆専門店が、珠洲市木の浦海岸に店舗を構える二三味珈琲である。珈琲業界はもとより珈琲通の間で知る人ぞ知る存在である二三味葉子さんが、平成13年に修業先の東京から地元珠洲に戻ってスタートした商いも、現在(平成19年)では月間600-800㎏の豆を販売するビジネスに成長している。
日々珈琲豆の焙煎に心血を注ぐ二三味さんに珈琲に賭ける思いを伺った。

●東京ではなく珠洲・木の浦
注文を受けて豆を挽く二三味さん今をときめくパティシエを目指し、大阪の専門学校で1年学んだ後、東京・成城「マルメゾン」で菓子職人の修業を4年間積むも、「ケーキ屋をするなら美味しいケーキに美味しい珈琲は付き物だから・・・」と、珈琲業界では知る人ぞ知る「珈琲工房ホリグチ」の門を叩き、さらに4年間珈琲豆の焙煎を学ぶ。
当初はケーキ屋を考えていたものの、東京で店を構えるとなると初期投資にかなりの資金が必要になり、実現は難しかった。一方、珈琲豆を焙煎して販売するだけであれば、ホリグチ仕様に改造した焙煎釜1台あれば自分一人でできる。立地を選ばず地元に帰って商売できることが心を大きく動かした。たまたま木の浦海岸に祖父が遺した舟小屋があったことから、そこを改造し、焙煎釜を設置して二三味珈琲を開店したのが平成13年のこと。

●二三味珈琲を求めて全国から
現在(平成19年)、売上に占める業務用卸は2割程度、残り8割は二三味珈琲の熱烈なファン客である。「自分の店を宣伝するようなことは何もしていませんが、この場所で商売をしていることが、かえって宣伝になっているのかもしれませんね。とにかくゼロからのスタートで、この場所だったら旅行雑誌が取り上げてくれるのではないかと期待していました。」と振り返る。
予想通り、様々な旅行雑誌や女性誌で紹介され、それがきっかけで注文も増えていった。と同時に、奥能登への観光誘客にも一役買っているようだ。
インターネットのブログには、二三味珈琲を訪ねて感激した観光客のコメントが相当数掲載されている。「地元の民宿やホテルの人が宿泊されたお客様に私の店を紹介してくださるのも有り難いことです。」と生まれ育った土地に感謝。
宅配便の普及で翌日には全国どこにでも届く便利な時代だけに、いい商品さえ扱えば店舗の場所がどこにあるかは関係ないことを証明している。

●経験したことのない馥郁(ふくいく)とした香りと味わい
コーヒーの生豆が入った袋二三味さんが焙煎した豆で珈琲を入れると、まず馥郁とした香りに「ほっ」と癒され、一口飲むと今までに飲んだことのない奥行きのある風味が口の中いっぱいに広がり、そして鼻に抜ける。喉を通過して胃に入っていくと、からだ全体が温まる、そんなパワーのある珈琲だ。喉越しの余韻がまた何とも言えず心地いい。
二三味珈琲を飲める喫茶店は、金沢市内では横安江町にある『コラボン』と東山にある『あうん堂』の二軒のみ。珠洲市内でも道の駅をはじめ何カ所か飲める店があるとのこと。
とりわけコラボンの大畠さんは、オープンしたばかりの二三味さんの店で珈琲の入れ方の直接指導を受けているだけに、「コラボンさんは私の珈琲の風味を忠実に味わうことが出来る一押しの店です。」と太鼓判を押す。東京では喫茶店1箇所と二三味さんが働いていたマルメゾンに納めている。
「私が独立した時は、珈琲を取ってあげるよとオーナーが約束してくれていたから、これは本当にありがたかったし、まず東京に1軒は取引先が確保できたと心強かった」と述懐する。

●定番は6種類のブレンド
焙煎された豆が並ぶ棚二三味珈琲のラインアップは、いいなぎブレンド(中煎り)200g800円、日置ブレンド(中煎り)200g900円、舟小屋ブレンド(やや深煎り)200g800円、二三味ブレンド(深煎り)200g800円、てっかまっかブレンド(深煎り)200g900円、エスプレッソブレンド200g900円の6種類。その他ストレート豆で10カ国の豆を用意している。
「珈琲豆の煎り加減を微妙に調整することで、20種類近いブレンドを作ることもできますが、6種類のブレンドで大まかな味の表現はできています。その他の好みは、ストレート豆から選んでいただいています。」とのこと。
開店から7年を経て、商い的には順調に伸びてきている。都会にいて、木の浦の風景を頭の中に思い浮かべながら、二三味さんが焙煎した珈琲を飲めるという付加価値が熱烈なファンにとってはたまらない贅沢なのかもしれない。

