「地域の絆づくりを進める!石川の元気印商店街」千代尼通り商店街協議会

(財)石川県産業創出支援機構 の 「地域の絆づくりを進める!石川の元気印商店街」 では、石川県内の商店街を順次訪問し、商店街のイベントや活性化のために工夫されている事などを取材して、元気な商店街の魅力を紹介していきます。

ひろがる、にぎわう、つながる 地域と商店街の絆が深まるまちづくり  千代尼通り商店街協議会
(平成25年2月取材)

ひろがる、にぎわう、つながる 地域と商店街の絆が深まるまちづくり  千代尼通り商店街協議会

商店街のまちなみJR松任駅を中心に白山市の中心部を代表する大町(おおまち)・中町(なかまち)・安田町(やすたまち)・茶屋町(ちゃやまち)の4つの商店街が広がる。平成17年2月の白山市誕生前から進められてきたこれら4つの商店街の電柱地中化事業が、平成24年3月に完了し、一体感のある地域コミュニティーとして、4商店街で構成される千代尼通り商店街の街並みが一新された。千代尼通り商店街協議会の乙村貴正会長に地域の絆づくり商店街モデル事業への取り組みを伺った。

◆人と人、地域と商店街の絆づくりに邁進
旧松任市の時代に県の事業として、松任駅前の4つの商店街の電柱地中化事業がスタートし、それに合わせて一体感のある商店街づくりに向け、4つの商店街の連合体を作ろうとの気運が高まり、千代尼通り商店街協議会が発足。
平成24年春に4つの商店街にとってハード面の共通課題が解決したのを機に、次なるステップとして商店街の方向性を明確にすると共に、賑わいを創出するソフト事業に取り組むべく、県の平成24年度の地域の絆づくり商店街モデル事業に応募し、採択される。その具体的な取り組みは次の通り。

・ひろがるプロジェクト(街と人がひろがる絆の機会づくり)
このプロジェクトの柱は、「小箱ショップ」 と 「千代尼通りアートフェスティバル」である。
「小箱ショップ」は、中町商店街の中にある「ぶんぶんボウル白山市宣伝部」店内に小さなテーブルを並べ、その1つのテーブルをショップに見立て、手芸などの小物づくりが上手な地域の人たちに、各々の作品を飾って販売してもらおうというもの。

絵画「千代尼通りアートフェスティバル」は、作家や地域住民を対象として絵画(写真:上)や陶芸(写真:下)、工芸などの作品を発表する場を提供しようとの思いから、商店街の各店舗に飾ることで、展示作品を見に行くことをきっかけに、これまで入ったことのないお店に入店してもらう動機付けをしようというもの。お客様にも商店街にも、出展者にもメリットがある取り組みとして好評を得ている。

陶芸アートフェスティバルの開催に合わせ、「白山獅子まつり」が行われる。無形文化財にも指定されている獅子舞は、白山市内各地に伝わる民俗芸能の代表格で、市内10団体とゲスト獅子が出演。千代尼通り商店街の沿道を通行止めにして勇壮な演舞が繰り広げられる。
獅子舞の演舞に合わせ、獅子鍋1000人前が振る舞われ、おかみさん会の屋台村、振る舞い酒、縁起餅つき、浅野太鼓メンバーの太鼓演奏、金城大学ダンス部によるパフォーマンスなどお楽しみがいっぱいで、この日ばかりは商店街がお祭り広場に大変身。
その他の関連事業として、雛めぐり、なかまっちコンサート、まちなか夜会などがある。

ひなだるまひなだるま

まず「雛めぐり」は、お客様に白い雛だるまを1000円で購入してもらい、各々好きな色づけをし、出来上がったものを各店舗に飾っている。この雛だるまは、白山市が姉妹提携している静岡県藤枝市の伝統工芸品である藤枝だるまを使っている。

お寺でコンサート

なかまっちコンサートは、商店街の婦人部が聖興寺(しょうこうじ)を会場にアーティストを呼んでコンサートを行う。(写真:上)
まちなか夜会は、松任グランドホテルの1階ロビーを会場に、ボジョレーヌーボーの解禁パーティーを1人1000円というリーズナブルな会費で開催し、ホテルと地域住民の絆づくりにも一役買っている。(写真:下)
これらのイベントの根底には、まさしく絆づくりにかける思い入れが感じられる。

