「石川発!お店探訪記」 リッチモント(かほく市宇野気) 美味しいケーキとパンづくりに父子で邁進 – ISICOお店ばたけプラスブログ

金沢・加賀・能登 頑張るお店 リッチモント

ロールケーキが美味しいと口コミで評判の店がかほく市内にあると聞き、早速伺ってみることにした。金沢から車を走らせかほく市内に入ると、かほく市役所の手前100メートルほどの右手にその店はあった。洒落た外観のケーキショップ「リッチモント」である。パン職人の父と共にケーキづくりに勤しむ2代目・南谷晃平氏にパティシエ魂を伺った。

●父の背中を見てこの道へ

父親が27年程前に、宇ノ気駅前の商店街の中で自家製パンとケーキを販売する店『リッチモント』を開店。父親の働く姿を子供の頃から眺めてきた晃平氏は、言われたわけではなく、自然とその後を継ぎたいと思うようになり、大学を出ると神戸の有名菓子店に修業に行く。

神戸でも人気の繁盛店で日々の仕事が次々とあり、苦労の連続だったようだ。
パティシエはマスコミ等で脚光を浴びる華やかな職業として人気が高い。そんな表面的な人気につられケーキ職人を夢見る若者の大部分は、実際の仕事がハードな肉体労働だけに、イメージしていたものとのギャップの大きさに半分以上が脱落していったという。

そんな厳しい修業の日々の合間を縫って練習を重ね、菓子コンテストに出場して優勝するなど、めきめきと頭角を現わし、4年半あまりの修業を経て家業を継ぐことに。

●新店舗で新たな出発

平成4年、駅前の商店街の中にあった店舗を現在地に移転し、平成15年、晃平氏が地元に戻ってくるのを機に、改装した。

「私の作るケーキは高級なものではなく、日々のおやつに食べていただく庶民的なケーキなので、店の雰囲気もできるだけ親しみやすく、シンプルで清潔感のある店にしたいと設計士さんにお願いし、木をふんだんに使いあたたかい雰囲気が醸し出されていると思います。」と店づくりへのこだわりを披瀝。
その後、平成17年と18年に東京都洋菓子協会が主催する国内最大のジャパンケーキショーに出場し、並み居る全国からの競合を相手に、マジパン仕上げデコレーションケーキ部門において、2年連続銅賞を受賞。「自分のケーキ職人としての腕が認められたことは、私にとって大きな自信になっています。」と振り返る。

●ケーキづくりへのこだわり

ケーキづくりの工程で最も難しいのは、スポンジの生地を焼いたり、焼き菓子を焼く工程だ。生地の状態を見極め、最高の状態で仕上げるには熟練を要する。

また、ケーキの仕上げ工程で生クリームを生地にきれいに塗る作業や、上部の飾り付けもかなりの練習を重ねていかないと売り物になるケーキは作れないという。

看板商品であるロールケーキの生地は北海道産の小麦粉を100%使用し、砂糖だけでなく、三温糖やはちみつを使って味に食べ応えや変化を出しているとのこと。

秋限定ではあるが、地元かほく市産の栗「かほっくり」を使ったタルトも人気商品だ。

「かほく市内には、かほっくりの他、スイカやぶどうなどの特産品もあることから、地元の旬の食材を使っていますが、原材料費が高騰している折だけに、商品価格にあまり反映しすぎないよう、ケーキの大きさやデザインを変えることで、お客様に割高感を与えないよう工夫しています。」と、さまざまな努力を重ね、値上げ幅を最小限に留め、日々のおやつとして気軽に買ってもらえる価格帯を維持している。

食品偽装の問題が相次いでいるが、店としては仕入れ先の業者を信用するしかないのが現状で、信頼できるメーカーを選択するしかない。

「私ができることとしては、缶詰類は極力使わずにフレッシュなフルーツを使うこと。清掃をこまめにして店内の衛生管理を徹底することを日々心掛けています。」と力を込める。

●ロールケーキが看板商品

香林坊大和の地下食品売場において、週替わりでお店をローテーションする洋菓子フェスタコーナーが開催されている。そこで晃平氏がロールケーキを実演販売する機会があり、大盛況を博したとのこと。

「おかげさまでたくさんの方に買っていただき、その後かほく市の店まで買いに来て下さった方もいらっしゃいます。」と顔を綻ばす。「ロールケーキが評判になってきたおかげで、売上全体も伸びてきており、看板商品があるのとないのとでは雲泥の差があります。」と実感を込める。

店頭には、このロールケーキを含め常時20種類あまりのケーキがショーケースに並べられているが、ロールケーキとモンブランが人気を二分しているようだ。

●他にないオリジナルバースデーケーキも人気

お客様のリクエストに応え、ケーキの上にデコレーションを施したバースデーケーキも人気だ。ケーキに様々な絵を描いてくれる店はあるが、リッチモントの場合は、晃平氏のマジパン技術を駆使した立体的な造形で表現されているのが特徴だ。人気のキャラクターはもちろん、新幹線、車、飛行機、ロケットなどなど、子供たちの好きなものをケーキの上に立体的にデコレーションしてもらうことが可能で、まさに世界に1つしかないオリジナルのバースデーケーキができあがる。
人気のキャラクターのどの部分を強調してインパクトを与えるか、そのセンスがなかなか素晴らしい。店内にこれまで手がけたバースデーケーキの写真が数多く飾ってあるが、これを眺めているだけでもワクワクし、ケーキを囲む家族の笑顔が見えてくるようだ。これをロールケーキに継ぐ看板商品としてPRすれば、きっと大ヒットするに違いない。

ケーキだけでなく、気温の下がる10月からはオリジナルの自家製ショコラの販売が始まるとのこと。どんな商品がショーケースを飾るのか、とても楽しみである。

●先ずは足元を固め次なる一歩へ

「夢はいろいろありますが、まずはここで足元をしっかりと固めていきたい。そのうえで事業を拡大するチャンスに恵まれた場合でも、自分の目の届かない商売をしても意味がないと思っており、自分の目の届く範囲内の商いで、お客様に喜んでいただけることをいろいろとやっていくことができたらと思っています。」と堅実路線を宣言。

父はパンを焼き、息子はケーキをつくる、そんな父子の心地良い二人三脚の商いのこれからが楽しみである。

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