「売れるネットショップの秘密を探る!」(有)アート- ISICOお店ばたけプラスブログ

石川県産業創出支援機構 の 「売れるネットショップの秘密を探る!」では、お店ばたけに出店しているネットショップの中から、順調に成果を上げている繁盛ショップを取材し、ネットショップを成功させるためのページづくりのノウハウやポイントを紹介します。

こだわりの品揃えと薬剤師に相談できる肌トラブル専門薬局を標榜  (有)アート

(平成26年1月取材)

金沢駅西口に程近い中橋町交差点角にひときわ目立つアートビルがある。その1階に店舗を構えるのが、開局20年目になるアート薬局である。薬局だと思って一歩店内に入った瞬間、思わず店を間違えたかと思い、回れ右しそうになる。なぜなら一般の薬局に並んでいるお馴染みの商品がなく、見たことのない商品がズラリと棚を埋め尽くしているからだ。差別化した品揃えで、存在感を発信するアート薬局 代表兼管理薬剤師 中村智子さんにお話を伺った。

◆「アート薬局でないと」と言われる薬局をめざす
遡ること20年前、中村さん(写真左)が薬局を開店した頃は、一般的な薬を並べて販売していればそれなりに売れていく時代だった上に、ドラッグストアチェーンもまだでき始めたばかりとあって競合するところもなく、バブル期の余韻も残っていたのか、「1本3,000円もするドリンクが普通に売れていた」と当時を振り返る。
ところが、ほどなくして大阪から化粧品を納品に来ている営業担当者から「大阪では、他と同じものを売っている薬局は段々と経営が厳しくなってきています。商品を絞って特色ある品揃えをしていかないと生き残れない時代になってきている」と聞かされたことや、もともとアレルギーの子が食べられる食品を置いていたこともあり、次第に他店と一線を画す品揃えにシフトしていくことに。


◆自ら学び、ホームページを立ち上げる

10年あまり前、中村さんのご主人が作った名刺代わり程度のアート薬局のホームページはあったものの、「そろそろ本格的なホームページを持っていないとダメな時代になってきているけど、どうやって作ったらいいのか、お金はかけたくないし・・」と、知人に話していた。
すると「石川県産業創出支援機構でホームページの作り方を学ぶ『バーチャルショップ道場』が明日から始まるみたいだよ」と教えられる。意欲的な中村さんは早速電話で問い合わせると、まだ定員に余裕があったため、受講できることに。このことが自らホームページづくりに取り組むことになるそもそものきっかけとなる。
セミナーでは「ホームページビルダー」を使用してホームページの構築方法などを学び、もらったテンプレートを使用して、習った通りに自分で商品の画像や説明文をはめ込んでいき、何とかホームページを立ち上げることができた。
それからしばらくして、無料のショッピングカートも付け、初めてネットで商品が売れた時には嬉しくて「やったー」と思わず叫んだという。「その頃は、夜にバーチャルショップ道場で知り合った仲間が集まってネットに関する様々なことをよく勉強していました」と懐かしそうに語る。ネットショップ草創期に取り組んだ人たちは、自ら学び、自ら作る、そういう情熱に溢れていたことが垣間見えるエピソードである。

◆リニューアルを重ね、特徴あるホームページに

その後、デザイナーに外枠の部分を作成してもらい、ドリームウィーバーで更新し、サイトをリニューアルした。各ページの文章は自らが毎晩2時、3時頃までかけて、アトピー性皮膚炎だった自身の二人の息子の子育て体験談を詳細に綴ることに時間を費やした。こうした体験記の中に、検索キーワードとしてひっかかる言葉が散りばめられている。
4年前にお店ばたけの専門家派遣を活用した際、時代のトレンドであると同時に、検索する際の優位性や部分的な修正を加えてもデザインが崩れないといった点で、最適なツールであるMT(ムーバブルタイプ)を使ってホームページをリニューアルすることを薦められる。そこで、前回のリニューアル同様、外枠の部分のみを外注し、中の文章などのコンテンツ入れ替えは2ヶ月あまりかけて全て自ら行い、ドメインは同じままでMTに乗り換える。

◆肌トラブルを相談できる、かかりつけ薬局を目指す

「人それぞれに皮膚トラブルの原因や症状が異なるので、とにかく相談に来ていただければ私(中村さん)をはじめ当店の薬剤師が親身になって対応させていただき、その方に一番合ったお薬や化粧品をお勧めしています。どうしても遠方で来るのが難しい方には、電話やネットで相談に応じています。何回もお話しをするうちに親しくなってくると、性格や体質などが分かり、より的確なアドバイスができるようになります」とのこと。
ネット通販の顧客は大部分が東京を始めとした県外が9割強で、残りの数%が県内の顧客。県内でも金沢近郊の人は直接来店して中村さんをはじめとした薬剤師に症状を見てもらいながら相談し、最適な薬や化粧品のアドバイスを受ける人が多いとのことで、実店舗とネット通販の顧客の重なる部分はごく僅かのよう。顧客の年齢層は40代が最も多く、自分自身の肌の悩みもさることながら、自分の子供のアトピー性皮膚炎などの悩みを抱えるお母さんも多くいる。
ネットで商品を注文する際に、お客様情報の入力で年齢は何十代ですか?という設問項目を設けてあり、一番多いのが40代とのこと。それに次いで30代、50代、60代の順。ネットショップの場合、北海道、沖縄、離島に関しては割高の送料を設定している店舗が多いが、アート薬局では不公平感をなくすため全国一律の送料設定(630円)にしている。それが奏功しているのかは不明だが、意外と北海道からの注文が多いとのこと。とはいえ、あくまでも実店舗での対面販売に今後とも力を注ぎ充実させていきたいと考えている。

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