●新たなステップに挑戦
平成20年には、珠洲市内で珈琲とケーキを提供する喫茶店を開店することになっている。既に店舗となる物件は購入済みで、これから設計にとりかかるばかり。珈琲豆の販売については右腕となるスタッフが育ってきており、今は喫茶店のスタッフとなる女性に日々教え込んでいる。
珠洲市内でオープン予定の喫茶店について、「基本は地元のお客様にゆっくりとした時間を過ごしてもらうこと。地元のおじいちゃん、おばあちゃんや旅の人たちが集まる場所になるといいですね。まちなかには、木の浦の絶景は用意できないので、珈琲の腕の見せどころです。」と夢をふくらませる。
「珈琲の味を決めるのは焙煎の腕次第、この作業だけは人任せにできない。ここで手を抜くと味に微妙なブレが出てしまうから、自分の手ですべてやらないと気が済まないんです。喫茶店に関しては不安もありますが、初めてのことをやるのは楽しいですよ。」と、自らも新店舗オープンにワクワクドキドキを隠せない様子。

二三味さんの門を叩き、珈琲の焙煎を勉強した青年が平成19年4月に独立し、地元大分に戻り喫茶店を繁盛しているとのこと。弟子を一人前に育て上げる大仕事から開放され、今一度初心にかえり、新たなステップに挑戦する二三味珈琲の飛躍に期待したい。

■インタビューを終えて・・・
木の浦の絶景を我が庭のように佇む二三味珈琲。外浦の風雨に晒され歳月を生き抜いてきた舟小屋を活用した二三味さんの心意気が、焙煎された珈琲豆の一粒一粒にまで染み渡り、得も言われぬかぐわしい薫りと馥郁とした個性的な余韻で味わった人を虜にしてしまう珈琲だ。舟小屋ブレンドの香りと風味が時間が経っても心地よく全身を癒してくれる。「知る人ぞ知る」この枕言葉はまさに二三味珈琲のためにある。

(平成19年11月取材)

二三味珈琲 店内の様子商 号 二三味(にざみ)珈琲
所在地    珠洲市折戸町木の浦ハ-99
創 業    平成13年5月
電話番号 (0768)86-2088
営業時間 8:00~16:00
定休日 月曜日


(財)石川県産業創出支援機構「石川発!お店探訪記」金沢・加賀・能登 頑張るお店では、石川県内の実店舗・ショップを訪問し、取扱商品の特徴・売れ筋、店づくりや店舗展開・経営方針、顧客サービスや今後の課題などを取材して、頑張っているお店の魅力を紹介していきます。

金沢・加賀・能登 頑張るお店 酒かどや商店
こだわりの銘酒にて堅実な商いに邁進 酒かどや商店

80年以上の長きにわたり山代温泉街に店舗を構え、地元に支持され続けている酒屋が、酒かどや商店である。かつては地元の温泉旅館が売上の大部分を占めていた同店だが、世の中がバブルに沸いていた好景気の間に、温泉旅館から地元の一般客へ商いのウエイトを180度転換。
バブル崩壊後の相次ぐ倒産・廃業の影響を受けることなく、堅実な商いを営んでいる上出栄一さんにお話を伺った。

●バブル期に個人客主体にシフト
ご主人厳選のワインが並ぶセラー昭和60年代まで、同店の売上の大部分を温泉旅館が占めていたが、現在(平成19年)は1割程度にまでそのウエイトを下げ、店頭販売と配達が5割、残り4割が県外発送という内訳に取引内容を様変わりさせている。
温泉旅館は経営危機に陥ると売上金を回収できない危険性が高く、被害額も大きい。「私はリスクを伴う商いから早く脱皮したいと考え、バブルの最中に温泉旅館との取引を極力減らし、店頭販売をはじめとした個人客主体の商いにシフトしました。」と路線転換の経緯を語る。

●こだわりの地酒・ワインに特化
ご主人おすすめの日本酒が並ぶ日本酒の品揃えは、石川県内の地酒で、なおかつ蔵元としっかり交流ができている銘柄に絞って取り扱っている。なかでも白山の菊姫、地元の常きげんなど加賀の酒、能登の池月・白菊が主力商品である。「他店にない特徴を出すことを心掛け、県内外のお客様に私が自信をもってお薦めできる地元の美味しいお酒を揃えています。」と力を込める。

ワインの品揃えは、東京で毎年1回開催される食品と飲料の総合展示商談会である『FOODEX JAPAN(国際食品・飲料展)』に自ら出向き、自分の舌に叶うものに出会えると、それを仕入れるというやり方だ。これを30年近く毎年続けてきているという。自分が試飲して美味しいと思ったワインだけに、自信を持って顧客に薦めることができるわけだ。