なかまっちコンサートまちなか夜会
・にぎわうプロジェクト(街と商店街がにぎわう絆の舞台づくり)
このプロジェクトの柱は、「まちなかコラボDAY」 と 「千代尼通り未来会議」である。
春夢フェスタ「まちなかコラボDAY」は、JR松任駅から商店街までを結ぶエリアにある文化施設等を会場に、金城大学、松任獅子舞連盟、白山ふもと会、松任公民館といった地域の各種団体と連携し、平成24年4月15日(日)に「春夢フェスタ」を開催。
当日は、各団体にそれぞれのエリアを割り当て、そのスペースの運営を各団体に任せ、独自色のあるイベントを展開。
商店街各店では記念フェアを開催し、茶屋町商店街のあんころの円八では子供餅つき体験とふるまい餅が配られ、浅野太鼓のサスケJrのメンバーが商店街の中を移動しながら太鼓演奏を披露し、お祭りムードを大いに盛り上げた。
安田町商店街の金谷酒造店では甘酒が振る舞われ、中町商店街の酒のミヤムラではウェルカムドリンクの一杯無料サービス、大町商店街の和菓子の田中屋では、剣崎なんばのみそ松風の製造実演販売が行われた。

浅野太鼓とスタンプラリー

当日は、松任城址公園春まつりも同時開催され、4つの商店街と城址公園を巡る春まつりコラボスタンプラリーも行われ、桜の満開と快晴が重なる絶好の行楽日和と相まって、多くの人で賑わい、大成功を収めた。
「千代尼通り未来会議」は、商店街活性化に向けたソフト面の課題解決に取り組むため、定期的に商店街の役員が集まって意見交換を行っている。

・つながるプロジェクト(人と商店街がつながる絆の顔づくり)
化粧品店のウィッグで変身!10歳若返り体験!地域住民とお店をつなげることを目的に「街の知っ得!セミナー」を開催している。各店の店主が自店の売り、特殊技術、趣味などに関するセミナーを各店で開催するもの。
お米マイスターのごはんパワー教室、 お酒屋さんのワインを楽しもう!、 和菓子屋さんの上生菓子づくり体験、 ヘアケアサロンのあなたの髪はまだまだ美しくなります、 化粧品店のウィッグで変身!10歳若返り体験!(写真:左)、 楽器屋さんのウクレレでクリスマスソングを弾こう!!など盛りだくさんの内容だ。
店主とお客様の親密度を深めるセミナーに参加してもらうことで、これまで関わりの無かった地域住民に商店街の各店に来店してもらうきっかけづくりを提供しようというもの。年に2~3回、商店街の10店舗前後を会場に飲食・美容・健康・音楽といった分野のセミナーが開催され、開催期間中は毎回100名以上が参加する人気イベントになっている。

◆時代が変わっても人と人の絆が鍵
乙村会長昨今いずれの商店街においても課題となっている後継者難は千代尼通り商店街でも同様で、店を閉めるところのほとんどが後継者がいないことが要因で、今後も店主の高齢化に伴いそうした理由で閉店するところが出てくることが予想される。とはいえ、これまで店舗だったところが一般住宅になっていくのは商店街としての街並みに支障が出ることから、何とか賃貸物件として提供してもらえるよう乙村会長(写真:左)が奔走している。
その努力が実り、空き店舗になったところに白山市と地元テレビ局のコラボ事業による新ショップ「ぶんぶんボウル白山市宣伝部」を誘致することに成功。
今後もこうした新規出店希望者と大家とのマッチング事業に取り組み、空き店舗を極力なくし、明かりがつながる商店街にしていきたい考えだ。
千代尼通り商店協議会の活動の特徴は、白山市の中心部を活性化するために何ができるか、何が必要か、地域住民は何を求めているか、そうした観点から知恵を出し合い、人も出し、協賛先と主催者である商店街が文字通り一丸となって盛り上げ、前進していることである。こうした街を思い、愛する情熱が、年々開催されるイベントの中身を自ずとより充実したものへと成長させてきている。
電柱地中化事業によって商店街全体が明るくなり、繁盛店を核に賑わいも生まれ、コンビニができたことで学生たちも戻ってきている。夜になると、各商店街にある飲食店が盛況営業しており、昼だけでなく夜も賑わいが生まれている。「商店街として環境面は非常に良くなってきているものの、だからと言って安心はできません。後継者問題、駐車場問題、新規出店者の確保など課題は山積しており、気を抜くことなく、みんなで心を一つにして中心商店街としての自負を持って千代尼通り商店街の元気を発信していきたい」と決意を新たにする乙村会長である。

 

◆インタビューを終えて・・・
商店街の原点は、何と言ってもそれぞれの店に個性があることだ。そこに行きたいと思うお客様をいかに増やしていくか。街全体が明るく、きれいになった今こそ、商いの原点に立ち返り、個店の商品、技、接客を磨き上げる好機ではないだろうか。

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