●個性的なブログが評判
手書きポップが目をひく店内同店のホームページ開設は古く、インターネットが産声を上げた十数年前に遡る。「パソコン通信の時代から趣味でいろいろやっていましたから、その延長線上で試行錯誤しながら作ったホームページです。何しろ素人のやることですから、見栄えはパッとしませんが・・」と苦笑する。
ホームページの中でも『町の酒屋のカウンター物語』と題したご主人のブログ欄は、そのユニークなコメントが評判になっており、地元のブログ仲間や固定客からの反応も上々で、人気のコーナーとして定着している。
固定客に向けたメールニュースでは、食べ物に旬があるように、お酒にも旬があることをキーワードに、その季節の飲み頃のお酒を紹介している。
ホームページを介しての注文は、新規もある一方で離れていく顧客もあるため、なかなか増やすことは難しいようだ。「ホームページに必要以上にコストをかけても、日本酒の場合は利幅が少ないので採算が取れません。それよりも、店頭で試飲していただき、話をしながら、納得して買っていただく商いに力を入れていきたい」と店頭販売を重視する。
世の中にはプレミアムが付き、蔵出し価格の何倍、何十倍にも化けたお酒が出回っている。それについては、「私は酒屋としてそうした商いはしません。それだけの価格に見合った値打ちはないと思います。リーズナブルな価格でもっと美味しい銘酒がたくさんありますから、そんなお酒を紹介したい。」と、プレミアム販売には否定的だ。

●菊姫の快挙で日本酒に光が
能登の焼酎「能登ちょんがりぶし」菊姫の『鶴乃里』が、モンドセレクションでグランプリを受賞したことは、全国的にも大きなニュースになり、蔵元が19年11月から出荷を始め、本来なら1年かけて販売する予定本数が年内に全て完売という反響の凄さだ。
長らく停滞ムードが漂っていた日本酒業界にとっては、一筋の光明が差し込んだような嬉しい出来事であり、国内だけでなく海外からも日本酒に注目が集まり、その貢献度は計り知れないものがある。

●地元に根ざした地酒「純米酒やましろ」誕生
山代の酒「純米酒やましろ」山代酒商組合の酒屋17軒が一致団結し、山代のための地酒を作ろうということになった。地元の温泉寺「薬王院」の井戸水が軟水で酒造りに適していたことから、その水を仕込み水に使用し、平成18年11月に地元の鹿野酒造で仕込み、ラベルの文字は薬王院長老の揮毫による「純米酒やましろ」が誕生した。同年12月販売の「しぼりたて」600本は予約完売。
「何よりも嬉しかったのは、予約の大部分が地元の人たちで、文字通り山代の地酒として認知されたことを仲間と喜び合いました。コンビニの台頭や日本酒人気が低迷している時だけに、仕掛け次第で日本酒が売れることを痛感し、我々も元気が出ました。」と振り返る。
初回の好評に自信を得て、翌19年は米も地元産にこだわり、自ら生産した酒米「五百万石」を用い、薬王院の井戸水で仕込みを開始し、12月7日に初搾りが行われた。19年産も上々の出来映えで、今回は4合瓶で2000本程度が販売される。

●厳しい時代を生き残るために・・・
鹿野酒造の「常きげん 大吟醸」「各酒蔵の造り手と消費者の間に立って、我々酒屋がどう関わっていけるのか、それが生き残りのために一番重要なポイントであり、地元の酒蔵へ頻繁に足を運び、こまめに最新情報をお客様に伝えていくことで、存在意義が出てくるのではないか」と持論を披瀝する。その意味では、ご主人のフットワークが物を言うわけだ。
「食品業界では『地産地消』がキーワードになっていますが、日本酒は伝統的な発酵食品文化の頂点にある存在だけに、それが廃れていくことは日本にとって大きな損失です。その意味で、地酒の良さ、美味しさ、魅力を、もっともっと消費者に発信していくことが、我々にとっての重要な役割だと思っており、来店したお客様に試飲を通して地酒の美味しさ、魅力を知ってもらう地道な努力をこれからも続けていきたい。」と取材を結ぶ。

■インタビューを終えて・・・
温泉街の中心地に店舗を構えている酒店と聞き、売上の大部分は温泉旅館だろうと推測して伺ったところ、そのウエイトは1割弱と知り、時代を先読みした経営判断に敬服。夫婦二人三脚で、来店客に試飲を勧める姿に、対面販売の商いの原点を見る思いがした。

(平成19年12月取材)

酒かどや商店 外観商 号 株式会社 酒かどや商店
所在地    加賀市山代温泉桔梗ヶ丘3-21
創 業    大正14年4月
資本金 1,000万円
電話番号 (0761)77-2131
営業時間 9時~20時
定休日 毎週水曜日
URL http://www3.nsknet.or.jp/~kadoya/

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